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【異業種から飲食の道へ】5人の先輩オーナーからみる異業種開業の可能性

【異業種から飲食の道へ】5人の先輩オーナーからみる異業種開業の可能性

キャリアや資格がなくても飲食店は開業できる

昨今の外食産業では、人口減少による消費者の絶対数が減ることや新型コロナウイルス感染症による消費者の行動変化など複合的な理由から、飲食店舗の減少が取り沙汰されています。しかしながら、閉店した薬局の跡地にいつの間にか飲食店がオープンした、テイクアウト専門店が近所に増加している等、時代の流れとともにカタチは違えど飲食店が衰退することはないと感じるのが日常的な肌感覚なのではないでしょうか。

事実、比較的新規参入のしやすい飲食業界では、年々夢をもって自分のお店をオープンさせる人が後を絶ちません。創業より約20年間飲食店の居抜き不動産に特化して営業を続けてきたABC店舗としては、開業に向けて日々切磋琢磨するお客さま一人ひとりの顔が思い浮かびます。中でもその多くが、異業種から開業を成功させる方々。

飲食店オーナーと聞くと、調理師専門学校を出て、名立たるホテルや料亭で修業を積んだ輝かしいキャリアの持ち主を想像するかもしれません。しかし、実際のところ、飲食店開業には調理師免許も栄養士免許も必要なく、もっと言ってしまうと経験も必要ないのです。それを証明してくれているのが、異業種から飲食業界に転身した先輩オーナーたちの存在です。今回は、そんな彼らの転身のきっかけについて見ていきたいと思います。

好きこそものの上手なれ 熱中できるものを追求し続けた結果としての開業

閑静な住宅街の落ち着きと学生街の賑やかさが共存する明大前。小さな路地にひっそりと佇む「身ノ程知ラズ」は、元東京海上日動火災保険に努める会社員だった千場誉さんが、2017年にオープンさせたコース一本のみの割烹です。その斬新かつ人目を惹く店名には、ほとんど飲食業経験を積まずに自分の店をオープンさせた自身への自戒の念が込められています。

千場さんが飲食業へ転身したきっかけは、友人や同僚を招いて開催していたホームパーティ。「最初は各々が好きなつまみを持ち寄っていたんですけど、なんか物足りなくなってきて自分で料理するようになったんです。その延長線上で、今みたいなコース仕立てにするようになって、そしたらこれ楽しいな!って…」 

そう笑顔で話す千場さんの転身ぶりは、まさに好きが高じてという言葉を体現しています。そんな「身ノ程知ラズ」では、千場さんが料理と同じくらい愛してやまない日本酒のセレクトにもこだわり、開店から約1年、安定して地域の日本酒ファンや常連客を獲得し続けているそう。

オーナーインタビュー:日本酒好きが集う 旬の食材を活かしたコース一本の創作割烹

東京でこの味を広めたい! 未開拓の味やコンセプトで勝負するオーナーたち

フードトレンドショップの多い原宿で、日本で初めて東南アジアの麺料理「ラクサ」の専門店である「シンガポール ホリック」をオープンさせたのが、高校時代からの親友同士である小幡奈久美さんと茂木紀子さん

旅好きの二人は、社会人になってからもよく一緒に旅行に出かけていたが、二人で行ったシンガポール旅行でラクサと出会ったことが開業のきっかけとなりました。帰国してから日本のシンガポール料理店でラクサを食べてみたが、現地の味とまったく異なることに落胆し、「本場の味を伝えたい」という気持ちが強まったといいます。開業を決めてからは日本とシンガポールを行き来しながらレシピを開発し、2015年、晴れて原宿の裏通りにお店をオープン。今では1日最大100人を集めるほどの人気店へと成長させました。

オーナーインタビュー:本場シンガポールの味を再現する“ラクサ”の専門店。今や1日最大100人をキャッチする話題店へ!

一方、「漁師酒場・海亭」のオーナー河邉 恒治さんもまた、東京の食文化に使命感を感じて異業種から転身した人の一人です。30年間会社勤めをしたものの、定年前の50代半ばで意を決して退職。2016年大塚駅に、念願の自身の店をオープンさせました。

転勤や出張の多い仕事だったため、在職中に全国津々浦々で目が覚めるようなおいしい食材の数々に出会ってきたという河邉さん。しかし、東京では地方で出会ったような新鮮な魚を安価で食べられるお店が存在せず。そうしたもどかしさが発端となり、自分で開業することを決意したそう。ご自身も銛(もり)を片手に魚突きをするのが趣味という根っからの魚好きで、新鮮でおいしい魚には目がありません。目も舌も肥えた河邉さんだからこそできた「漁師酒場・海亭」は、今やそのコストパフォーマンスの高さから、幅広い客層に支持されています。

オーナーインタビュー:鮮魚と酒と人間と―――居酒屋として結実した30年間の軌跡

自身が感じた食への感動を伝える為に、第三の人生は飲食業で

最後にご紹介したいのが、元力士の岡部光国さん。江戸情緒を残す街並み、賑やかな商店街、緑豊かな公園や水辺などに恵まれた江東区亀戸に、2014 年6 月24 日、「ジンギスカンゆきだるま中野部屋一門 亀戸部屋」をオープンさせました。

岡部さんは、小学生より道場に入り、高校・大学ではインターハイ出場、大学卒業後も片男波部屋に入門し、相撲の世界で長年活躍していました。しかし、2008年、怪我により惜しくも現役を引退。そんな落ち込む最中に、出会ったのがジンギスカンでした。
元力士の友人がオープンした「ジンギスカンゆきだるま中野部屋」ではじめて食べたそのジンギスカンは驚くほどに美味しく、「僕も人を感動させられるような飲食店を開きたい」と開業を考えるきっかけになったそうです。しかし、友人関係にビジネスが介入することの影響を懸念し、一度は証券会社でディーラー業の道へ。数年後、会社の都合で転職となったことを機に飲食店開業への気持ちが強くなり、友人のグループ会社にて約2年間修行を積んで晴れて独立開業を果たしました。

「ゆきだるま」グループの看板商品は、国内羊肉輸入量のわずか1 % という貴重なアイスランドシープの厚切り肉を使用し、安心・安全な上質食材として知られています。地域住民の支持だけでなく、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられることが多く、芸能人やスポーツ選手もお忍びで来店される人気店です。

人間関係が密な角界で言葉遣いや気配りの大切さを学んできた岡部さんは、謙虚さを忘れずに、ちょっとした声がけや美しい盛り付け、配膳・下膳の安全性にまで目を配り、持ち前の研究心と明るさで今日もお客様の心を掴んでいます

オーナーインタビュー:謙虚にお客様の喜びを願って ジンギスカンに通じる角界のこころ

大切なのは、強い信念を持つこと

昨今、異業種からの飲食店開業率は年々増加傾向。「身ノ程知ラズ」の千場さんのように、好きなことを夢中で追及した結果として幸運に恵まれるケースもあれば、「シンガポールホリック」の小幡さん・茂木さん、「漁師酒場・海亭」の河邉さんのように、自分たちにしかできないビジネスモデルを発見し、実現させたケースもあります。そして、一度は諦めかけたものの第三の道に踏み出した「ジンギスカンゆきだるま中野部屋一門 亀戸部屋」の岡部さんのケースは、”自身が受けた感動を、今度は自分が広めていきたい”という飲食店開業には欠かせない強い意志があります。

これまで、異業種からの飲食店開業を成功させた6名の先輩オーナーたちの軌跡を速足で垣間見てきた。もちろんここでご紹介したのは彼らの人生のほんの一部分にすぎず、ここでは書き尽くすことのできないたくさんのドラマがあったこともひとこと書き加えておくべきでしょう。

いずれにしても異業種からの転身という一見ハイリスクな偉業をみごと成功させたこの5名に共通して言えることは、確固たる強い信念を持ち、突き進んだということに尽きるのではないでしょうか。彼らのように一歩一歩迷わず前進することが、自らが描く夢の実現へとつながっていきます。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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