インタビュー

苦労の末に叶えたラーメン屋開業の夢 女性客の多い鴨出汁ラーメン専門店

目次
長年の夢だったラーメン屋の開業
ラーメン屋開業に悩みはつきもの!? 意外な盲点とは
専門店にしなければ生き残るのは難しい 開発3年で辿り着いた人気専門店の味
夢を叶えた先の「現実」を見据えて
『麺屋 福丸』店舗情報

長年の夢だったラーメン屋の開業

笹塚駅と幡ヶ谷駅のちょうど中間。人通りと交通量の多い甲州街道沿いにある「麺屋福丸」は、鴨出汁をベースにしたラーメン専門店。6月1日でオープンから丸5年を迎える人気店である。

「ラーメン屋を開くのがかねてからの夢だった」と語るオーナーの福丸さんは、飲食業界に長年身を置き、飲食店を運営する会社を経営するベテラン。

「ラーメン屋は難しいと言われている業種ではありますが、そこで勝負して結果を出せればいいかなと思って始めました。まあ、自分自身ラーメンが大好きでやってみたかったというのが大きいですけど。」と笑顔で話す。

ご本人もそう仰る通り、ラーメン店というのは人知れず苦労の多いジャンル。
「ラーメン戦国時代」と呼ばれるほど、各地の名店がしのぎを削っている昨今では、短期間で閉店してしまう店が少なくなく、メニュー開発や調理機材にかけるコストや労力を鑑みると、その苦労は筆舌しがたいものであるに違いない。だが、間口が広く幅広い層の来客があるのもまた事実。

「うちが1階の路面店だったということもあるかもしれませんが、学生からお年寄りまで色々なお客様が気軽に来店してくださいます。そもそもラーメンって幅広い世代に楽しんでもらえるもの。そこからどうリピーターに繋げるかというのが、僕らの腕の見せ所です。」

しかし、舌が肥えたラーメン愛好家も多い中で愛され続ける店を運営するのは、決して簡単なことではないはずである。

ラーメン屋開業に悩みはつきもの!? 意外な盲点とは

「ラーメン屋って匂いがきついし、近隣にお住いの方から嫌がられる可能性が大きいんですよ。こちらの物件を選んだのは、この店が10年くらいラーメン屋として営業していた店だったから。この場所で僕が新しくラーメン屋を開いても、周りから苦情がきたりする可能性は低いかなと思い、この物件に決めました。」

この辺は住宅街もオフィスも多いため、ランチタイムはサラリーマンやOLの方が、夜は近隣に住む方が比較的多く訪れるのだとか。新規客の獲得に関しては、「ラーメン好きの方達の中にはネットを見て来店される方が多いので、TwitterなどのSNSでの発信も重要視しています。広告をバンバン出すような余裕もないですし」と回答。ネットでの情報発信も怠っていないようだ。

しかし、ラーメン屋を開業するにあたって、福丸さんはある壁にぶち当たる。

「実はこちらの店、以前は背脂系の豚骨ラーメン屋だったんです。10年とかなり年季も入っていたので、ちょっと触るとカウンターや調理機器がギトギトしていたり、匂いが残っていたりしてクリーニングで対応するには限界がありました。僕はもともと女性1人でも来やすいような清潔感のあるお店を目指していたので、思い切って内装も調理機器も一新することに。なので居抜き物件ではあったんですが、結局のところ改装や調理器具の新調など全部で600万円ほどかかってしまいました。床も削ってクリーニングかけましたしね。実際にやってみないとわからないことってあるんですよ、やはり豚骨ラーメンの威力はすごいなと思いました。」

ラーメン屋ならではの悩ましい実情と言えるのかもしれないが、その努力の甲斐あって店はどこを見渡しても清潔感が漂い、女性でも入りやすい明るい雰囲気を醸し出している。

なお、構造やレイアウトに関しては変更しておらず、「厨房が広く作業がしやすいところ、広々したカウンター、それに客席背後にもきちんと収納が取れるだけの広さがあったのは良かった点です」とのこと。

専門店にしなければ生き残るのは難しい 開発3年で辿り着いた人気専門店の味

風味豊かでヘルシーなイメージのある鴨肉の出汁を使ったスープ。それは、麺屋福丸のラーメンが女性客にも人気である理由のひとつかもしれない。

「スープに鴨肉を使っているという点では、専門店と言えるかもしれません。今は特徴とこだわりのある専門店の方がいいのかなって思って、最初から鴨でいこうとは決めていました。以前ラーメン屋で働いていた従業員もいるので、そういう意味では完全なゼロからのスタートというわけではありませんでしたが、岩手県産の鴨を使って色々と試行錯誤しました。開発期間でいえばトータル3年はかかっているかもしれません。材料は一緒ですが、最初に作ったラーメンと比べて今は全く違う味のものになっていますね。」

夢を叶えた先の「現実」を見据えて

開店1年目にして都内の人気店として名の挙がる「麺屋福丸」だが、現状に甘んじることなくこの先もどんどんメニューを変化させていくとのこと。

「並んでいる店には入る、ガラガラな店には入らないっていう大衆心理みたいなものも大いにあると思いますが、お客さんは正直ですからね。少しでも気を抜くと逃げて行ってしまうという危機感を念頭に置いて、これからも気を引き締めてやっていきたいと思っています!」

夢を叶えた先の現実をきちんと見据えながら、福丸さんは真っ直ぐな力強い眼差しでそう語る。

(取材日:2018年5月23日)

『麺屋 福丸』店舗情報

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