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開業資金の融資を受ける方法|飲食店や不動産など業種別に紹介

開業資金の融資を受ける方法|飲食店や不動産など業種別に紹介

技術やノウハウ、経験がいくらあったとしても、事業をはじめるためには先立つものが必要です。

しかし、ご自身の自己資金だけで設備資金や運転資金をまかなうのは、よほどの貯蓄がない限り難しいでしょう。
かといって、それだけでの資金を個人で貯めるには時間がかかりすぎるかもしれません…。そこで利用したいのが開業資金の融資です。

今回は、はじめて開業をされる方向けの融資制度や、業種別のおすすめ制度をご紹介します。

開業資金の融資を受ける方法

新規開業の資金調達のために融資を受ける際は、日本政策金融公庫の新規開業資金、新創業融資制度と、自治体の制度、銀行融資の4つが一般的です。

以下で、それぞれの制度・融資の特徴について解説します。

日本政策金融公庫から融資を受ける

日本政策金融公庫(以下、日本公庫)とは、国が100%出資をして運営されている政府金融機関です。主な役割は以下の3つです。

●セーフティネット機能の発揮:自然災害の発生や経済環境の変化の際に、事業者のセーフティネットとして機能。また、国内外における金融秩序の混乱や大規模災害の危機によってもたらされた被害に対処する。

●日本経済成長・発展への貢献:新規事業の創出や、既存事業の再生・海外展開などを支援。政策金融に求められるニーズに対応しながら、日本経済の成長と発展に貢献。

●地域活性化への貢献:中小企業・小規模事業者および農林漁業者などが活力を発揮するための支援を推進。銀行などの民間金融機関と連携して地域のプロジェクトに参加し、地域活性化へ貢献。

上記のうち、「日本経済成長・発展への貢献」では、創業者や小規模事業者向けの支援が行われています。新規開業資金や新規開業資金制度も、そのうちのひとつです。

新規開業資金とは

新規開業資金の概要
日本公庫提供のなかでも、もっとも一般的な創業融資制度です。新規事業を開始するため、もしくは事業開始後に必要となる資金の調達に用いられます。
利用条件
利用には、以下のいずれかの要件に該当する必要があります。
1. 現職と同じ業種で開業する場合は6年以上の勤務経験がある(同業種であれば転職していても可)
2. 大学などで修得した技能に関わる職種に2年以上継続して努めており、その職種に関連した業種で開業する
3. 技術・サービスに工夫をし、さまざまなニーズに対応する事業をはじめる
4. 雇用創出になる事業の開業
5. 産業競争力強化法で規定された認定特定創業支援等事業を受けての開業
6. 地域創業促進支援事業もしくは、潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールから支援を受けての開業
7. 日本公庫参加の地域創業支援ネットワークから支援を受けての開業
8. 民間金融機関と日本公庫による協調融資を受けての開業
9. 1~8に該当しないが、新規事業について適正な事業計画書が作成されており、計画遂行に関わる十分な能力があると日本公庫に認められている(この場合、限度額は1,000万円)
10. 1~9のいずれかに該当して開業しており、事業開始から約7年以内
返済期間
設備資金:20年以内
運転資金:7年以内
※それぞれ据置期間2年以内
融資限度額
7,200万円
※うち、運転資金は4,800万円まで
利率
0.3~2.45%
担保・保証人
要相談

新創業融資制度とは

新創業融資制度の概要
新規事業を開始するため、もしくは事業開始後に必要となる資金の調達に用いられる制度。無担保無保証で融資が受けられるのが最大の特徴です。ただし、創業時の資金の10分の1は自己資金である必要があります。
利用条件 <創業要件>
新たに開業する、もしくは事業開始後税務申告を2期終えていない

<雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件>
1. 現職と同じ業種で開業する場合は6年以上の勤務経験が必要(同業種であれば転職していても可)次のいずれかの条件に該当する
2. 大学などで修得した技能に関わる職種に2年以上継続して努めており、その職種に関連した業種で開業する
3. 技術・サービスに工夫をし、さまざまなニーズに対応する事業をはじめる
4. 雇用創出になる事業の開業
5. 産業競争力強化法で規定された認定特定創業支援等事業を受けての開業
6. 地域創業促進支援事業もしくは、潜在的創業者掘り起こし事業の認定創業スクールから支援を受けての開業
7. 日本公庫参加の地域創業支援ネットワークから支援を受けての開業
8. 民間金融機関と日本公庫による協調融資を受けての開業
9. すでに開業している場合は、事業開始時に上記のいずれかに該当

<自己資金の要件>
事業開始前、もしくは事業開始後で税務申告を終えていない場合、創業時の創業資金総額における自己資金が10分の1以上
返済期間
各種融資制度によって異なる
融資限度額
3,000万円
※うち、運転資金は1,500万円まで
利率
0.3~2.45%
※代表者が保証人となることで0.1%低減
担保・保証人
原則不要、無担保無保証

自治体の制度を利用する

開業資金の調達には、都道府県や市区町村、銀行などの指定金融機関、信用保証協会による「制度融資」も利用できます。

たとえば東京都では、都内で新たに開業を計画する人に向け、年1.5~2.5%の低利率な創業融資を行っています。

据置期間も1年。日本公庫に比べれると条件は劣って見えますが、一般的な銀行からの借入(プロパー融資)に比べるとメリットが大きいです。

なお、制度融資は自治体ごとに利用条件などが異なります。おおむね共通する条件は以下です。

 事業に必要な許可を受けている
 事業が信用保証協会の保証対象業種に該当している
 税金を滞納していない
 会社の代表者が連帯保証人になる

また、自治体の制度融資窓口は都道府県と市区町村で分かれていることも多いので、両方に問い合わせをしてみましょう。

民間系の銀行から融資を受ける

開業資金を銀行からの融資でまかなうことも可能です。

ただし、民間系の銀行(とくに都市銀行)は営利が第一ですので、中小企業や零細企業への融資には消極的です。

よほどの実績などがない場合は、政府系の金融機関である日本公庫の利用がおすすめです。
そのほか、信用金庫や信用組合も比較的相談に乗ってくれやすい傾向にあります。

なお、民間系の銀行に融資を依頼するのがはじめての場合は、融資案件に強い弁護士へ相談してみましょう。

事業計画書の準備などを含め、融資通過率が上がるアドバイスをくれるはずです。

【業種別】開業資金の融資を受ける方法

開業資金の調達先としては、前項まででご紹介した日本公庫、自治体、民間系銀行が一般的です。

ただし、業種によっては独自の制度や、利用しやすい制度があります。
飲食店、不動産、個人タクシー、歯科医院を例に見ていきましょう。

飲食店の開業で融資を受ける方法

飲食店で使いやすい制度としては、「小規模事業者持続化補助金」が挙げられます。
開業後に利用できる補助金で、用途は販路開拓。
ホームページやチラシの作成、店舗のバリアフリーなどに活用できます。

また、家賃や設備、人件費などでかかった経費の2/3を補助してくれる「創業補助金」も、創業時にはぜひ狙いたい補助金制度のひとつです。

不動産の開業で融資を受ける方法

不動産会社が開業資金を調達する場合は、日本公庫の新創業融資制度、もしくは自治体の融資制度を利用するのが一般的です。
そのほか、地元の地方銀行や信用金庫が打ち出している創業融資制度についてもチェックしておきましょう。

個人タクシーの開業で融資を受ける方法

個人タクシーを開業する場合の資金調達先は、日本公庫の新創業融資制度がおすすめです。
また、個人タクシーをはじめるには最低でも10年のタクシードライバー経験が必要です。

もしも年齢が55歳を超えているのなら、シニア起業家支援資金が利用できる可能性がありますので、こちらも確認しておきましょう。

歯科医院の開業で融資を受ける方法

歯科医院を開業する場合は、福祉医療機構からの融資が期待できます。
医療機関、福祉施設独自の融資制度であり、長期かつ低金利(固定)も条件次第で可能です。

とくに、クリニックなどを建築する場合の資金として借入が行われる傾向にあります。

融資限度金額
建築費:5億円以内
土地取得費:3億円以内
返済期間
耐火建築物:20年
準耐火建築物以下:15年
利率
0.9%(固定)
担保・保証人
原則1名必要

なお、歯科医院および無床診療所は、福祉医療機構が定めている診療所不足地域に所在していることが条件になるのでご注意ください。

自己資金なしで開業する方法

ここまでいくつかの融資制度をご紹介しましたが、いずれの場合もある程度の自己資金は必要です。

とくに、創業者にとってメリットの大きい「新創業融資制度」は1/10の自己資金を要件に設定しているため、
必要な融資金額が大きくなればその分だけ自己資金の額も増えていきます。
そのため、ある程度融資をスムーズに進めるためには、まずご自身が働いて得た収入を貯めることからはじめましょう。

ただし、自己資金が少ない、もしくはない状態で融資が受けられないわけではありません。
以下から、自己資金が少なくても事業をはじめる方法についてご紹介します。

共同経営者の貯蓄

もしもご自身だけでなく、一緒に事業を起こそうと考える共同経営者がいるなら、二人の貯蓄を合わせた額を自己資金として提示できる可能性があります。

自己資金額が増えれば融資の条件にも該当できるようになり、開業資金を借入でまかなえる可能性があります。
ただし、自己資金を提示する際には、共同代表者の通帳も求められますのでご留意ください。

家族や親族からの支援

家族・親族からの援助は、あくまでも支援であり自己資金とは見なされず、余剰資金(当面使う予定のないお金の意味)として扱われてしまいます。

とはいえ、開業時の資金援助が助かるのは間違いありません。

なお、資金援助の金額を後から把握・確認しやすくするために、現金手渡しなどではなく、口座振り込みを利用しましょう。

まとめ

開業はスタート時点がもっとも大切です。
事業が動き出す前に必要な設備を整え、軌道に乗るまでは赤字に耐えられるだけの体力を蓄えておかなければなりません。

資金的に余裕を持ちながらビジネスに集中するためにも、今回ご紹介した融資制度の利用をぜひ検討してみましょう。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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