江戸時代、扶持米を収蔵する蔵の街として栄えた東京都台東区蔵前。下町の風情を残しながら、昨今はスタイリッシュな雑貨店やインテリアショップも姿を見せるなど、今なおものづくりの街として発展を続けています。今回は、そんな蔵町の街情報に加え、飲食店の出店に欠かせない各種データなどもお届けします。

ものづくりの街として発展をつづける蔵町

蔵前は、東京都台東区の南東部に位置する街です。一丁目~四丁目まであり、周辺を台東区柳橋・浅草橋・三筋・鳥越に囲まれ、隅田川にかかる蔵前橋を越えれば墨田区横綱となります。隅田川沿いは昔日を思わせる下町の雰囲気で、夜に歩けばスカイツリーのライトアップも堪能できます。また、蔵前一丁目・三丁目を通って厩橋を抜ける江戸通り沿いには、おもちゃ問屋が軒を連ねることから、“おもちゃの街”としても有名。昨今は、クラフト系ショップやおしゃれなカフェの出店が相次ぎ、新たな街の表情を見せ始めています。

豊富な路線で、通勤も便利

蔵前駅には都営地下鉄浅草線・大江戸線が乗り入れ、1日平均70,000人近い乗客が利用しています。新宿・五反田・新橋・日本橋・飯田橋など、都内主要駅への移動もスムーズです。また、蔵前近辺には複数の路線が走っており、目的地に合わせて周辺の駅も便利に活用できます。総武線浅草橋駅、東京メトロ銀座線田原町駅、つくばエクスプレスが乗り入れる新御徒町駅など、都内各地への移動手段に使える駅が徒歩15分圏内にあるという利便性。近隣にこれだけ路線があれば、通勤やプライベートでのお出掛けも困りません。

また、蔵前は都内でよく見られる坂上りポイントがなく、どこを歩いても平坦な土地が続きます。そのため、徒歩や自転車での移動も苦にならないでしょう。日本橋や上野、秋葉原などのエリアは、蔵前から自転車通勤するにはちょうどよい距離感で、運動もかねて自転車を移動手段に使うのもよいかもしれません。

蔵前の歴史

蔵前という町が生まれたのは江戸時代以降、幕府が隅田川を埋め立てて米蔵を設置したのがはじまりです。米蔵には幕府の天領地(徳川家直轄の領地)から集めた米が収蔵され、全部で67棟の蔵があったとされます。米蔵と同時に、扶持米を管理出納するための勘定奉行および蔵奉行の役人たちの武家屋敷も建てられました。江戸時代中期以降より、米蔵が広がる町の西側を蔵前と呼ぶようになり、米問屋や札差(米の受取り・運搬・売却をつかさどる業者)の店が建ち並び、米の物流拠点としてにぎわいを見せたようです。

明治以降、蔵前に点在する蔵と役宅は政府管理となり、官公庁関連の施設や学校、文書庫などの近代的な建物が建ち並ぶなど、風情ある江戸の街並みから一転、モダンな雰囲気が町を包むようになります。ところが、1923年の関東大震災によって町は壊滅的な打撃を受け、文化的な施設も各地に機能移転するなど、これまで築き上げてきた街の財産が失われてしまいました。被災して何も残らなくなってしまった蔵前でしたが、同じく被災した日本橋の人形職人たちが浅草橋周辺に転居し、今度はものづくりの街として息を吹き返します。こうして「おもちゃ問屋街」として親しまれる蔵前の、今の姿が作られたのです。

おしゃれなカフェに、クラフト系ショップ

関東大震災の危機を乗り越え、おもちゃ問屋の街として独自の発展を見せた蔵前。その地力は今なお健在で、さらに新しい街の装いを見せ始めています。

蔵前の街を歩くと、おしゃれなカフェや雑貨店、インテリアショップ、レストランが増えたことに気付かされます。古風な下町の風情を残しつつ、スタイリッシュなデザインのショップが建ち並ぶ新鮮な雰囲気。ものづくりの街らしく、雑貨店やアトリエの新設が目立ちますが、目を引くのがどれも職人さんたちの手で作られた商品を扱っているところ。大量生産に頼らず、あくまで職人さんの手作りにこだわりたい。そんな、ものづくりの街としてのプライドが垣間見られます。

蔵前が今の街の姿に生まれ変わるきっかけとなったのが、2011年からはじまった「モノマチ」というイベント。これは、ものづくりの街として歴史を育んできた徒蔵(カチクラ・御徒町~蔵前~浅草橋にかけての2㎞四方のエリア)を歩きながら、インテリア制作を体験したり、クリエイターの制作現場を見学したりするというもの。地元のものづくり企業や職人、クリエイター、飲食店が一堂に会し、訪れた地元住民や観光客とのコミュニケーションを図ります。2011年5月からはじまったこのイベントは、毎年欠かさず行われ、2017年5月現在で計9回開催。年々参加者は増える一方で、今年の開催もまた一段と盛り上がることが期待されます。

治安もよく、住みやすいとの評判

浅草や両国といった観光地と隣接する蔵前は、比較的治安もよく、ひとり暮らしをはじめる場所としてもおすすめできる街です。蔵前は住宅地と商業地が混在する街で、多くのカフェや飲食店、おもちゃ問屋などが軒を連ね、昼間は多くの人通りが見られます。夜になると駅周辺では街灯がともるため、夜でも明るい中、安心して街を歩けるでしょう。蔵前駅近くには交番、蔵前一丁目交差点付近には警視庁蔵前警察署があり、地元住民の生活を見守ってくれているところも心強いと言えます。

 

どんな飲食店がある?(1km圏内)

蔵前には1,677軒の飲食店があり、和食店528軒と居酒屋360軒が過半数を占めます。次いでカフェが181軒、BARが128軒、中華が121軒ですが、その他は100軒に届きません。かつて多くの米蔵があった街にふさわしく、和食は高い人気を誇っています。

どんな業態が出店チャンス?

繁盛店が近くにあると、新規の店舗も多くの人の目に触れるため宣伝に苦労しないでしょう。蔵前であれば和食店と居酒屋の需要が高く、同業者と腕を競い合えるメリットもあるので他の業態より顧客を確保しやすいと考えられます。

業態別 募集中の居抜き物件一覧

居酒屋の居抜き
和食の居抜き
中華の居抜き

周辺の主なスポット

・蔵前神社
・鳥越神社
・浅草文化観光センター
・かっぱ橋道具街
・蔵前水の館
・世界のカバン博物館
・トラベリエンス
・カキモリ
・えびす屋 浅草店
・NAZOBAKO 東京
・屋形船駒形
・茶御飯東京
・ザッツゼンターテインメント
・三筋湯

蔵前に似た地域

自由が丘

おしゃれな飲食店が多い自由が丘は、カフェやレストランが増えた現在の蔵前に似ています

小伝馬町

小伝馬町は、蔵前と同じく上野・東京周辺のオフィス街へ通勤しやすい街のひとつです。

町田

閑静な住宅街が広がる町田は、治安のよさなどから住みやすいと注目される蔵前と通じるものがあります。
町田(町田市)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

類似地域 周辺の募集物件一覧

自由が丘・小伝馬町・町田の居抜き物件一覧

 

どんな客層?

【平日/昼】
ランチの平均単価は、1,000円以内です。台東区の昼間人口29万4,756人のうち就業者は20万人を超えており、蔵前の客層も働いている人が中心になると考えられます。

【平日/夜】【土日】
ディナーの平均単価は、2,000円~3,000円です。夜間は通勤・通学者が帰宅し人口が約17万6千人に減少するので、飲食店の利用者は地元住民が主体になるでしょう。一方、週末は観光客などで街が賑(にぎ)わうので、飲食店への来客も見込めます。

人口特性

蔵前の総人口は6,211人ですが、そのうち外国人が404人であり全体の1割近くに達します。また年齢構成は20代~40代が3,566人であり、過半数に及びます。これらは、この街の人口が示す大きな特徴と言えるでしょう。

乗降人数

都営地下鉄蔵前駅における2016(平成28)年の乗降人数は、1日に平均すると浅草線が3万5,385人、大江戸線が3万2,641人です。両線の利用者数に大差はなく、いずれも2011(平成23)年以降は増加傾向にあります。

蔵前の賃貸相場

蔵前は、駅から徒歩10分以内の物件が中心です。賃貸相場はワンルームが約6~9万円、1Kと2kは9~10万円前後、1DKと2DKは9~13万円強、1LDKと2LDKは9~17万円強、3LDKは22万円弱であり全体に幅があります。

蔵前の店舗賃料相場

御茶ノ水の店舗賃料相場は、2018(平成30)年の平均坪単価が1万9,770円です。ここ数年は2万円を超えていますが、若干、値下がりしました。また坪数を掛け合わせた賃料は、20万円未満~40万円が全体の半数近くを占めています。

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