街レポート

渋谷駅周辺(渋谷区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報【2021年改訂版】

目次
「若者の街」渋谷
ビジネスとカルチャーが交錯する一大エンターテイメントシティへ
ますます発展する渋谷の未来
最先端のトレンドが集まる渋谷の飲食店
花街の面影を残す 円山町の老舗
谷底の街・渋谷
町名には諸説あり
待ち合わせ場所にも歴史あり
渋谷が「若者の街」となるまで
飲食店においてはどんな業態が出店チャンス!?
周辺の主なスポット
渋谷に似た地域
代官山
どんな客層?
人口特性
乗降人数
渋谷の賃貸相場
渋谷の店舗賃料相場

ファッション、音楽、映画などさまざまなカルチャーの震源地であり、多くの路線が行き交う街・渋谷。近年、相次ぐ大規模開発が行われ、渋谷駅周辺はさらなる発展を遂げました。今回は、「ハチ公像」や「スクランブル交差点」でも有名な、渋谷の街情報をお届けします。渋谷に住んでみたいと考えている社会人や学生、また飲食店開業を計画しているオーナーは、ぜひ参考までにご一読ください。

「若者の街」渋谷

80年代には「渋谷パルコ」が東京カルチャーの拠点となり、90年代にはギャル文化や「渋谷系」といわれる音楽ムーブメントを生み出すなど、渋谷の街は、“若者文化の発信地”としても知られてきました。1960年代後半から1980年代にかけて、「渋谷西武」や「SHIBUYA 109」などの商業施設が続々とオープンしたことで、渋谷の街には多くの若者が集まるようになり、独特の文化を生み出したのです。それらの施設の多くは現在も健在で、「渋谷マルイ」は2015年に「渋谷モディ」へ変貌をとげ、「渋谷パルコ」も2019年に大規模リニューアルを果たし話題を呼びました。

ビジネスとカルチャーが交錯する一大エンターテイメントシティへ

2012年の「渋谷ヒカリエ」のオープンを皮切りに、渋谷駅周辺では大規模な開発が続いています。2017年には「渋谷キャスト」、2018年に「渋谷ストリーム」と「渋谷ブリッジ」、そして2019年には「渋谷スクランブルスクエア」と「渋谷フクラス」が相次いでオープンしました。また同年には超高層オフィスビル「渋谷ソラスタ」が竣工するなど、カルチャーだけでなくビジネスの街としても発展し続けています。

また、2020年にはIKEA(イケア)の渋谷進出があり、グッチ、ルイ・ヴィトン、プラダなどハイブランドも出店する複合施設「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」のオープンも話題になりました。

ますます発展する渋谷の未来

そして2023年〜24年にかけては、「渋谷駅桜丘地区」に住居・事務所・店舗からなる超高層ビルが、「渋谷2丁目17地区」には店舗付オフィスビルが建設される予定です。また「渋谷スクランブルスクエア」では、新たな中央棟西棟の2027年の開業を目指し、準備が進められています。刻一刻と進化し続ける渋谷の街は、世界的なビジネスの発信地として、また新しいカルチャーの震源地として、若者のみならず多世代が集う街へと変貌を遂げつつあります。

最先端のトレンドが集まる渋谷の飲食店

渋谷の飲食店トレンドをひとことであらわすのはとても難しいです。なぜなら、渋谷は東京都内でも1位2位を争うほど飲食店の多い街で、多様な客層に合わせるかのように、様々な飲食店が所狭しと密集しているからです。フランチャイズやチェーン店も多いですが、開発によって進出した、トレンド感溢れる新店から、明治・大正期から続く名店、そして昭和レトロな面影を今に残す「渋谷のんべい横丁」など、オリジナリティ溢れる店舗も数々軒を連ね、渋谷の街の雑多さを物語っています。

開発が進み、新店の出店が相次ぐ渋谷駅周辺にはトレンド感溢れる店舗が続々オープンしています。渋谷のスクランブルスクエアには、イギリスのデザイナー Tom Dixonがインテリアデザインをてがけるレトロフューチャーミュージック・バー『Paradise Lounge(パラダイス ラウンジ)』や、神楽坂の路地裏の人気店「茶寮」が手がけた新しい和カフェ「神楽坂茶寮」などがオープンし話題を集めました。また渋谷ストリームには、長野県の味噌蔵に由来を持つおしゃれな和食レストラン「酢重 インディゴ」や、ジビエ料理が楽しめる「ミートタバーン 煮込みや四兵衛」など、モダンな外観とコンセプチュアルな戦略で話題を集める人気店が勢ぞろいしています。

そして特筆すべきは、渋谷パルコの地下の飲食店街にオープンした、昆虫食が楽しめる「獣肉酒家 米とサーカス 渋谷パルコ店」や、「ヴィーガン居酒屋 真さか」といった、未来の食生活を先取りしたような新店です。真さかでは、種類豊富なヴィーガン唐揚げやヴィーガン餃子が楽しめ、ベジタリアン・ヴィーガンのほか、健康志向の人たちからの熱い支持を受けています。

花街の面影を残す 円山町の老舗

新しい街のイメージが強い渋谷ですが、今からほんの30年ほど前までは、渋谷にも花街が存在しました。30軒余りの料亭が軒を連ね、80名もの芸妓さんがいたそうです。現在その歴史を残す店は、「良支(よしき)」「料亭三長」「割烹三長」「おでん割烹ひで」の4軒だけになりましたが、当時の花柳界の名残を感じることのできる貴重な名店が、今なお、渋谷の街には存在しています。

息の長い名店も多数

意外にも渋谷周辺には、息の長い名店も多いです。2019年にくじら料理が食べられる創業70年の「元祖くじら屋」が、建物の老朽化などの理由から移転したことは驚きをもって報じられましたが、渋谷には明治・大正から現代に続く名店が今なお存在しています。そんな老舗といわれるお店の中には、1914年創業の「精養軒」や、明治時代中期創業の「魚力」など、昔ながらの中華や定食屋、洋食などが食べられる懐かしの大衆食堂といった趣のお店が多くみうけられます。

昭和レトロなのんべい横丁

渋谷駅そばの路地裏に、古きよき昭和の街並みを残す飲み屋街「渋谷のんべい横丁」は、そのレトロな佇まいで、昔馴染みの常連客から若者まで、幅広い世代の人々を惹きつけています。赤提灯とのれんがよく似合う雰囲気の横丁で、冬季限定の鰤しゃぶが名物の「黍(kibi)」や、代々受け継いだ秘伝のニラ玉が一押しの「ふじまさんち」など、個性的な店が軒を連ねています。横丁という名前からは想像できないかもしれませんが、カジュアルなビストロ「ビストロダルブル渋谷本店」など、コンパクトでおしゃれなお店も人気を集めています。渋谷呑んべい横丁を盛り上げる実行委員会が結成されるなど、令和の時代にも根強いファンの多い横丁です。

大人の街 奥渋谷

ネオンきらめく雑多な街渋谷は、歩いていて人にぶつかることも珍しくないほど、とにかく人口密度が高い街ですが、実は大人のためのチルスポット「奥渋谷」という裏の顔ももっています。「オクシブ」「裏渋(うらしぶ)」などとも呼ばれるこのエリアは、渋谷駅から徒歩10分〜20分ほどで行くことのできる場所で、飲食店に限らずセンスの良い店舗が点在しているのが特徴です。

サードウェーブコーヒーの先駆け的存在である富ヶ谷の「FUGLEN COFFEE ROASTERS TOKYO(フグレントーキョー)」や、東京でできたてのフレッシュチーズが食べられる神山町の「SHIBUYA CHEEZE STAND(渋谷チーズスタンド)」、ナチュールワインが楽しめる宇田川町の「ビストロ ピパル」など、渋谷駅周辺の喧騒から離れて、大人の時間を楽しめる飲食店やスポットが充実しています。

谷底の街・渋谷

渋谷の大きな特徴のひとつが、「谷底の街」とも呼ばれる独特な地形です。この谷は、渋谷川とその支流であった宇田川が武蔵野台地を侵食したことにより形成されました。渋谷の代名詞ともいえるスクランブル交差点のあるエリアは谷の底にあたり、そこから「道玄坂」や「宮益坂」といったのぼり坂が伸びています。

ちなみに渋谷駅の地下に存在していた渋谷川の一部が、東口にあった東急百貨店の解体にともない顔を出したことが近年SNS上で話題になりました。この渋谷川は、近い将来渋谷東口地下に新設される広場に流れ着く川として、新たに蘇る予定です。かつて渋谷の地形を形成した川は、自然と都市が共存する街としてあらたな一歩を踏み出す渋谷の街を、再び象徴する存在になりそうです。

町名には諸説あり

渋谷の町名の由来は諸説あります。この地が渋谷駅を谷底とする谷あいの地形であったことに由来する説にはじまり、昔は周辺一帯が入江であり「塩谷(しおや)」と呼ばれていたのが、「しぶや」に変わったという説、あるいは渋谷川の水が「シブ色(赤茶色)」であったことに由来する説などがきかれます。平安時代にこの地を治めていた領主「河崎重家」に「渋谷」の姓が与えられ、それにちなんで地名が変わったともいわれています。

待ち合わせ場所にも歴史あり

渋谷には有名な待ち合わせスポットがいくつかあります。そのひとつで、街のシンボルにもなっているのが、駅前広場にある「忠犬ハチ公像」。有名なスクランブル交差点が近いこともあり、いつも多くの人で賑わっています。ただあまりに人が多いため、待ち合わせ相手を見つけるのに苦労するという話もよく耳にします。

ちなみに「ハチ公」は、実在したハチという秋田犬の名前です。渋谷に住んでいた飼い主を毎日出迎えていたハチが、飼い主の死後も10年間にわたり帰りを待ち続けたという切ない物語が残っています。そんなハチのゆかりの地として建てられた像が、このハチ公像です。

もうひとつ、有名な待ち合わせスポットが駅の西口にある「渋谷モヤイ像」です。渋谷では、あえて人混みのある「ハチ公前」を避けて、この像の前で待ち合わせする人も少なくありません。

渋谷が「若者の街」となるまで

渋谷は、「若者文化の発信地」といわれ世界的にも知名度の高い街です。しかし、多くの若者が集まる現在の姿は、昔から存在したわけではなく、明治時代になり鉄道の駅が開業したことが発展のきっかけとなったと言われています。歓楽街としての「花街」が形成され、多くの高級料亭が進出するようになりました。今でも、9月恒例のお祭りでは、伝統的な和食を提供する日本料理店が多数出店し、当時の名残を味わえるイベントとして人気を集めています。

渋谷が「若者の街」へと変貌したのは、1970年代~1980年代にかけて実施された街の整備事業がきっかけです。その後も、若者をメインターゲットにした店舗が続々オープンし、今の渋谷を形成する流れが生まれました。

今でこそファッションや流行の最先端をいく街として知られる渋谷ですが、毎年9月におこなわれる渋谷最大のお祭り「金王八幡宮例大祭」をはじめとする伝統行事などから、古き良き時代の面影も感じとることができます。

飲食店においてはどんな業態が出店チャンス!?

渋谷で営まれている飲食店のうち、出店業態では和食・居酒屋・バーがトップ3の座を占めており、和食が827店舗、次いで多いのが居酒屋の798店舗、そしてバー・お酒系の601店舗となっています。眠らない街・渋谷だけに、夜遅くまで営業しているお店が多い印象です。
この結果は渋谷における飲食店需要を推し量るバロメーターであり、渋谷での開業を目指すうえで見逃せないデータといえるでしょう。

周辺の主なスポット

・渋谷スクランブルスクエア
・渋谷ソラスタ
・渋谷フクラス
・渋谷ストリーム
・渋谷ブリッジ
・ミヤシタパーク
・渋谷ヒカリエ
・渋谷マークシティ
・セルリアンタワー
・Bunkamura
・渋谷ロフト
・ハチ公像
・SHIBUYA109
・東急ハンズ渋谷店
・渋谷モディ
・渋谷パルコ
・タワーレコード渋谷店
・西武渋谷店
・NHKスタジオパーク
・金王八幡宮
・渋谷モヤイ像
・SHIBUYA TSUTAYA
・TSUTAYA O-EAST
・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

渋谷に似た地域

原宿

若者に人気の情報発信地・原宿にはオシャレで流行最先端の店が並んでいます。また近くには明治神宮もあるなど、自然や文化も楽しめるエリアです。

代官山

有名ブティックやブランド専門店が並ぶ代官山は、オシャレな街として有名です。渋谷からも近く、徒歩で行き来できることから、街歩きをしながらショッピングを楽しむことができます。

新宿

新宿も渋谷も、東京で1、2を争う人口密集地域です。駅前の人の多さや商業施設の数、飲食店の多様さなど、渋谷に似た要素の多い街です。
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どんな客層?

【平日/昼】
ランチの平均単価は1,000円以下。2015年度調べでは、渋谷の昼間人口は539,109人です。渋谷にはオフィスやショップが数多くあり、そこで働くビジネスマンのランチ需要も高いです。ランチの客層も平日はビジネスマンの割合が高そうです。

【平日/夜】
2015年度調べでは、渋谷の昼夜間人口比率は240%と高く東京都の平均値117%の2倍以上となっています。渋谷の飲食店の夜間の客層は、ビジネスパーソンのみならず、周辺にあるクラブやライブハウスなどエンタメスポットなどに訪れる人や、飲み会など幅広い需要が期待されます。

人口特性

渋谷の昼間人口は539,109人で、昼夜間人口比率は240%と高く、夜間の人の流れが多い街ということがわかります。(※2015年の国税調査による)。渋谷は新宿・池袋と並ぶ副都心の一角を占めるマンモス都市だけに、都内でも人口増が見込まれる街で、幅広い年齢層の流入が今後も予想されます。

乗降人数

・東京メトロ渋谷駅
1日平均の乗降人数は、2019年のデータで銀座線が220,399人で、半蔵門線・副都心線が843,136人です。
・東京急行電鉄
1日平均の乗降人数は、2019年のデータで棟横線が472,709人。田園都市線が688,510人となっています。
・京王電鉄
1日平均の乗降人数は、360,655人となっています。

渋谷の賃貸相場

渋谷駅周辺の家賃相場は、ワンルームで14.73万円、1Kで12.17万円、1DKで17.66万円、1LDKで23.37万円、2DKで25万円、2LDKで50.52万円です。渋谷区の家賃相場は都内平均より総じて高く、5万円ほど高額になると見てよいでしょう。

渋谷の店舗賃料相場

渋谷駅周辺の店舗賃料相場データを見ると、20万円~40万円の家賃が全体の24%を占めており最も多い賃料となっています。渋谷では、100万円を超える賃料も珍しくありません。ちなみに、渋谷の平均坪単価は34,662円で、最高坪単価は96,210円を超えています。

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