インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

グループにもお一人にも席はバリエーション豊か
オススメは3種のパイロール

 JR東中野駅東口からのどかな商店街を5分ほど行くと「TAKE-1」に到着する。カウンターやテーブル、壁に木目を活かしたウッディー調で落ち着いた雰囲気の店内。入ってすぐはグループ利用に良さそうなテーブル席、奥は一段下がっていてオープンキッチンのカウンター席とテーブル席がある。

 「TAKE-1」はフレンチとイタリアンを融合させた創作料理のダイニングバー。そもそものコンセプトは「バーなのに料理を頼んでみたら本格的!?」とお客様を驚かせるようなお店を作ること。しかしお酒と料理両方を提供できる環境が見つかったのでダイニングバーという形態に。オススメは、サーモン、ブルサンチーズなどをパイ生地で包んだ3種類のパイロール。ワインにもビールにも合う一品だ。パスタは生麺を使用、ローストビーフのアンチョビレモンソースや牡蠣のグラタンのポワソンソースなど手作りソースと、随所にこだわった料理を提供している。瀬下さんがバーテンダーということもあり、王道からオリジナルまでカクテルメニューも豊富。店名を冠したオリジナルカクテル「TAKE-1」は他よりも高めだが人気のカクテルだ。

街にこだわるよりまずは店を出すことを優先
居抜きの状態に合わせて考えられたメニュー

 26才という若さで自分の店を持った瀬下さんに開店までの道のりを伺った。料理が得意な力強い相棒を得て、何事も一緒に考えてきた。

 まずは物件探し。当初はこだわりの街があったがなかなか条件に合う店舗が見つからず、とにかく店を出すことを優先しよう!と今の店を選んだ。メニューで核となるものは決めていたが、居抜きで探していたため店が決まってキッチンの状況が分かるまでメニューを決めなかった。コンロが業務用か家庭用かでソース作りにかかる時間が違ったり、オーブンのあるなしで出せるメニューが変わるからだ。そのため契約してからオープンまでの1ヵ月は大忙しだった。二人でメニュー案を出し合い、アペタイザー(前菜)やサラダとメインのバランス、材料や手間の兼ね合いなどを考慮。いかに効率よくカクテルを作れるリキュールを選ぶか、カクテルの種類をどこまで絞り込むか、オリジナルカクテルはどうするか…。試作と試食を繰り返し、足りない備品の買い出し、掃除、宣伝などやることは山ほどあった。瀬下さん曰く「オープンまでは大変だったの一言に尽きますね」だそうだ。

 オープンして一番意外だったのは、1階の路面店だからお客様は入りやすいだろうと考えていたのに、逆に入りづらいと言われたことだ。人が入っていてもいなくても中がよく見える。それがいいと思ったら土地柄によっては裏目に出ることもあるのだ。また金曜日の夜や土曜日は込むという一般的な考えもここでは違っていた。繁華街が近いため帰宅途中に寄る方が多く、むしろ平日の深夜帯に需要があったのだ。営業時間を18時から3時にしたのは正解だった。

お客様との会話を大切に!
ここに来たらホッとできると言われる店にしたい

 瀬下さんたちが目指した店は、美味しい料理&お酒+会話だ。二人でやりくりしているので作って提供するだけで手一杯のときもあるが、できるだけお客様との会話を大切にしている。料理を提供する際は、特徴や食べ方を丁寧に説明する。カクテルはお客様からの質問の方が多く、説明に豆知識なども加えて会話を弾ませている。メニューには専門用語よりシンプルな言葉を選び、老若男女を問わず分かりやすいメニュー作りを心がけた。自分たちのお店を持って嬉しかったのは「美味しかったよ。ありがとう」の言葉や「料理(お酒)が美味しいって聞いたから来てみたよ」と言ってお客様が来てくださったとき。「自分たちが試行錯誤したものに対するお客様のダイレクトな反応って雇われでは分からなかった喜びがありますね」と笑顔で語ってくれた。

 客層は今のところ男女のペアと単独の男女が多く、女子会などの宴会利用はこれからもっと宣伝していきたいところだ。年代は若いカップルから年配のご夫婦まで幅広い。早めの時間帯にはファミリー層もいらっしゃり、棚に飾ってある「ONE PIECE」のフィギュアを見つけたお子さんと盛り上がることも。お客様を楽しませたいという思いはこんなところにも表れている。

 瀬下さんがバーテンを志したのは、お酒を飲むところでふと出る相談を、する側ではなく受けて笑顔を提供する側になりたいという思いからだ。「ここに来たら日頃の悩みを忘れられたりホッとできる店にしたい。『お料理食べて店員さんと話して、あぁ今日はよく眠れる〜!』みたいなのが僕らの目標。だから敢えて繁華街ではなく、最初の店は地域密着型にしたんです」。スタートの意味を込めて店名は「TAKE-1」。人を楽しませたい思いは未来の2号店3号店にも受け継がれるはずだ。
(取材日:2016年2月25日)

瀬下 裕之さん
人を喜ばせる仕事をしたいとバーテンダーに憧れて20歳からバーでアルバイトを始める。バーテンダーの技術を習得する店、料理を覚える店、言葉遣いから経営までを学ぶための営業職と段階を踏んでさまざまな経験を積む。24歳で独立を考え、2年間物件探しと資金調達。2016年2月にようやく「TAKE-1」をオープンさせた。

TAKE-1
住所:中野区東中野4-20-20 MOON SAGA1F
TEL:050-5784-3506
営業時間:18:00~翌3:00
定休日:不定休
店舗情報:ぐるなび