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脱サラ開業者のヒヤリハット事例集

脱サラ開業者のヒヤリハット事例集

初めての飲食店開業は、どうしても暗中模索状態になってしまいがち。
特に飲食店で勤務した経験がない方が“脱サラ”して初めての飲食店開業に挑む場合は、なおさら右も左も分からずに手探りで進んでしまう傾向が高くなります。
そうなってしまうと、何かしらの見落としや勘違いは発生しやすくなってしまいます。

今回は、脱サラ開業を経験した“先輩”に「ヒヤリハット」に関する経験談を聞き取り調査しました。

ヒヤリハットとは

ヒヤリハットとは、もともとは医療業界や航空業界で用いられていた言葉。
幸いなことに大事には至らなかったものの、ヒヤリとした出来事を指します。

そのような事例を収集・把握することで、致命的なトラブルの回避や、万が一の事態が起きた際の対策を準備しておくことに繋がります。

脱サラ開業者のヒヤリハット事例集

飲食店での勤務経験がない状態で脱サラ開業を果たした方々に、これまでの経験におけるヒヤリハットを伺いました。

今回は経営に致命的な打撃を与えることはなかったものの、「ヒヤリとした」「このまま続けていたら危なかった」と感じた出来事をヒヤリハットとして定義。
先人たちの事例を参考に、ぜひトラブル回避や対策の準備にお役立てください。

経費の出費が予想以上

脱サラ開業経験者からは「経費の出費が予想以上だった」との声がよく挙がります。
経費に関するヒヤリハットは、大きく分けて2パターン。
主に、費用が想定以上の金額であったパターンと、費用がかからないと思っていたものが有料であったパターンに分けられます。

えっ!?そんなに高いの!?

2018年に脱サラしてバーを開業したA(仮名)さんは、飲食店経営に関わる経費が予想以上であったと振り返ります。

無類のお酒好きであることから、Aさんはお酒に関してはだいたいの原価は把握しており「小さいお店だけど、これぐらいのお酒を揃えて、毎日これぐらいの集客ができればそれなりに利益は出るだろう」との見通しを立てながら開業へ動き出しました。
しかし、蓋を開けてみると、想定していた利益は非現実的であったことに気付きます。
その要因は、経費。

「まず、おしぼりのレンタルサービスが1ヶ月で7千円ほどかかることが驚きでした。7千円ぐらい大したことはないだろうと思われるかもしれませんが、カウンターのみの小さなお店なので、月々の電話代などの支払いですら痛手なのに、この誤算はキツかったですね。」

飲食店での勤務経験がないと、おしぼりレンタルサービスの相場はなかなか分かりません。
それだけでなく、Aさんは想定外に経費がかかった物がもう1つあるといいます。

「氷屋さんの氷も思った以上に高かったですね。行きつけにしているバーのロックがおいしくて、秘密を聞いたら氷だと。そのお店が使っている氷屋さんを紹介してもらったのですが、思っていたよりも遥かに高くて…。ただ良い水を持ってきて凍らせるだけじゃないんだ、プロの腕前に頼ることはそれなりの費用がかかるんだと学びました。」

お酒に使う氷についても、氷屋さんの氷を使用するのであれば、それなりの費用を要します。
とはいえ、お酒に力を入れたお店にしたいことからも、氷だけは妥協できない―。
Aさんは試行錯誤をしながら別の経費を必死に削り、氷屋さんの良い氷を導入する余裕をなんとか確保したと振り返ってくれました。

えっ!?これってお金がかかるの!?

【店舗物件には消費税が課税される!?】
特に多く寄せられたヒヤリハットのひとつが、店舗物件に関する消費税。
事業を行うための物件は課税対象となるため、店舗物件の家賃や造作譲渡費に関しては消費税がかかります。しかし、新規開業者は意外と見落としがちなポイントでもあります。

見落としてしまう要因を探ってみると、以下の2点が見えてきました。

・住居物件の家賃は非課税であることから、店舗物件は課税されるとは思ってもみない。
・分からないことや不安が多く暗中模索状態となっているため、課税についての表記や説明の見落としや聞き落としが起きてしまった。

話を伺ってきた方々の中には、見積もり段階で気付いた方もいれば、請求書を受け取った段階や振込み段階で消費税の存在に気付き、ものすごく焦ってしまったという声も。
店舗物件の家賃や造作となると数十万~数百万円。高価な造作であれば数千万円となるものもあるため、その分だけ消費税は高額に。税抜き価格を総額であると誤認していた場合は、本体価格が高額であれば高額であるほど差額は大きくなってしまうため、注意が必要です。

【グルメサイトへの情報掲載は有料!?】
グルメサイトへの店舗情報掲載もよくある落とし穴。
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーといった大手グルメ情報サイトに“店舗主導”で情報を掲載する場合は有料であることを知らなかったという方も多くいました。

ユーザーが店舗の情報を登録し、店舗を利用した際の口コミを書くだけであれば、店舗に対して費用は発生しません。
店舗側から詳細な情報を掲載することもできますが、その場合は有料となります。
しかし、ユーザーは無料で使えることや、店舗側がお金を掛けて情報を掲載しなくとも多くの口コミで活性化しているページもあることなどが相まって、全て無料で出来てしまうと誤認してしまう方も少なくないようです。

2017年に都内でレストランを開業したBさん(仮名)は、グルメサイトに情報を掲載することを前提として開業準備を進めていました。
内装工事に立ち会っている際に、ちょうどグルメサイトの営業が。
話を聞き、「写真撮影もしてくれるんだ!これは利用しよう」と思った矢先、見積もりの話となり驚いたといいます。

「え!金取るの!?これって詐欺じゃないの!?」

大手の名をかたって名刺まで偽装した詐欺なのでは!?
そう思って憤慨してしまったBさん。

「なぜお金をかかるのかを説明されて、その後自分で調べてみて、『そりゃ、全部無料でサービスなんて成り立たないよな』と思いました。世間知らずだったというか、担当の方に憤慨してしまって恥ずかしい限りです…」

サービスを運営していくために“費用”は必要不可欠という認識は大事―。
これがBさんの教訓です。

食材にこだわりすぎて価格帯が高価に

長年ビジネスマンとして勤めていたCさん(仮名)は、定年退職を機にそば屋を開業。
もともとそば打ちが趣味であったCさんは、家族や友人に手打ちそばを振る舞うことが大好きでした。
自慢の手打ちそばには、産地にこだわった国産ブランド銘柄のそば粉と小麦粉を使用。天ぷらの野菜もオーガニック農家から取り寄せ、趣味で作ったとは思えない出来が評判でした。

評判の味を多くの人に楽しんでもらいたい―。
そう考えての開業であったことからも、当初は趣味のそば打ち同様に高級食材を取り揃えることに決めました。

しかし、ここに思わぬ落とし穴が。

利益を確保するためには1杯2,000円以上

良い食材を使って良い料理を提供するため、Cさんは「原価が高いことは仕方がない」と考えていました。
しかし、融資を受けるために創業計画書を作成していたCさんは、そのような考えでは経営が上手くいかないことに気付きます。

「1杯あたり2,000円以上の価格帯になってしまう」

店舗物件の家賃や経費といった出費、必要となる家族の生活費などを考慮すると、必要な利益を確保するためにはそば1杯あたり2,000円以上の価格帯となってしまうことに気付きました。
その後、一部の食材を価格の低い物に変更することでメニューの価格帯を下げたというCさん。
しかし、自身の料理に絶大な自信を持っての開業決意であったことからも、食材の変更は葛藤との闘いであったと振り返ります。

実質的に“趣味の延長線上”のような形での開業は望ましいものではありません。趣味と経営は別物であると考え、経営者としての意識を持って取り組むことが重要です。

価格帯が地域住民に合っていなかった

こちらもCさんのヒヤリハット。
利益確保のために一部の食材を価格の低い物に見直し、そばの価格は1杯1000円台になりました。
変更後の食材でも自身が納得のいく味が実現でき、これならいける!との自信を持ってオープンを迎えました。

しかし、オープンから数週間後にグルメサイトで「高い」との口コミが寄せられます。

口コミ

原因は商圏分析の不足

オープン当初の価格は最安のそばが1,100円。天ぷらなどが付くと1,300円~1,800円ほどの価格帯。
業界内では同様の価格帯のそば屋が数多くあることを踏まえての価格設定でした。

しかし、Cさんのお店が開業した地域は学生が多い街であり、単身者向けの比較的リーズナブルな賃貸アパートも多数。
そう、1杯1,000円を超えるようなそばは「高い」と思われてしまう地域だったのです。

オープンからなかなかリピーターがつかないことに悩んでいたというCさん。
「立地も味もいいのに、なぜリピートしたがらないのか」
そう思い続けていたといいますが、原因は1,000円以上のそばを「高い」と感じる地域性にありました。

開業前の現地調査や商圏分析について伺ってみると、Cさんからは「駅から近いことや、競合店が少なく、中華屋さんとファストフードチェーンがいくつかあることはしっかりと調べた」との返答。
しかしながら、Cさんの行ったことは「駅から歩いて〇分」「ここに〇〇がある」「〇〇がいくつある」といった所在、存在の確認のみとなっており、近隣飲食店の価格帯やメニュー、近隣住民の属性や動きなどは調査をしていませんでした。

今では高級食材に頼らずとも美味しい料理を提供するという考えに改め、学生や単身者でも親しみやすい価格となりました。
リピーターも増えてきているとはいえ、Cさんは「価格帯と住民の財布事情の乖離に気付くのが遅すぎた」と語ります。

現地調査や商圏調査では、所在・存在の確認だけでは不十分。
実際に近隣住民の属性や動きを調査し、周辺の飲食店を訪れてみてメニュー展開や価格帯、利用客の注文傾向なども確認しておくことを推奨します。


Written by 新規開業者を応援します!ABC店舗

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