インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

レコード盤がズラリ!DJが選曲するBGMが流れる店
手作りのテーブルやカウンターでくつろぎのひとときを

「焙煎DISCO茶蔵」はJR高円寺駅北口から徒歩約5分。純情通り商店街を楽しみながら突き当たりを左折して庚申通り商店街へ。ここを右折しそのまま庚申通り商店街を進み、ドーナツ屋さんを目印に横道へ入ると「焙煎DISCO茶蔵」のウッドデッキが見えてくる。ウッドデッキに足を踏み入れると、いきなり別世界のようなくつろぎの空間へ誘われる。店内に入ってまず目に飛び込んでくるのはDJブースと壁に飾られた数々のレコード。平日夜や土日にはDJが生で選曲するBGMが流れる。ここでは“和”と“音楽”が楽しめるのだ。お食事は四季折々の食材を活かした日替わりメニューの和食、飲み物は静岡の老舗お茶農家が蔵前に構えたNAKAMURA TEA LIFE STOREさんから仕入れている日本茶とそのお茶を使ったドリンク、茨城のコーヒー・ア・ゴー!ゴー!さんから仕入れた茶蔵オリジナルブレンドコーヒーなど、こだわりつくしたメニューがいただける。オープンは14時とゆっくりめで18時までランチメニューが提供され、18時以降はディナータイムとなってメニューが変わり、お酒も楽しめる。電源やWi-Fiも完備でノマド利用をするにも重宝だ。木のぬくもりが感じられる手作りのテーブルやカウンターがあり、居心地の良い憩いの場として地元の方々に愛されている。

長髪が飲食業へのきっかけ!?
核になる商品「日本茶」との出会い

ミュージシャンでもある萩原さんは、バンドを始めた15歳からずっと長髪を貫いている。その髪型ゆえ雇ってくれるアルバイト先が少なく、自由度の高い飲食業を選んだのが飲食に携わるきっかけだった。働いているうちに好奇心を刺激された萩原さんは、流行っているお店の仕組みに興味を持つようになり、気になったら勤めてみる!を実践。気づいたら30店舗以上で経験を積み、さまざまなノウハウを手にしていた。25歳になり、アルバイトをしながら音楽活動を続けるのは一旦止めようと思ったタイミングで、自分にできるのは飲食に携わることしかないと思った。そこで仲間と3人でラフ&ピース(Laugh&Peace)という会社を立ち上げ、「割烹DISCO大蔵」を開業した。当初は3人、今は5人に増え、全員が代表という珍しい形を取っている。「料理、お酒、空間などそれぞれが得意分野を持ち、それぞれの役割を担っています。何か重要な書類には全員の実印が必要であったり確かに面倒なこともありますけれども、それ以上にみんなが対等であることを何より大事にしています」。
和食と音楽をテーマにした「割烹DISCO大蔵」をオープンして2年、仲間が増え、2店舗目を作れる体制が整って物件探しが始まった。ABC店舗から紹介された物件を見て、ここだったらカフェだよねとみんなの意見が一致した。内装は元の雰囲気を活かして和に寄せず、内容は思いっ切り和に寄せた和カフェ。それまで京都や浅草をモチーフにした和風なカフェを作りたいね、と夢みたいに話していたことが実現した。
契約後、内装やメニューやさまざまなコンセプトを作り上げていく中で、何か核になる商品がほしかった。そんなとき、仲間がネットで見つけて早速会いに行ったのが、蔵前にお店を構えるNAKAMURA TEA LIFE STOREだった。静岡県藤枝市で100年以上続いているお茶農家・中村屋がデザイナーと組んで構えたオシャレな茶葉販売店だ。ここで店主と意気投合し、飲食店に卸す最初の店舗として無農薬有機栽培で作られたお茶を仕入れることになった。日本茶はもちろん、焼酎の煎茶割りや抹茶を使った数々のカクテルをメニューに取り入れ、「焙煎DISCO茶蔵」の核となる商品が出来上がった。

音楽+飲食+人=DISCOの意味とは…
変化を大事にしています!

「焙煎DISCO茶蔵」の特色として忘れてはならないのが、音楽と展示だ。店名に入っている「DISCO」は本来踊るという意味だが、それを“混ざる”という意味合いにとらえて、音楽と飲食と人が一同に介して混ざるという比喩として「割烹DISCO大蔵」に名づけられた。それは当然「焙煎DISCO茶蔵」でも大切にされている想い。平日の夜や土日は昼からDJが入り、その日のメニューや展示内容に合わせて選曲したBGMを流している。「たとえばカレーの日であればカレーが美味しくなるような音楽をかけてくれるようお願いしたり、飲食に合わせて空間に色づけして楽しめるようにしているんです」と萩原さん。また店内の壁にはいつも展示作品がかけられていて、2週間毎に作家が変化する。今まで展示した作品は、写真、ぬいぐるみ、ステンドグラス、靴、キャンドルなどさまざまだ。展示作品とDJで作る空間は、来店の度に違う空気を感じさせてくれる。料理も仕入れによって毎日メニューを変える。そこには季節感も大切な要素だ。お客様が来たくなるお店にするためにはどうしたらいいんだろう…と考えた結果、同じことをしていたらいつ行ってもいいやとなる。変化をつけて来店動機を作り、どんどん発信することにしたのだ。「お客様が飽きないように、そして僕ら自身も常に挑戦していく気持ちを持っていたいので、とにかく変化を大事にしています」。

日本の美しさ・美味しさを世界へ
お店自体がハブになりたい!

今後やっていきたいことは、具体的にはもっと店舗を展開していくこと。「僕らがやるんだったら、飲食とライブを両方楽しめるライブレストランができたらいいなぁと思います。今やっているのは2つとも小さいお店ですので、いずれは大きなお店を構えてみたい気持ちもあります。ちょっとだけ身の丈から背伸びして、少しずつステップアップしていきたいですね」。
また、「世界に向けて“和”を発信していきたい」という強い想いがある。自分たちはロックバンドやDJなど洋楽が大好きで洋服をオシャレに着こなして育ってきたが、だからこそ日本人であること、日本の美味しさや美しさを強く意識するのだという。「日本は国土のわりに地方ごとの特色がたくさんあるのでそれも上手く伝えていきたい。日本人として生まれ、人生をかけるのだったら、日本の美しさや格好良さ、美味しさを世界に紹介していければと。海外に出店するにはさまざまな問題点があると思うので、そこを乗り越えるためにもタフな企業にならなければ。まだまだ駆け出しですけど、いずれは…」と萩原さんは目を輝かせて語ってくれた。
もう一つ、「お店自体がいろんな人に出会いや刺激を与えるハブになりたい」という想いもある。自分たちのように一見洋風な人間が“和”をコンセプトにしたお店をやっているミスマッチ感が、むしろ入りやすさ・親しみやすさを生み、間口を広くすることも狙いとしてあった。“和”と“音楽”というコンセプトを通じて、美味しいものを食べに来たら聞いたことのない音楽に触れた、知り合いがDJやるから来てみたら美味しいものと出会った、など知らないものにウッカリ触れる機会を作っちゃおうという魂胆があったのだ。展示も同じく、新しいものに触れる機会を作って、知的好奇心をくすぐり喜んでもらるようなことを提供していけたらと考えている。そしてそれが人と人を結びつけるきっかけになれば、自分たちにとって一番の喜びだ。店名の「DISCO」に込められた想いは、これからますます高円寺に、そして世界に広がっていくことだろう。
(取材日:2016年7月20日)

萩原 明さん
東京都出身。15歳からバンド活動を行っているミュージシャンでもある。高校時代から飲食店でアルバイトをし、次第に外食産業に興味を持つようになった。30店舗以上の経験の中でノウハウを得て、仲間と共同経営でラフ&ピース合同会社を立ち上げ、“和”と“音楽”を融合させた店舗を展開。2013年7月に「割烹DISCO大蔵」を、2015年8月に「焙煎DISCO茶蔵」をオープン。

焙煎DISCO茶蔵
住所:杉並区高円寺北3-34-2 T.ダジュール1F
TEL:03-5356-6070
営業時間:火〜日 ランチ:14:00〜18:00/ディナー:18:00〜23:00(L.O.22:30)
定休日:月曜日
店舗情報:HPInstagramTwitterFacebook