インタビュー

「人」を思い作る料理、寛いでほしい店の軌跡

目次
寛ぎがメイン 落ち着きのある店づくり
6年前に飛び込んだ料理の道 常に学ぶ姿勢が大事
来てくれる人が喜んでくれる店へ 「人」との絆の店
店舗情報【味寛 ほんまや】

寛ぎがメイン 落ち着きのある店づくり

「味寛 ほんまや」との出会いは、営業担当からの紹介だった。担当からはシャイで笑顔を作らせるのは難しいと言われていた。やはり料理人という人物は、気難しい人が多いのだろうか・・・。そう不安になりながら、曙橋駅を出て東新宿に続く坂を登ると、黒い看板の店が見えてきた。店内に入ると、まずカウンター席が目に入る。古民家を意識した店内は、黒を基調とし、木のあたたかみを感じる落ち着いた色合いで統一している。

店長・本間さんは笑顔で迎え入れてくれた。奥の座敷へ案内されると、カウンター席とはまた違ったイメージを感じる空間だった。壁は黒一色に塗られ、丸い和紙の照明が柔らかい灯りを燈しながら天井から下がっている。まるで本当に人の家にお邪魔したかのような、寛ぎが広がっている空間だった。そこで本間さんとのインタビューは始まった。

「味寛 ほんまや」は、店長・本間さんの地元・山形県から仕入れた素材を使った料理が味わえる店。メニューの中には、山形の郷土料理や、本間さんが実際に飲んで仕入れを決めた日本酒達も含まれている。頂いた名刺には、友人がデザインしてくれたと語る店のロゴが。メインの野菜と魚に囲まれた字には、三つの想いが込められている。一つ目は店長・本間さんの名前が、ひらがなで「ほんま」と入っている。二つ目は「味寛」の「味」の文字から、味がうまいを連想させる「んまい」→「んまっ」という文字が入っている。三つ目は、「寛」。寛いで「ほっ」としてほしい。という想いが込められている。そんな想いが込められた「味寛 ほんまや」の軌跡をたどる。

6年前に飛び込んだ料理の道 常に学ぶ姿勢が大事

以前は15年程山形県でサラリーマンをしていた本間さん。料理の道に飛び込んだのは6年前のことだった。当時の仕事は取引会社と直接やり取りをすることが多い仕事で、お客様の声がすぐ聞けることが良かったそうだ。お客様にすぐ反応がもらえる。それをもっと活かせる仕事はないかと考え、上京し、料理の道に辿り着いたのだった。店頭では、お客様と直接会話ができ、反応を目の前で見ることが出来る。改善点なども聞くことができ、お客様と接することで勉強もできる。そういった状況で働けるのは一石二鳥であると感じた。

料理を学んだ6年間では、昼はキッチン、夜はホールと別々の視点で仕事を経験した。その中で本間さんが強く感じたもの。「美味しいものの先にあるのは、『人』である」ということだった。来店されたお客様に、美味しいものを食べてもらいたい。楽しくお話がしたい。それは一緒に働く仲間にも言えることだった。東京で勤務していたとき、スタッフ同士が楽しそうに働いているのがとてもよかったという。当時の店長には、独立するということは既に話した上で勤務していたので、時には厳しく、その分さまざまな仕事を教えてもらえたりしていたという。

「きっと、何を考えて働いているのかわからない人には、何を教えたらいいか難しいんです。教えが無駄になるより、独立してゆく人を支えたい。そういった教育をしてもらえたおかげで、今は独立したい人と働きたいですね。『人』軸で考えて働いています。」そう答えた本間さんの店では現在、小料理屋を開きたいというスタッフが在籍している。

来てくれる人が喜んでくれる店へ 「人」との絆の店

 「味寛 ほんまや」には既にリピーターが付き始めている。曙橋といえば、1997年までフジテレビの本社ビルが建っていたことで有名だ。「フジテレビ下通り」という名称だった商店街は現在は「あけぼのばし通り商店街」と変更されている。オフィスが移転となり、曙橋という街は大きく変わった。オフィスメインから住宅メインの街となった。飲食店も少なくなりつつあった曙橋は、開店するには不利だったのではないか。しかし、そんな予想は覆されたという。客層は主に地元に住む住民の方々。あまりない店ができたとして喜んでくれたお客様が多かった。そんなお客様が新たなお客様を呼び、山形に実際に住んでいるお客様が聞きつけて来店されたりしているそうだ。

 「味寛 ほんまや」が位置する通りには、数店舗飲食店が並んでいる。その店舗たちと一緒に、新たに賑やかな通りを作ってゆきたいと語った本間さん。そんな本間さんの目標は、地元・山形で出店すること。そのため、居抜き物件を選んだそうだ。ではなぜ東京に来たのか。「当時、東京には個室がある店が多かったんですよ。全体的に良いと感じる店が多かったですし、山形には無いなと思いました。山形にこういった店を作ったら、皆喜ぶだろうなと思ったんです。」やはり本間さんの言葉には、料理の先にいる「人」が見えた。店に関わる「人」との絆を、料理を通して表現している。そんな「味寛 ほんまや」は、必ず地元でも愛されるのであろう。

(取材日:2016年2月17日)

店舗情報【味寛 ほんまや】

この記事で紹介された人

本間 寛一さん

地元・山形での15年のサラリーマン時代から、上京。約6年間料理と接客を学び、ついに独立。居心地がよく、寛げるがコンセプトの店「味寛 ほんまや」を曙橋にオープン。野菜と魚を扱った優しい味の料理の他に、地元・山形県の家庭料理や日本酒も味わえる店である。

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