インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

ウッディー調と白い壁で落ち着いた雰囲気に
早くから仲間と試行錯誤してメニューを準備

 JR水道橋駅西口改札を出て、東京ドームとは逆の左側へ真っ直ぐ進むと徒歩1分(都営三田線の水道橋駅A2出口からは徒歩5分)という絶好の立地に「突きぬけや」はある。店舗は2階。赤い手すりと白抜きで酒瓶のイラストと店名が描かれた黒階段が目印だ。広々とした店内は、テーブルと床をウッディー調でまとめ、白い壁が印象的で清潔感がある落ち着いた雰囲気。仕切りがないのでテーブルの組合せはお客様に合わせて自由自在。その日のオススメ料理や限定の日本酒は2ヵ所に貼られている黒板シートを見れば一目瞭然だ。

 バルというスタイルに日本酒を組み合わせた和酒バル「突きぬけや」。なぜその発想が生まれたのだろうか。オーナーシェフの佐々木さんは、以前やきとん等の赤提灯系、沖縄料理、ハワイアンなど様々な業態を持つ飲食店運営会社に勤務していた。複数店舗で料理やサービスを経験し、その後数字の部分や業者とのつながりを知ることによって次第に経営に興味を持つようになった。それから3年、いよいよ独立を考えたとき、今までとは違うオリジナルブランドを立ち上げようと決意したのだ。

 オープンの半年以上前から仲間と試行錯誤してメニューを考案した。中でもイチオシは「黒毛和牛の炙り刺し」。狙い通り一番人気の名物メニューとなった。日本酒を使ったカクテルも和酒バルらしさを引き立たせている。

20代から60代まで幅広い客層
ランチきっかけでディナーに

 オープン時の宣伝はグルメ検索サイト大手3社に広告を出したくらいで、周辺へのポスティングなどは一切しなかったという。この辺りは目の前を歩いている人たちがダイレクトにお客様になるという印象があったからだ。店頭に開店祝にいただいたお花を置いたことが街ゆく人の目に止まり、オープン初日のランチから客足は好調だった。しかし花を片付けたらその日から集客が下がった感じがあり、もっと看板などを目立つよう工夫しないといけないなと実感したそうだ。

 客層は20代から60代までと幅広い。あまり赤提灯の雰囲気に寄せてしまうと客層が限定されるのではないか…という不安からすっきりしたオシャレな造りにしたが、当初は年齢層が高い方たちは入りづらそうだったそうだ。しかし周辺はオフィス街ということもあり、ランチをきっかけにご来店いただきディナーにつながるようになってきた。また大学や専門学校も多いため、若い層のランチ利用も多い。そこからゼミの飲み会や忘年会などの貸し切り営業につながっていった。

ドームのイベントによってオーダーや
年齢層が変わる!?

 そして水道橋といえば忘れてはいけないのが東京ドーム。当初はドームでイベントがあれば単純に売り上げが上がるんだろうとしか考えていなかった。しかしイ ベントによって客層がガラリと変わり、オーダーも全く違ったのは意外だったと言う。たとえば世界らん展開催時は来場者の年齢層が高く、ランチは伸びたが帰 りが早いのかディナーに直結しなかった。EXILEのライブがあった時は、リーダーがレモンサワーが好きらしくお客様のドリンクがレモンサワーに集中した り、矢沢永吉のライブの時はお客様がみんな永ちゃんの恰好だったり、アーティストにより極端に変化があった。

 今ではイベントのアーティストの曲をBGMに したり、お客様も従業員も楽しんでいるという。「コンサートの場合、アーティストによってファンの年齢層が違うので、当然その層の所得が反映される。その 辺まで予想していくと面白いので、まずは年間のデータを取りたいですね」。研究熱心な佐々木さんらしい言葉だ。

「また来たよ」の一言が何より嬉しい
メニュー変更・次の店舗…これからも挑戦は続く

 「自分のお店を持って嬉しかったことは、ここで新しく知り合った方が『また来たよ』と言って来てくださった時ですね」と佐々木さん。この辺りも通りの1本 裏にはすぐ住宅があり、会社員やドームのお客様以外に近所に住んでいる方たちがリピーターになってくださったことも、予想外でありすごく嬉しかったことな のだそうだ。

 オープンから7ヵ月、現在メニュー変更を検討中で次期グランドメニューは間もなく完成するという。大衆的なお店と価格帯では戦えない。それな らもっと特色を打ち出して商品力をUPすれば、価格よりも美味しさを重視する層を取り込めるのではないかと考えてのことだ。日本酒に関してお客様から聞か れることも多いので、お酒の産地や生産米は常に頭に入れている。もう少し落ち着いたら唎酒師(ききざけし)の資格を取りたいそうだ。将来複数店舗になった ら、ソムリエなど従業員が好きで仕事に活かせる資格ならば取得できるシステムを作っていきたいという。

 すでに「来期はもう1店舗出したい」と具体的な目標 も立てている。今はそのお店をどんな店にするか考えているのが楽しいと穏やかな笑顔を浮かべた。まだ佐々木さんの挑戦は始まったばかりだ。
(取材日:2016年2月19日)

佐々木 喜郎さん
大学卒業後、出版会社にて編集者として働いたが理想と現実がかけ離れていたため早々に離脱。学生時代にアルバイトをしていた飲食店の店長に話を聞かせてもらって改めて飲食業に興味を持ち、飲食店運営会社に就職。そこで様々な業態を経験、経営を学び、2015年7月「突きぬけや」をオープン。

和酒バル 突きぬけや
住所:千代田区三崎町2-15-5 三崎町SSビル2F
TEL:03-6256-8825
営業時間:11:30~24:00
定休日:年中無休
店舗情報:Facebook