インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

開店から数カ月、安定した売り上げを確信

 「晴レノ日」は2015年12月5日開店とまだ新しく、白を基調とした外観が爽やかな印象だ。どこか風格を感じさせるのは居抜きの利というものだろうか。

 店主の原田英之さんは、飲食ひと筋18年という実力派。すしや割烹、炭火焼きなどの和食店で腕を磨き、念願を果たして店を構えた。「家のようにくつろげる小ぢんまりとした店にしたい」という思いが強かったため、小規模の店舗物件を探し、前業態がカフェだったこの居抜き物件を発見。土地勘もあり、1人で切り盛りするのにちょうどいいサイズと考え、内見後、即契約した。

原田:もしも骨組みから変えられるならもっとやりたいことはありましたが、広さ的にはちょうどいいで す。また、前店の店主がきれいに使ってくれていたため、造作などもほぼそのまま使えそうだったのも好印象でした

 「晴レノ日」の業態は、和食メインの居酒屋。開業直後から好調に常連客がつき、すぐに忘新年会シーズンを迎えたが、オフィス街でないため客足は横ばいだった。その代わり、シーズンを過ぎても客足は堅調に推移しており、年間を通じて客足の変動が少なく安定した売り上げが見込めそうだと確信している。

独立の意志を伝えて支援制度を活用

 原田さんは独立志向を持っていたため、前職場に就職する際は、数年後に独立することを前提として交渉。何店か候補がある中で、独立支援制度の実績が ある店を選んだ。

原田:店にいる間は頑張るので、自分が店を持つときには力を貸してください――そうやって最初から社長に伝えていたので、退職・独立は円満でした。また、社長より資金協力の申し出もあり、物件探しもスムーズに始められました

 物件は、ABC店舗のサイトで検索し、なんと1件目で理想通りの物件を見つけた。また、独立を知った知人が「父がワインセラーを買い替えたので、古いのを譲ってあげようか?」と声をかけてくれるなど、周囲の人 からの支援もあり、開業資金は最小限に抑えられた。食器類は、もともと奥様と共に益子の陶器市などに出かけ、2、3年かけて少しずつ買い揃えていたため、 開業に合わせて少数を買い足しただけでまかなえた。

 内装も、当初の予想通り最小限のリフォームで済んだ。壁紙、天井、テーブルとカウンターの天板の変更、テレビの撤去、照明を減らすことなどだけで、厨房機器や店内のレイアウト変更などの大掛かりな改装はしていない。

原田:テーブルやカウンターの天板はそのままでもよかったのですが、前の店を知っている人に「ああ、前と同じね」と思われないように変えました。目に入る面積が多く、人の印象を左右しやすい部分だと思ったので。

まずは地域に愛される店を目指して

 実際に営業して数カ月。使ううちに不便や改善点も見つかったが、日本酒の瓶を入れるための冷蔵庫を買い増す程度で対応できており、使い勝手はおおむね良好だ。お酒は、つき合いのある酒屋さんと相談して選んだり、旅先や外食先でおいしいものを見つけたらそれを仕入れたりと、自分の好みを軸にセレクトしている。合わせる料理は、もちろん和食だ。

原田:目玉商品や定番商品を置かず、そのときどきでおいしい食材を使って作ります。野菜はちょっと珍しくて興味を引くものや、尊敬している農家さんから仕入れたものを使います。

 そう言われてメニューを見れば、黄ニラなどの一風変わった野菜を使った料理が並ぶ。鶏ぶし(鰹の代わりに鶏で作るだしの素)など、興味がかきたてられるものもちらほら。

原田:お客様には、店で何か新しい“発見”をしてもらえるように、食材や調理法にひと工夫を加えています

 最後に今後の展望について尋ねると、原田さんは活き活きとした顔で答えてくれた。

原田:この地域は、付近に遅くまで営業するバーはありますが、夜でもしっかりと食事ができるところは少ない。その点、うちは差別化ができていると思うので、顧客ニーズをしっかり捉えていきたいですね。まずは地元に愛されることが目標ですが、いずれは、遠くからもわざわざ来てくれるような店になるように、夢を持って頑張ります
(取材日:2016年2月16日)

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原田 英之さん
割烹、炭火焼、洋食などさまざまなジャンルで経験を積んだ後、独立支援制度のある店へ就職。退職と同時に物件探しをスタートし、一軒目の池ノ上で現物件に出合う。15年12月に居酒屋「晴レノ日」をオープン。和食をベースにしたつまみと日本酒、居心地のいい空間に、早くも地元のリピーター客を獲得している。

晴レノ日
住所:世田谷区北沢1-44-18
TEL:03-5790-9066
営業時間:18:00~翌2:00
定休日:不定休
店舗情報:Facebook食べログ