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オリンピック開催間近!飲食店でパブリックビューイングを行う方法と注意点

オリンピック開催間近!飲食店でパブリックビューイングを行う方法と注意点

飲食店の生き残りが難しいといわれる時代のなかで、他店舗との差別化は重要な課題です。その方法のひとつにパブリックビューイングがあるものの、著作権の問題やライセンス料なども絡んでくるので、二の足を踏んでしまう人もいるかもしれません。そこで今回は、パブリックビューイングの現状を踏まえつつ、飲食店でパブリックビューイングを行う方法を紹介します。

パブリックビューイングができる飲食店が人気

仲間内やファンなどが一緒に飲食をしながらスポーツ観戦を楽しめるとして、パブリックビューイングができる飲食店の人気が高まっています。2020年の東京オリンピックでも需要の高まりが予想されますが、そもそもパブリックビューイングとは何なのでしょうか。歴史を含めてパブリックビューイングの基本を見ていきましょう。

パブリックビューイングとは

パブリックビューイングは、大画面でスポーツ観戦をして一緒に盛り上がるもので、さまざまなスポーツイベントで活用されています。ただ、パブリックビューイング自体には明確な定義はありません。

パブリックビューイング.jp(株式会社電通スポーツパートナーズ)によると、パブリックビューイングイベントは「個人の住居以外の場所に、大型テレビ・モニターを設置して、集客を目的として試合の映像をライブ中継すること」としており、これがパブリックビューイングの意味としても用いられているようです。

都市部ではスタジアムをパブリックビューイングイベントの会場として使われることもありますし、地元出身選手を応援するために地域のコミュニティセンターを開放してパブリックビューイングイベントを開催することもあります。また、飲食店で行われるパブリックビューイングイベントでは、美味しい料理やお酒とともにスポーツ観戦を楽しめるのが魅力で、オリンピック開催に伴う需要が期待されています。

オリンピックやワールドカップでパブリックビューイング需要が高まる

大きなスポーツイベントが開催されると当たり前のように行われるパブリックビューイングですが、その始まりは2002年の日韓ワールドカップのときだとされています。当時は多くのファンが集って一緒に応援できるような場所はなく、会場またはテレビで観戦するしか方法がありませんでした。

そこで、たくさんのサッカーファンの要望によりパブリックビューイングが実現したのです。その後は急速に拡大することになり、スポーツイベントだけにとどまらず、音楽イベントやロケットの打ち上げなど多様な場面で活用されるようになりました。

世界に目を向けると、ドイツではワールドカップ決勝戦を観戦するためにパブリックビューイングイベント会場に20万人ものサポーターが駆けつけたといわれています。実際に会場に行きたくてもチケットがなくて入れないという状況は、東京オリンピックでもありえます。飲食店内でオリンピックが見られるとなれば、来店につながる可能性は高いでしょう。

パブリックビューイングが著作権に違反する場合もある

Calligraphy word of trademark in white background. Chinese or Japanese. 3D rendering

オリンピックでパブリックビューイングの需要が高まる一方で、気をつけなければならないのが著作権の問題です。後になって大きな問題にならないように、飲食店ではどのような点に気をつければいいのか確認しておきましょう。

大型スクリーンで放映する

Vintage movie projector is projecting blank screen on wall. 3D rendered illustration.

飲食店内で多くのお客様に迫力のある映像を届けるためには、プロジェクターを使って大型スクリーンに映すのが効果的。ところが、この方法は著作権法に触れる恐れがあります。著作権法38条3項では、営利を目的としないことに加え聴衆から料金を受け取らない場合、通常の家庭用受信装置を使用する場合に限り放映しても良いことになっています。

大画面テレビや一般家庭で使用できるプロジェクターなら「通常の家庭用受信装置」として認められたとしても、あまりにも大きなプロジェクター設備は認められないと考えて良いでしょう。実際に、あるホテルでは300インチのプロジェクターを使用してパブリックビューイングを開催しようとしたところ、著作権者から中止を求められたというケースがあります。

営利目的での鑑賞

前述のように、著作権法では営利目的で来店客からお金を受け取って放映することは認められていません。ここでいう営利目的とは、飲食店自体の営利ではなく、パブリックビューイングで利益を出そうとすることです。たとえば、パブリックビューイングをすることを告知して集客したり、パブリックビューイングの視聴料分として飲食代とは別に料金を徴収したりすることなどが該当します。

どうしてもパブリックビューイングで利益を出したいと考えるなら、著作権者への申請と審査を通過したのち、ライセンス料を支払って放映しましょう。ちなみに、2018年に行われたワールドカップでは、収容人数が500人未満のスペースで20万円(税別)のライセンス料でした。東京オリンピックでも同程度かそれ以上の金額になるのかもしれませんね。

飲食店でパブリックビューイングをする前にチェックすべきこと

Checklist concept, Businessman checking mark on the check boxes with marker red, copy space

開業後、実際にパブリックビューイングを行うと決めた場合は、パブリックビューイングを放映できる条件やライセンス料、ルールに従った放映資格の申請方法などを知っておく必要があります。始めるときになって慌てないように確認しておきましょう。

パブリックビューイング放映の資格が必要な場合

Licenses Concept on File Label in Multicolor Card Index. Closeup View. Selective Focus. 3D Render.

ワールドカップ・パブリックビューイング事務局によると、パブリックビューイングを開く際には商業イベントはライセンス料として20万~365万円がかかります。最低金額である20万円のライセンス料でさえも、小規模の飲食店にとっては酷な話ですし、あまり現実的ではありません。

非商業イベントとしてパブリックビューイングを開く場合は5万円のライセンス料ですから、集客につながれば売上でカバーできそうな気もします。とはいえ、5万円のライセンス料も払いたくないというのが新米経営者の本音ではないでしょうか。

非商業イベントとして営利を目的とせず、しかも家庭用のテレビサイズ程度の大きさなら著作権法にも触れないのでライセンスは不要なように思えます。実際にFIFAのルールでも、非商業パブリックビューイングは「実施者が商業的利益を得ないイベント」であり、5,000人を超える参加者がいなければライセンスは不要となっています。

ところが、パブリックビューイング事務局では「契約は国ごとによって異なり、すべての国でFIFAのルールがそのまま適用されるわけではない」としていて、日本国内では非商業イベントでもライセンスが必要です。ただし、どのような条件下で開催されるパブリックビューイングならライセンスが必要なのかなど詳細については明確になっていないため、パブリックビューイングを開く際は事務局に相談したほうが良いでしょう。

パブリックビューイング放映資格の申請方法

Applicant filling in company application form document applying for job, or registering claim for health insurance

では、パブリックビューイングを放映する資格の申請方法について見ていきましょう。放映資格を取得するには、パブリックビューイング事務局に対して申請する必要があります。所定の実施申請書に必要事項を記入したうえで事務局に申請してください。

ワールドカップやオリンピックの中継を最も多く行うのはNHKですから「放送同時公開申込書」の提出も忘れずに。また、警備計画書類、所轄の警察署と消防賞への届け出資料の提出が必要な場合があります。

申請の受付後は、審査を経てパブリックビューイングに該当するか否かが決定されます。パブリックビューイングだと判断されてライセンス料が有料となった場合は事務局から請求書が発行され、入金をした後に許諾を得られます。

パブリックビューイングをする際の集客方法

パブリックビューイングをすると決めても、肝心のお客様が来店してくれなければ意味がありません。そこで、少しでも多くのお客様に来店していただくための集客方法を紹介します。パブリックビューイングに限った集客方法ではないので、通常営業の集客にも取り入れてみてはいかがでしょうか。

集客方法の例

パブリックビューイングを行う際は、集客の工夫が必要です。コストをかけたくないなら来店客に口頭で宣伝し、口コミで広めてもらえるようにお願いするのも良いですが、期待は薄いでしょう。それよりは、観戦スケジュールを店頭看板で通行人に告知し、店内POPで来店客にアピールするのがおすすめです。

コストを抑えた告知方法としては、SNSを使うのも効果的です。TwitterやFacebookでパブリックビューイングを行うことを事前に告知しておくと思わぬ広がりを見せて、当日は満席状態の営業となるかもしれません。

集客のコツ

集客をするために、闇雲に宣伝を続けても効果を得られるわけではありません。まずはターゲット設定から始めて「誰に何を見せたいのか」を明確にしましょう。オリンピックにはさまざまな競技があるので、営業時間と試合時間が合致しつつ、集客につながりやすいと思う種目を絞り込んでみましょう。

どの競技を放映するのかを絞り込んだら、次は伝え方を考えてみましょう。店頭看板や店内POPを活用した告知では、タイトルをキャッチーにして目を引くように工夫をこらします。タイトルの下には、パッと見ただけで「いつ・どこで・何があるのか」がわかるように説明を加えましょう。

まとめ

飲食店経営者にとって2020年に開催される東京オリンピックは、集客につなげられるビジネスチャンスです。パブリックビューイングに関する著作権や放映資格などの問題はあるものの、解決するのが難しいものではありません。実際にパブリックビューイングを行う際は、事前の告知に力を入れ、一人でも多くのお客様に足を運んでいただきましょう。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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