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飲食業界にも広がる“サブスク”。効果や楽曲サブスクとの違いは?

飲食業界にも広がる“サブスク”。効果や楽曲サブスクとの違いは?

音楽業界を発端に爆発的な広まりを見せた“サブスク”。
2019年には「サブスク」が流行語大賞にノミネートされました。
楽曲のみならず様々な業界にサブスクが波及した今では、誰もが日常的に耳にする言葉となりました。

サブスクとは?

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サブスクは「サブスクリプションサービス」の略であり、「予約購読」を意味する英単語”subscription”が語源となっています。
いわゆる定額制サービスを指し、月次や年次で定額料金を支払うことで、定められたサービスを受けることができます。

サブスクが広まるきっかけとなった音楽業界では、ユーザーが定額料金を支払うことで、加盟するミュージシャンやレーベルの曲が聴き放題となるWEBサービスを提供しています。
同様のサービスは古くから存在しており、新聞の月額制・年額制による定期購読も語源の通りサブスクに該当します。

様々な業界に波及したサブスク

音楽業界でのサブスクは2010年代後半ごろより頭角を現し始め、2018~2019年頃に爆発的に流行。その後、追随するように様々な業界で「サブスク」を名乗るサービスが開始されました。

楽曲以外でのサブスクは「サブスク元年」とも呼ばれている2019年より広まりが顕著に。
ファッション業界や眼鏡業界では、定額料金を支払うことで期間中に服や眼鏡を交換可能となるサービスが開始。シェアハウスにもサブスクが登場し、月4万円で様々な拠点に住み放題となるサービスに応募が殺到したことがニュース等で話題となりました。

2020年1月時点では無数のサブスクが展開されており、自動車産業の世界的大手であるトヨタまでもが“クルマのサブスク”を提供するほど、大きな広まりを見せています。

サブスクは飲食業界でも!

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サブスクの波は飲食店にも到来。
月額料金を支払うことで飲み放題・食べ放題が毎日利用可能となるサービスや、定められたメニューを無料で注文できるタイプのサブスクが主に展開されており、いわば定期券のようなサービスが主流となっています。

飲食店のサブスク実施例

ラーメンのサブスク

関東で15店舗を展開する「野郎ラーメン」では、月額8600円で特定のラーメンを1日1杯注文できるサービスを実施。
(出典:【野郎ラーメン】サブスクリプションモデルを11月1日リリース 定額で野郎ラーメンが食べられる – 株式会社フードリヴァンプ

野郎ラーメン
スマートフォンアプリの購入画面

2017年に開始されたサービスであることから、飲食系サブスクの“第一人者”ともいえるサービスです。
サブスクで注文可能なメニューで最高値となる880円のラーメンを31日間食べ続けた場合、サブスクを利用していない場合の総額は27280円となります。
サブスクを利用した場合は8600円となるため、このようなお得感が話題を呼び、様々なメディアでも取り上げられました。

焼肉食べ放題・飲み放題のサブスク

大手焼肉チェーンの牛角もサブスクを開始。
中でも、月額11000円で毎日食べ放題を利用できるサービスは、対象店舗が限られているにも関わらず大きな話題となりました。
他にも月額1628円での飲み放題プランや、月額385円のカルビ専用ごはん食べ放題プランもあり、リリースと共にインターネット上で大反響を呼びました。
(出典:牛角のサブスクリプションが話題 月額1万1000円で焼肉食べ放題|ライブドアニュース

ランチのサブスク

2019年には、月額5980円で加盟店のランチを追加料金なしで利用できる『always LUNCH』が始動。
(出典:LUNCH|毎日ランチが楽しめる定額サービス

always
スマートフォンでの購入画面

東京、大阪、京都、福岡の主要ビジネスエリアの飲食店が加盟しており、主にオフィスワーカーに注目されているサブスクです。

大手飲食チェーン以外でも導入されているサブスク

<納豆の一生涯サブスク>

茨城県水戸市の納豆ご飯専門店「納豆スタンド 令和納豆」では、1万円で納豆ご飯が一生涯無料となるパスポートを販売。即日完売するほどの人気となったことが話題になりました。
(出典:納豆スタンド「令和納豆」一万円で納豆ご飯を一生涯無料にするパスポートを1,000名分追加 – LAWRENCE – Motorcycle x Cars + α = Your Life.

<うどんのサブスク>

東京・蒲田の「ミノラス食堂」では、月額定額制のうどん食べ放題サービス「FREE LUNCH」を月額540円で提供。
月額料金を支払うことで、かけうどんが1日1杯無料となります。
(出典:【月額540円】蒲田で定額制うどん食べ放題のミノラス食堂がオープン。|DELICIOUSのプレスリリース

このように、大手飲食チェーンや特定のサービス加盟店以外でも、店舗独自のサブスクを導入するケースが増加しています。

飲食店がサブスクを導入するメリット

merit

集客増への期待

サブスクリプションサービス導入によって生じる一番のメリットは、何と言っても集客でしょう。
もちろん、サービスの存在を広めるためには戦略的なPRが必要となりますが、話題になれば集客増への期待が一気に高まります。

また、加盟店を募って実施するサブスクも存在します。
そのようなサービスに加盟し、利用可能店一覧に掲載されることで広告的効果を狙うこともできるでしょう。

他店との競合に打ち勝つための一手に

2019年10月に消費税が増税。消費者の経済事情はより厳しくなりました。
サブスクが爆発的に普及した背景には、消費者が「より安い方」「よりお得な方」を求める傾向となった事情があることが推測できます。

消費税増税により店内での飲食は税率10%となったことから、飲食店では利用客が「よりお得な方」を求める割合が特に高くなったといえる昨今。
サブスクでお得に利用できるお店だと認知されるようになれば、他店舗との競合に打ち勝つための強力な一手になり得るでしょう。

リピーターを作るチャンス

サブスクによって注目度が高まれば、新規客の来店も増加します。
お得な利用が目当てで新規来店した方にお店の味や良さを知ってもらうことで、他のメニューの注文やサブスク対象時間以外の来店に繋げるチャンスが生じます。

サブスクを導入した際は、お店の売りやの他のメニューに関するPRもしっかりと実施することも肝心です。
サブスク以外のウリもしっかりとアピールしていくことで、お店のファン・リピーターを新たに作るきっかけにもなります。

飲食店がサブスクを導入する際の注意点

注意点

・利用者が爆発的に増えても利益を確保できるか
・多数の来店や予約を捌ききることができるか

飲食店がサブスクの導入を検討する際には、上記2点を考慮に入れる必要があります。

楽曲と飲食の明確な違いは「消費の有無」と「コストの掛かり方」

もともと、サブスクは楽曲の定額聴き放題が大普及の要因です。
ブームの発端となった音楽業界と飲食業界におけるサブスクの明確な違いは、何と言ってもコストの掛かり方

WEB上で楽曲を提供する場合、楽曲のデータを一度アップロードすれば、利用者が殺到しても曲のデータが消費されることはありません。
アクセスが殺到しすぎたためにサーバーの増設を要するような一大事となる可能性はあり得ますが、既存の提供物と同じものを増やすことは基本的に不要であり、同じ曲のデータを注文数に応じて生成する必要はありません。

一方、食品や飲料を商材とする飲食のサブスクとなると、利用者が増加するにつれて商材である飲食物が消費されていきます。
サブスク利用者からの注文があるたびに商材のコストが嵩む点は、データを商材とする楽曲サブスクとの大きな違いです。
あまりにも利用者が増えすぎて赤字となったとしても、顧客から定額料金を受け取っている以上、有効期間中は対象となる飲食物を利用者へ提供し続けなければいけません。

反響の予測と増客への対策が肝心

前述の牛角によるサブスクは2019年11月29日に販売が開始されたものの、約1か月後の1月7日に定額制食べ放題の終了が発表されました。
販売終了を知らせるプレスリリースには、「多くのお客様から反響を頂き予約で連日お席が埋まりご来店いただけない状態になっております。」と記載されており、捌ききれないほどの来客があったことが伺えます。
(出典:牛角「焼肉食べ放題PASS (11,000円) 販売終了のお知らせ|株式会社レインズインターナショナル

飲食店のサブスクには「集客」という大きなメリットが生じる期待が大きい反面、あまりにも話題になりすぎてしまった際には店舗の回転に影響を及ぼしてしまうリスクも持ち合わせています。

安易に乗ることは危険!導入要否は落ち着いて判断を

サブスクといえば楽曲をイメージしてしまいがちですが、音楽業界と飲食業界のサブスクは本質が異なります。
コストの掛かり方やリスクなど、他業界のサブスクとの違いが多く存在することを決して忘れてはいけません。

「サブスクが流行っているから」と安易に手を出すことはせず、飲食のサブスクならではの特性やリスクをしっかりと理解し、集客の予測や対策を立てたうえで導入要否を判断することが重要です。

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