インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

小田急町田駅から徒歩2分
“最深スープ”は和風でまろやか

「麺屋 奨 Tasuku 町田店」は、小田急町田駅の北口に出て、南国酒家とローソンの間の道を一直線に徒歩約2分。変則的な六叉路の右手にあるビルの2Fだが、立て看板や階段に「奨」の文字とラーメンの写真が載ったの大きなタペストリーがあるので分かりやすい。

2Fには3店舗入っており、階段を上って正面が「麺屋 奨 Tasuku 町田店」だ。右手に券売機があり、左手に客席と厨房が広がる。黒と白を基調にしたシックな店内に一部だけアクセントの赤い壁…客席は「奨」のロゴ同様のイメージカラーで彩られ、オシャレで落ち着いた空間となっている。

「奨」の最大の特徴は“最深スープ”と名づけられた味わい深いスープだ。豚ゲンコツ、鶏胴ガラをベースに鰹節他魚ダシを合わせた和風でまろやかなスープをベースに、らーめん・辛みらーめん・つけ麺の3種類のメニューがある。麺は細麺か太麺か好きな方を選べるようになっていて、量も基本の1玉150gの他100g、225g、300gと4段階設けられている(つけ麺はノーマル・大盛り・超大盛りの3段階)。そしてらーめんやつけ麺を食べた後は、残ったスープを雑炊にできるのも魅力の一つ。“最深スープ”を余すところなくいただけると好評だ。一度丼を下げて作り直して提供されることに驚くお客様も多い(セットを除く)。季節毎に限定メニューを出していて、10月からは味噌らーめんが始まった。もちろんこれも雑炊に合うようスープが調合されている。

高校時代から先生にスカウトされていた!?
5年後に異業種から転身

社長の鈴木さんは、元々幼稚園の体育の先生という珍しい経歴の持ち主。その後福祉関係の仕事に就き、どちらも天職と言ってもいいくらい大好きな仕事だった。飲食業へ転身したのは、高校の先生のスカウトによるもの。実は高校時代から3年間担任だった先生に「ラーメン屋を開かないか?」と誘われていたのだそうだ。その頃は特に興味がなく断って別の道に進んだが、友人の結婚式などで会う度に誘われたというから、よほど見込まれていたのだろう。仕事を始めて5年ほど経ち、手に職を付けてもっと自分のしたことが身になる仕事、たとえば作ったものが直接評価されたり成功につながることがしたいと考えるようになった。そして担任の先生の自宅に招かれて食べた手作りのラーメンが美味しかったので、これだったらやってみようと転職を決意した。

他の店で修行はせずにいきなり先生が開いた店の店長となって、先生が作ったラーメンをベースに新たに二人で商品開発をした。ここで9年間さまざまな経験を積み、7年前に独立して小田急相模原に最初の店舗を構えた。

オリジナルの器を使いたいと叔父さんを説得
地域密着型のお客様に寄り添った店作りを

自分の店を持つにあたって、特色を出すために鈴木さんがこだわったのが器だ。陶芸家の叔父さんにオリジナルの器を作ってもらい店で使いたい!その説得に2〜3年かかった。「実はそれもあって独立までの期間が9年に延びちゃったんです(笑)」というこだわりよう。器の形状は「狭く深く」と頼んだ。うどんの丼っぽくならないよう試行錯誤を繰り返し、当初はさまざまな形の器があったそうだ。スープが冷めず香りを立たせるよう工夫された独特の形状。2店舗目を出す頃には現在の形に安定し、もちろん町田でも使われている。現在は小盛り用・中盛り用・大盛り用・雑炊用の4種類の丼に加え、ビール用のタンブラー、四角い小皿があり、すべて叔父さんと鈴木さんのご両親の作。手作りの温かみが感じられるこれらの陶器は「奨」の重要アイテムだ。

もう一つのこだわりが「お客様と向き合うこと」。1号店のオープン当初はお客様にアンケートを書いてもらい味の感想や定休日は何曜日がいいかなどを聞いて、お客様と一緒にお店を作り上げていった。幼稚園の先生や福祉関係という経歴もあって「地域密着型のお客様に寄り添ったお店を作りたい」という想いを強く抱いている。「どれだけお客様のニーズに応えられるか」をとことん考え、豚骨が苦手な人にも年配の方にも女性にも召し上がっていただけるラーメンを目指した。だからこそ麺の種類や量を選べるシステムを作り、どの店舗でも「味が濃かったり薄かったりしたら言ってくださいね」とお声かけしている。食べ終わってから感想を伺うこともある。そういう会話からお客様にこの空間や提供されているものへの安心感を持っていただき、落ち着いた雰囲気のお店作りを心がけている。

厨房や内装もお客様のために
階段を上がればそこに居心地のいいお店がある

3店舗目となる「麺屋 奨 Tasuku 町田店」は、お客様の要望を取り入れてテーブル席を3つ設けた。鉄だったカウンターには壁と同じ木材をタイルのように貼って温かみを出し、カウンター席は間隔をゆったり取っている。その一部はベンチシートになっており、お子様連れにも好評だ。カウンター上部の棚には器をディスプレイしてあり、お客様との会話に一役買っている。

ラーメン屋さんというと店内が暑いというイメージが強いと思うが、ここはそうではない。厨房に壁を作ってスープ室の熱が客席に伝わらないように工夫してあり、火元もカウンターから遠ざけた場所に移動した。そのため厨房の床を一段高くして排水や配管、換気などにかなり手を入れ、内装工事費は予算を大幅に上回ったが、客席が暑くないラーメン屋を作ることができた。

町田はラーメン激戦区の一つ。だが、器だったり雑炊だったりという特色と、回転率ではなくお客様に寄り添うことを重視した接客で勝負する「麺屋 奨 Tasuku 町田店」。「2Fにあることでデメリットもありますが、ちょっと階段を上がれば居心地の良さや親しみやすさを感じてもらえるお店があるということが1年2年していくうちにこの街の人に浸透していけばいいですね」と鈴木さんは語ってくれた。
(取材日:2016年9月30日)

鈴木 将治さん
体育の専門学校を卒業後、幼稚園の体育の先生と福祉関係に従事していたという異色の経歴を持つ。どちらも天職と感じられるほどやりがいを感じていたが、自分のやったこと、考えたことが直接評価される世界で勝負したいと、飲食業界へ飛び込む。高校時代からことある毎に誘ってくれていた恩師の経営するラーメン屋で9年間店長を務め、2009年10月、小田急相模原駅前に「麺屋 奨 TASUKU」をオープン。和風のまろやかなスープと丁寧な接客が評判を呼び、2013年に2号店を中央林間駅に、そして2016年5月に3号店となる「麺屋 奨 Tasuku 町田店」をオープンした。

麺屋 奨 Tasuku 町田店
住所:町田市森野1-35-4 TM5ビル2F
TEL:042-851-8322
営業時間:月〜土 11:00〜14:30/18:00〜23:30
日・祝 11:00〜21:00 *スープなくなり次第終了
定休日:無休
店舗情報:Facebook食べログ