開業者インタビュー

ネパールなのにIZAKAYAスタイル? 鶏料理酒場「半分半分」の魅力

キサン・マハト
ネパールなのにIZAKAYAスタイル? 鶏料理酒場「半分半分」の魅力

日々多忙なビジネスマンにとって五反田といえば、聖地新橋と並ぶ都会のオアシスではないだろうか。渋谷、新宿、池袋といったターミナル駅の喧騒から離れたささやかな歓楽街。夕暮れを待たずして地元・五反田のみならず、品川や大崎からの仕事帰りのビジネスパーソンが途中下車して、馴染みの居酒屋に吸い込まれてゆく。

 

普通に見えて普通じゃない。ネパール人店主が考え出したおつまみメニュー

来日5年目のネパール人、キサン マハトさんはそんな五反田に狙いを定め店をオープンさせた。店名は「鶏料理酒場 半分半分」。ネパール人店主が鶏料理? カレー店じゃないの?という声も聞こえてきそうだが、ここは完全なる居酒屋スタイルの店。赤提灯がぶら下がり、店内にはお馴染みのビールやチュウハイのポスターが貼りめぐらされている。メニューを開けば、枝豆にししゃも、鰹のタタキ、タンドリーチキンにネパールカレーピッツァと日本とネパールの愛されメニューが並ぶ。そう、この店のメニューは2ヵ国が「半分半分」。「半分は日本の居酒屋おつまみ、もう半分はボクの国・ネパール料理のフュージョンです」

日本の居酒屋で飲食業の楽しさに開眼

マハトさんは、地元ネパールの大学卒業後、日本語と日本文化を学びたいと一念発起し語学留学を果たす。当初日本の物価の高さに驚いたそうだが、生活費の足しにとアルバイトを決意。日本語上達のためにも日本人のなかで働こうと考え、元々料理が得意だったこともあり居酒屋で働くことを決めた。昼は語学学校、夜は居酒屋へ。人との出会いが大好きなマハトさんは日本語の上達とともに友人知人も徐々に増え、仕事もオーナーの信頼を得て調理や接客と幅広く経験することに。

「バイト先の居酒屋で本当にたくさんの料理を知りました。唐揚げ、焼き鳥、モツ煮にだし巻き卵。ピザやキムチまであって、とても多国籍! 日本の調味料もとても面白いと感じました。味噌にしょうゆ、そしてダシ。日本の料理と文化、みなさんにお世話になりながらたくさん勉強したんですよ!」

日々の多忙ながら充実した留学生活を送るなかで、徐々に仕事としての飲食業を意識し始めたマハトさんは自分の理想の居酒屋を思い描きながら、ある発想にたどり着く。「そうだ、ネパールとジャパニーズ、半分半分の居酒屋をやろう!」 語学学校を卒業後、夢実現に向け貯金をし、料理やお酒に関してももっと知識を深めてゆく。目標ができたことでさらに仕事にも気合いが入ったそう。

鳥料理酒場 半分半分、五反田にオープン!

2016年秋、開店資金も貯まり、暖めてきたお店のコンセプトを実現しようとついにマハトさんは動き出す。せっかくならば人がたくさん集まるところ、とまずは渋谷、新宿、池袋といったターミナル駅から探し始めたが、駅から近い物件はやはり賃料が高い。また、外国人ということも相まって物件探しは難航。少し目先を変えようと賃料優先で探し出したところ、五反田に目が止まった。JR山手線五反田駅から徒歩5分の居抜き物件。2階部分だが角地だし看板を出せば目立つはず。初期費用を含めると予算オーバーではあったが、夕方から繰り出すビジネスマンの人通りの多さに、マハトさんは五反田に開店しようと決心を固めた。

居抜き物件のためたくさんの調度品が残されていたというが、開店にあたり自身も相当手を動かしたという。「ここの壁やテーブルなんかも全部綺麗にしました。外からも居酒屋だって分かるように赤提灯もぶら下げて」 外観、内観ともにまったくネパールの「ネ」の字も感じさせない。しかしメニューを開けば、日本の料理と本場ネパール料理が仲よく並ぶ。「『半分半分』はもちろん、料理だけじゃない。ネパールと日本が両方楽しめて、それがきっかけで文化交流の場にもなってほしい、そんな意味も込めています」

“開店してからが本番。簡単にはいかない、でもだから楽しい!

希望に胸を膨らませての開店、しかし当初はなかなか思うようにお客さまが入らなかったという。「半年ぐらいまでは本当に焦りました…。全然お客さんが来なくって。でも常連さんのアドバイスや仲間との努力もあって最近はまずまずです」とにっこりと微笑むマハトさんは、どこか誇らしげだ。「鶏料理を謳っているのだから材料、特に鶏肉にはこだわっています。日本産のいい鶏で焼き鳥、唐揚げ、よだれ鶏にタンドリーチキン。なんでも作れますよ!」

なかでもオススメは「半分半分餃子」。焼き餃子をネパールのスパイシーなソースでいただくそれは、ネパールの餃子「モモ」を思わせる。古今東西、餃子のルーツに思いを馳せながら、餃子に合わせる酒は純米酒「浦霞」だ。五反田でうれしそうに調理するネパール人店主、マハトさんを見ていると仕事の小さな悩みなど吹き飛ぶに違いない。

(取材日:2018年5月23日)

キサン・マハトさん
ネパールの大学を卒業後、語学留学で来日。アルバイト先の居酒屋で日本の居酒屋メニューの多様さに感激し、自身も飲食店経営を志す。鳥料理をメインに据えた「半分半分」のメニューは、ネパールと日本のフュージョン。料理と文化の交流の場を目指す。

鶏料理酒場 半分半分
住所:東京都品川区東五反田1-18-5 宮島ビル2F
TEL:03-5791-7059
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜24:00
定休日:不定休
店舗情報:食べログ

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