特集
飲食店をリフォームする前に知っておくべきこと
店舗デザインの重要性
飲食店をリフォームする目的として、居抜き物件といわれる、設備一式が備わった店舗をリフォームして開店することがあげられます。しかし、飲食店をリフォームするためには、多額の費用が必要となってきます。どうすれば、改装費用や設備工事費を抑えて、満足のいくリフォームをすることができるのでしょうか。そこで今回は、飲食店をリフォームする前に知っておくべきことをご説明します。
飲食店に求められるのは、提供される料理のおいしさ、スタッフの行き届いたサービスばかりではありません。店舗デザインも重要となってきます。
通勤途中におしゃれな外観のレストランがあり、気になって入ってみた経験が一度はあるのではないでしょうか。とくに、今ではSNSで広範囲に情報が発信されます。魅力的な外観のお店というだけで、SNSで話題になることも少なくありません。店舗の外観デザインで、新規の顧客を獲得することができるのです。
しかし、外観もさることながら、店舗内のデザインも非常に重要です。フランス料理ならフランスらしいモダンな雰囲気に、タイ料理店ならカラフルな配色でエスニックな雰囲気に。外観と同じように魅力的な内装なら、SNSでも話題になり、新たな集客へとつながります。また、顧客にとっても居心地がいい店としてインプットしてもらえます。あのおしゃれなお店にもう一度行きたいな。あるいは、おしゃれなお店を見つけたんだけど、一緒に行かない?とリピートしてくれるようになるのです。
店舗デザインの重要性は、集客ばかりに効果があるわけではありません。スタッフのモチベーションにも大きく関わってきます。おしゃれなお店で素敵な制服を着て、お客さまをおもてなしする。これだけでも、スタッフはやりがいを感じるものです。接客サービスの質にも現れるでしょう。さらに、この店舗を維持していきたいと、自主的に清掃や整理整頓にも励むようになります。
飲食店を経営する上で、想像している以上に店舗デザインは重要な要素だったのです。
改装費用の目安
飲食店をリフォームするのには、どれほどの改装費用がかかるのでしょうか。居抜き物件を購入して改装をしようと考えている経営者の方が気になる改装費用の目安をみていきます。
飲食店の改装費用では、3割が厨房工事費にかかっています。そのため、厨房設備を備えた飲食店では、多額の工事費が必要になるのです。このことを踏まえて、店舗の坪単位からおおよその費用を割り出していきます。もちろん、立地によって地価は大きく異なります。そのため、あくまでおおまかな目安としかなりません。ですが、平均して20坪に対して40万円前後だと考えることができます。
同時に、どのような設備を導入しているのかも確認しておきましょう。特殊な設備がある場合、改装工事は複雑になっていきます。そのため、さらに費用が増えることになるのです。
そのためぴったり20坪の店舗だったとしても、40万円の費用がかかるとは言い切れません。気になる場合、業者に見積もってもらった方が確実です。
スケルトンか居抜きかで大きく異なる設備工事費
リフォームが必要な「居抜き」と、リフォームではなく店舗そのものを作っていく「スケルトン」では、設備工事費にどれほどの差が出てくるのでしょうか。居抜きをリフォームすべきなのか悩んでいる方は、スケルトンと比較をして考えてみるのもいいでしょう。
スケルトンとは内装や設備の導入がいっさいされていない店舗のことになります。そのため、設備工事費から内装費まですべて負担しなくてはなりません。もちろん、経営する飲食店に必要な設備だけを導入することができますし、店舗デザインにもこだわることができます。ですが、費用ばかりでなく工事期間が長くなってしまうことも指摘されます。一方、居抜きというのは、設備や調度品がそのままの状態で貸し出されている店舗のことです。設備のメンテナンスなどを行う程度なので、それほど費用はかかりません。もともとの設備配置などによって、店舗デザインも限られてはきますが、業者と相談してある程度こだわりを持つこともできます。
では、スケルトンと居抜きとでは、それほど設備工事費が変わってくるのでしょうか。スケルトンだと1坪あたり50万前後、居抜きだと20万円程度です。おおまかな平均金額ではありますが、それでも30万円の違いが出ているのです。
厨房設備を抑える方法
改装費用の目安として、改装費用の3割が厨房設備にかかっていることをご説明しました。この厨房設備を抑えるために、居抜き物件を利用することが選択肢としてあげられます。居抜き物件をどのように活用すれば、厨房設備の費用を抑えることができるのでしょう。実経費をシミュレーションしながらみていきましょう。
居抜き物件には、これまでの店舗で使用されていた厨房設備がそろえられています。もしも、スケルトン物件を購入したのなら、メーカーから新品で設備一式を購入するか、業者専門の中古ショップで探すか、あるいはリースという手段が考えられます。ですが、いずれの方法を選ぶにせよ、居抜き物件よりも費用がかかってしまうのです。とくに、リースの場合は、毎月のリース料が、気が付いたら購入金額を上回っていたということもあります。新規店舗には真新しい厨房設備でないといけないというこだわりがないのなら、中古で購入するのも、居抜き店舗に揃っている設備を使用するのも、同じことです。それなら、より費用を抑えることができる居抜き物件のほうがいいのではないでしょうか。
ここで、実経費をシミュレーションしてみます。例えば、小規模なイタリアンレストランを経営するとします。店舗面積は15坪です。もともとフレンチレストランだった居抜き物件を購入し、改装工事をしていきます。店舗購入費から改装費用を含め、300万円程度になる見込みです。メーカーが販売している業務用冷蔵庫が100万円以上することを考えると、居抜き物件でどれほど厨房費用を抑えられるのか分かるでしょう。
さらに、厨房設備を抑えるためには、居抜き物件を購入する前に、経営者がある程度どのようなメニューを取り扱うのか決めておく必要があります。例えば、さきほどの小規模なイタリアンレストランの経営者が、看板メニューとして石窯焼きのピザを売りにしたいと考えているのなら、当然ながら石窯つきの居抜き物件を探さなければなりません。居抜き物件を購入した後にメニューを考えてしまうと、メニューに必要な設備がないということになってしまいます。
どのような飲食店を経営するのか、どのようなメニューを取りそろえるのか、経営者はしっかりと計画を練ったうえで、賢く居抜き物件を選んでいく必要があるようです。
その他に注意すべきこと
居抜き物件をリフォームして飲食店を開店するために、どのようなことを注意すればいいのでしょうか。居抜き物件だからこそ、経営者が気を付けなければいけないこともあるようです。
よくあるトラブルとして、設備が稼働しなかったということがあげられます。求めている設備がすべて備わっていることを確認し、満足して契約を結んでしまいますが、購入前にすべての設備が稼働するか、きちんと確認することを忘れないようにしましょう。
飲食店の開店経費を抑えるために、居抜き物件を購入してリフォームするという選択肢があります。外装・内装の改装工事だけでも、ある程度の費用はかかってきてしまいます。安定した経営基盤を整えるためにも、初期経費は抑えたいものです。とくに費用がかかってくる厨房設備を抑えることを意識し、居抜き物件の活用も検討してみるべきだといえます。
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