【街レポ】浅草

2020年に開かれる東京オリンピックへ向け、訪日外国人が年々増加している。

なかでも、彼らが必ずと言っていいほど訪れる観光の街が浅草だ。

今回は日本らしさ、江戸らしさを街全体で表現する浅草に注目したい。

 

浅草と言えば「雷門」。

正式には「風神雷神門」と呼ばれ、門に向かって右側が風神、左側が雷神であり、

その大きな提灯が浅草、ひいては日本を象徴する風景として知られる。

雷門を抜け「浅草寺本堂」へと続く「仲見世通り」は、約80軒もの店が軒を連ねる賑やかな通り。

人形焼き店、せんべい屋、だんご屋、雑貨店など、

多くがお土産屋としての機能を持ち、観光客でごった返している。

「浅草寺」は628年に始まった東京都内最古の寺であり、年間3000万人が訪れると言われる。

境内には945年に立てられ、明治時代に国宝に指定された「五重塔」をはじめ、

触ると足腰が元気になると言われる「宝蔵門の大わらじ」など、見所も多くある。

 

01

 

「浅草駅」は東京メトロ銀座線、東武鉄道伊勢崎線(東武スカイツリーライン)、

都営地下鉄浅草線が乗り入れる。

東武スカイツリーラインの駅は、「浅草EKIMISE」の2階に立地し、利便性の高い駅となっている。

東京メトロ、東武鉄道、都営地下鉄と3社合計の乗降客数は、2013年度で約20万人。

2015年度で見ると、東京メトロで10万3124人、都営地下鉄で5万2280人、

東武鉄道で5万2382人で推移する。

2015年度の増加率は、東京メトロ及び都営地下鉄で6〜6.1%の伸びが見られ、

浅草を訪れる人が増えていることがわかる。

一方で、3線の「浅草駅」から約600m離れた場所には、つくばエクスプレス「浅草駅」も存在。

2015年度の乗降客数は1万255人と少なめであるが、

「秋葉原駅」と茨城県つくば市の「つくば駅」までを結ぶ鉄道であることから、

遠方から東京に訪れる際に使われることが多い。

 

また、浅草には「浅草演芸ホール」(浅草1丁目)や、「浅草フランス座演劇場東洋館」(同)、

「浅草公会堂」(同)などの演芸場も点在。

毎日休みなく寄席が行なわれる「浅草演芸ホール」は、落語をはじめ、漫才やマジックなどの観劇もできる。

一方の「浅草フランス座演劇場東洋館」は、漫才や漫談など多彩な演芸が特徴。

芸人の卵がお笑いライブを行ない、

世界でいちばん小さな劇場と呼ばれる「浅草リトルシアター」(浅草1丁目)も人気が高い。

歌舞伎をはじめ、文化的催しや集会などにも活用できる「浅草公会堂」の見所は、

入口脇にあるスターの手形広場。

美空ひばりからビートたけし、なぎら健壱などの著名人の手形が並んでおり、

観光客が写真を撮る姿が多く見られる。

観劇目的で浅草を訪れる人も多く、若手お笑い芸人目当ての若年層から、

歌舞伎ファンの高齢者層まで幅広い人で賑わっている。

 

02

 

日本らしさを色濃く残すエリアだからこそ、息の長い老舗店も多い。

仲見世で見ると、創業80年の麦とろご飯が看板の「浅草むぎとろ 本店」(雷門2丁目)や、

人形焼きをメインとした「梅林堂」(浅草1丁目)など。

浅草六区と呼ばれる歓楽街エリアには、天ぷらの名店「天健」(浅草2丁目)、

明治35年から続く天ぷらの老舗店「天藤」(浅草1丁目)、

明治3年に始まった伝統の天ぷらを提供する「中清」(同)など、

天ぷらの重鎮が居を構える他、浅草っこに愛され続けた洋食店「ヨシカミ」(同)も、

今なお列を成す人気ぶりだ。

“江戸料理”として庶民に親しまれた、うなぎ屋も多く抱える。

100年前から継ぎ足している秘伝のたれを使った「初小川」(雷門2丁目)、

1861年創業で現在でも開店前から列を作る「うなぎ 色川」(同)、

200年以上の歴史を守る「前川」(駒形2丁目)、

注文を受けてからうなぎをさばく「鰻禅」(吾妻橋3丁目)など、

うなぎ屋巡りができるほどの軒数が並んでいる。

 

また、浅草の観光名所の一つとして知られるのが「浅草ホッピー通り」。

浅草寺境内の西側に位置し、飲み屋が軒を連ねる通りであり、

その店の多くがモツ煮込みや牛スジ煮込みを提供することから、「煮込み通り」の別名を持つ。

店前にテーブルを出した“外飲み”ができる賑やかな雰囲気や、

昼からでも気軽に飲める下町らしさが人気であり、観光客が一度はその空気感を味わいに訪れる。

ただ大衆酒場でありながら、一部の店は“観光地価格”であるため、少々割高感を抱く人も少なくないだろう。

 

03

 

一方で、街が少しずつ様変わりし、開発が進んでいるのも浅草の特徴だ。

2012年に大規模リニューアルした、浅草駅直結の商業施設「浅草EKIMISE」。

「浅草のプラットフォーム」をコンセプトに、177のショップが入居する他、

スカイツリーを臨む屋上は、春から秋にかけてビアガーデンとして開放しており、

週末ともなれば多くのお客で賑わう。

同じく2012年に完成した「浅草文化観光センター」(雷門2丁目)は、「浅草雷門」の斜向いに立地。

平屋の家屋を縦に積み重ねたような、洗練されたデザインが印象的だ。

日本語、英語、中国語、韓国語の4ヶ国語による観光案内を行なう他、

外貨両替所や台東区のイベントや歴史、文化を紹介する展示スペース、

無料の展望テラスなどを内包する。

浅草六区にある「浅草ROX」(浅草1丁目)は、

スーパーやスパ施設「まつり湯」などが入居する街の人々に愛される商業施設だが、

系列の「ROX・3G」(同)は2015年3月にリニューアルオープン。

屋上にフットサル場を設けた他、「サルバトーレクオモ&バー」や「博多 一風堂」、

「サーティワンアイスクリーム」などの飲食が多く入居する。

2015年12月にオープンした「まるごとにっぽん」(浅草2丁目)は、

浅草の新たなショッピングスポットとして注目を集めている。

ここは「全国のかくれた名産品」など、47都道府県の価値あるモノやコトを一堂に会する施設だ。

1階は地方色豊かな食を集めた「にっぽん食市場 楽市」、

2階の「くらしの道具街 和来」は伝統技術や風土が息づく地方発の生活用品を販売する。

3階では地方の魅力を体験できる「たいけん広場 浅草にっぽん区」、

4階はレストランフロアで「ふるさと食堂街 緑道」で構成されている。

 

04

 

浅草には、ホテルも多く林立。

「まるごとにっぽん」の上階に構える「リッチモンドホテル浅草」(浅草2丁目)、

訪日外国人の宿泊も多い「浅草ビューホテル」(浅草3丁目)などの大型ホテルをはじめ、

ラブホテルをリノベーションした「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」(西浅草3丁目)など、

低価格で宿泊できるホテルも登場している。

また「アパホテル」を展開するアポグループは、「アパホテル 浅草 田原町駅前」を2017年7月に、

「アパホテル 浅草 雷門」を同年9月に開業する計画を発表。

さらに、台東区内でも保有棟数・客室数トップとなる「アパホテル 浅草駅前」の建築を、

2018年8月の開業へ向けて進めている。

現在でもホテルの数が足りないと言われる浅草のため、

訪日外国人誘致のための宿泊施設の建設は一つの課題として挙がっているようだ。

 

こうした新旧が交わる浅草エリアだが、現在の盛り上がりは東京オリンピック開催へ向け、

観光特需の恩恵を受けているといった見方が強い。

訪日外国人が溢れるエリアだからこそ、インバウンド効果を期待した策を講じる店も少なくない。

「成田屋」(浅草2丁目)はハラル認証を受けたラーメン店であり、多くのイスラム教徒を吸収。

また「宮崎県日南市 塚田農場 東武浅草駅前店」(浅草1丁目)は、

訪日外国人ツアー客を対象とした、予約限定のランチ営業を行なっている。

オリンピック開催まであと4年、まだまだ多くの外国人が訪れることは間違いない。

そのためこれまでの顧客にプラスして、訪日外国人を取り込む何らかのアイデアも欲しいところだろう。

ただ考えるべきは、東京オリンピックが終了した後。

街としては日本の文化を発信する、魅力あるエリアのため日本人観光客が減ることはないだろうが、

今の訪日外国人の賑わいがなくなった時、どのように変化していくのかはだまだまだ未知数と言えるだろう。