街レポート

馬喰町(中央区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報【2021年改訂版】

馬喰町(中央区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報【2021年改訂版】

東京都中央区の馬喰町は、日本有数の問屋街として知られています。オフィスビルが建ち並び、ビジネスパーソンで活気づくオフィス街の一面もあれば、隅田川と神田川に囲まれる景観美も魅力的な街です。

今回は、そんなさまざまな表情を見せてくれる馬喰町の街情報をお届けします。
馬喰町に住んでみたいと考えている社会人や学生、また飲食店進出を計画しているオーナーは、ぜひ参考までにご一読ください。

問屋街として発展してきた馬喰町の魅力

東京都中央区日本橋エリアに位置する馬喰町の正式な行政地名は「日本橋馬喰町」で、1丁目と2丁目で構成されています。神田川と隅田川に囲まれ、両国橋を越えると墨田区両国があります。
周辺には日本橋小伝馬町や東日本橋、日本橋横山町、日本橋人形町などがあり、馬喰町は日本橋エリアの最北部に位置します。そして横山町と並び、日本を代表する問屋街としても有名です。

馬喰町の歴史

江戸時代の日本橋には、馬を管理するための「馬場(ばんば)」があったと言います。当時、富田半七と高木源兵衛というふたりの幕府博労(ばくろう)頭が管理していました。博労とは、牛馬の売買仲介を生業とする業者で、博労頭はそんな業者たちを取りまとめる組合長みたいな存在でした。やがて高木家が名主となり、周辺の町を「博労町」と呼ぶ習慣が根付きます。その名称から今日の馬喰町という名前が定着したようです。

1657年に起こった明暦の大火で日本橋は大きく被災しますが、幕府が威信をかけて江戸の復興に取り組んだため、町の整備は急速に進みました。浅草御門や浅草橋のたもとに関東郡代(税を徴収するための代官)が置かれ、この地周辺には代官のための屋敷が多く建てられるようになります。それにともない、行商人が宿泊する旅籠屋や土産物を扱う問屋が増え、町は活気づきました。

隣には、すでに問屋町として定着していた横山町がありました。そこから商人たちの進出もさかんに行われるようになります。小間物屋や化粧品店、煙草屋などさまざまな商いの場となり、今日の馬喰町問屋街の礎が築かれたのです。

日本を代表する問屋の街

日本橋馬喰町は、お隣の横山町とともに日本を代表する問屋街です。衣料品や雑貨、文房具など、生活に欠かせない商品を中心に、大小およそ1,500におよぶ卸業者や店舗が軒を連ねています。
「東京問屋街」や「浅草橋問屋街」あるいは「日本橋横山馬喰町新道通り」など、“衣料品関連ならこの地にないものはない”と言わしめるほど、その数は豊富です。
店先には、流通のメインストリームでは見られないレアな商品が並ぶ光景も。つまり、ここには「世界でたったひとつしかない、自分だけのもの」が手に入る商店街とも言えるのです。

とはいえ、基本的に問屋街ですので、ここを訪れるのはプロの業者ばかりです。平日は全国からたくさんの仕入れ業者がこの町に足を運び、商品に目を光らせているわけですが、中には個人向けの店舗もあります。
馬喰町問屋街を訪れると、他の商店街ではめったに手に入らない希少価値のあるアイテムが見つかるかもしれません。

馬喰町問屋街の新時代に向けた取り組み

長きに渡り「日本屈指の問屋街」の称号を与えられていた馬喰町ですが、近年の消費停滞、さらに少子化と言う将来的なリスクに備え、新たな対策が求められています。そこで馬喰町問屋街は横山町と合同で「問屋街活性化委員会」を結成し、問屋街の生き残り戦略を考える講演会の開催や、大学・専門学校と連携しインターンシップや見学会を行うなど精力的に活動をしてきました。

さらに、同委員会は問屋街活性化に向けた中長期的なビジョンも模索。その中心的な柱として「ディープ問屋街」「工住混在商業エリア」「商業隣接都市居住型エリア」を打ち出しました。
その中でも「ディープ問屋街」とは、問屋街としての伝統文化を残しつつ、建物の居住性や利便性を高めるためのリノベーション、商業地としての魅力を発信していくフレームワークの構築といった新しい時代にふさわしい方策を提案し、活気ある街づくりを目指しています。例えば、馬喰町問屋街にあった築40年以上の建物を、リノベーションによって雑貨店やギャラリー、飲食店が入居するハイソなビルディングに改装することで、馬喰町問屋街にスタイリッシュな雰囲気が加わり、注目を集めています。
そのビルディングには、ドイツ・オーストリア雑貨を取り扱う「マルクト」も入居しています。店舗の天井を白いペンキで塗装したビンテージ感が特徴のお店。外資系雑貨店でありながら、幅広い世代の客層に落ち着いて過ごしてもらえる空間を目指しています。
このような系統の雑貨店は原宿や渋谷などには多いものの、馬喰町エリアにはなかなか見られなかった店舗だけに、新たな客層の確保に期待が持たれています。

馬喰町の再開発

大規模な再開発が行われてきた日本橋エリアに位置する馬喰町ですが、再開発では、一風変わった手法が試みられています。
使われなくなった建物を壊してサラ地にし、新しい建物を建てるという従来型の再開発ではなく、そのような土地や不動産を買い支えて、壊すのではなく活かしてくれる人を呼び込み再利用してもらうという方法です。そうすることで街の特性や地域性を維持しつつ、街にあらたな息吹を吹き込むことに成功しています。土地を開発するのではなく、人やコミュニティを開発するという発想は、これまでにない再開発のあり方のモデルケースともいえるのではないでしょうか。
街に興味を持ってくれる人を増やすために、フックとなる多様なイベントを開催し、人と人、人と街をつなげることからはじめることで、馬喰町という街に興味をもった新しい発想を持った人たちが、新しい文化を作り出すという面白い現象が起きています。

馬喰町のアクセス情報

馬喰町住民の足を支えるのは、JR総武線「馬喰町駅」です。東京駅や御茶ノ水、新宿、千葉方面へのアクセスがスムーズです。さらに馬喰横山駅で乗り換えれば都営新宿線が利用可能で神保町や新宿、森下・大島方面が、東日本橋駅で乗り換えれば都営浅草線が利用可能で浅草や押上、戸塚や馬込方面への移動に困りません。
都内の広いエリアへのアクセスが確保できる、非常に立地の良い環境と言えるでしょう。

馬喰町のグルメ

日本橋からほど近い馬喰町は、周辺のオフィスワーカーたちや問屋街に仕入れに訪れる人々など、人の流れの多い街です。そのため、飲食店も充実しています。
上述の再開発による新しい人の流れも加わり、老舗からおしゃれな個人店まで、バリエーション豊かなお店がそろっています。

古い歴史を物語る馬喰町の老舗

創業明治2年という確かな歴史を誇る「日本橋 伊勢重」は、馬喰町駅から徒歩2分のすきやきの老舗です。秘伝の割下でいただく最高級の和牛すき焼きは、140年を超える永い歴史が培ってきた賜物だけあって、令和の時代も多くの人に愛されています。
また、隅田川をわたってすぐの天ぷらの老舗 「柳橋 大黒屋」は、昭和23年の創業以来代々受け継がれてきた技術と味とホスピタリティで、江戸の粋と今も変わらぬ天ぷらの魅力を伝え続けています。

ユニークな再開発によってうまれたクリエイティブなお店

前述したとおり、一風変わった再開発によって街に育まれてきた新世代の飲食店もたくさんあります。
おしゃれなホステル内に併設されたカフェバー「obi Hostel & CAFE BAR」や、木造の民家をリノベーションして生まれたスタイリッシュなタオルショップアンドカフェ「バタフライエフェクト」、ホステル「CITAN」の1階にあるコーヒースタンド「BERTH COFFEE」など、馬喰町エリアには人気のカフェが目白押しです。
ドラマやPV撮影のロケ地としてもよく使われるカフェ「バクロ コモン」では、人気ナンバーワンの絶品「新”レア”馬喰チーズバーガー」がいただけます。

オフィスワーカーが足繁く通うランチ

やはり周辺のオフィスワーカーたちには、安くておなかにたまる定食や、気軽に利用できるカフェランチなどの需要が高いです。毎日利用しても飽きのこない名店が多いのも、オフィス街ならでは。
ボリュームたっぷりのとんかつ定食が900円でいただける「とんかつ いもや」は、路地裏にあるにもかかわらずお昼時には行列のできる人気店です。650円〜の定食が人気の「一亀」もコスパや使い勝手の良さに定評があります。
また、落ち着く内装の「スパゲッティ心」は、女性一人でも入りやすく毎日通っても飽きないメニューの豊富さで、周辺オフィスワーカーたちに支持されています。

どんな飲食店がある?(1km圏内)

馬喰町エリアには、たくさんの飲食店が進出しています。その中でももっとも多い業態が、和食系で855件。次いで多いのが居酒屋系で660件です。カフェやバー、イタリアン・フレンチのお店もそれなりに多いですが、先のふたつには遠くおよびません。

どんな業態が出店チャンス?

馬喰町エリアでもっとも繁盛している業態は、和食と居酒屋です。同地区では和食・居酒屋の需要の高さが見込まれることから、飲食店出店戦略においてこのふたつを軸に検討することは重要といえます。「繁盛店の近くには、繁盛店がある」という考えがあることも見逃せません。

業態別 募集中の居抜き物件一覧

居酒屋の居抜き
和食の居抜き
イタリアン・フレンチ

周辺の主なスポット

・馬喰横山駅名由来の碑
・薬研堀不動院
・西澄寺
・講談発祥記念之碑
・美倉橋公衆トイレ
・初音森神社
・両国国技館
・浅草見附跡
・明治座
・十思公園
・柳橋
・新高野山 大安楽寺
・身延別院
・タカシマボタン
・篠塚稲荷神社
・お玉ヶ池種痘所

馬喰町に似た地域

小伝馬町

小伝馬町と馬喰町はともに日本橋エリアで距離的にも近い位置関係です。近隣に複数の駅があり、交通アクセスが良い点が共通しています。

蔵前

隅田川沿いに位置し、緑が多いことで知られる蔵前。同じく隅田川と近接し、緑地帯もある馬喰町と似ています。

関内

オフィス街として、昼間はビジネスパーソンでにぎわう関内。日本橋と近く、オフィスビルが建ち並ぶ馬喰町も、昼間の飲食店はランチを食べに来るビジネス客たちで活気づきます。

類似地域 周辺の募集物件一覧

小伝馬町・蔵前・関内の居抜き物件一覧

どんな客層?

【平日/昼】
馬喰町のランチ平均単価は、1,000円以下とされます。中央区の昼間人口は、638,409人(国税調査。2020年調べ)。馬喰町にはオフィスビルも多いことから平日の昼間は多くのオフィスワーカーたちでにぎわうことが予想されます。

【平日/夜】【土日】
馬喰町のディナー平均単価は、3,000円~4,000円程度とされます。中央区の夜間人口は、昼間と打って変わって落ち着きを見せ、飲食店に訪れる客層も地元客中心になることが予想されます。

人口特性

2021年10月現在、馬喰町の総人口は2,147人(世帯数1,411)となっています。このうち男性は1,064人、女性は1,083人という内訳です。ちなみにこの数字は、お隣の横山町と比べると2倍に近い数字になっています。中央区全体の総人口は約17万人です。

乗降人数

JR東日本調べによると、馬喰町駅の1日における平均乗車人数は、2019年は26,183人となっています。ここ10年間の推移を見てみると、馬喰町駅を利用する方は全体的に増加傾向にあり、2018年はもっとも多い1日平均の乗車人数を記録しました。
※2020年〜21年は新型コロナウィルスの影響で正確なデータが得られないためここでは2019年のデータを参照しています。

馬喰町の賃貸相場

馬喰町内の賃料相場は、ワンルームで9.53万円、1Kで10.79万円、1DKで13.24万円、1LDKで17.08万円、2DKで19.57万円、2LDKで22.41万円です。JR総武線の駅の中では、東京駅、日本橋駅についで3番目に高い相場となっています。

馬喰町の店舗賃料相場

馬喰町の店舗賃料相場は、20万〜40万が全体の58%と半数以上を占めています。次に多いのが40〜60万で14.6%です。また、20万未満の店舗は全体の8.6%と少なめです。馬喰町の平均坪単価は24,028円で、2021年の平均坪単価は23,707円となっています。

馬喰町(中央区)エリアの居抜き店舗物件を見る


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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