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飲食店の開業前に考えておきたい行列対策|対処法とトラブル解消法

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飲食店を開業するにあたり、「行列ができた場合の対策」については検討しているでしょうか?人気がある証拠ともいえますので、行列ができることは良いことと思えるかもしれません。
しかし、行列ができることには、機会損失や顧客満足度の低下、あるいはトラブルの原因となるなどのデメリットも多くあります。
今回は、行列が引き起こす問題、行列の解消方法、および行列によるトラブルの予防方法についてご紹介します。
お店に行列ができる原因
お店に行列ができる原因や、行列ができやすいお店の特徴には、以下のものがあげられます。
メディアで取り上げられる機会が多い
メディアで取り上げられる機会が多ければ、その分だけ多くの人に情報が露出することになります。
客の呼び込みが上手い
お客様への呼び込みが上手いスタッフがいることで、お店に入れないお客様も我慢して並んでくれることがあります。
行列が行列を生んでいる
行列ができていることによって「おいしい」とのイメージが持たれやすくなり、さらに行列ができやすくなる傾向があります。
並んでいる間に先回りしてオーダーを取っている
並んでいるお客様からオーダーを取ることで、厨房も効率的になるだけでなく列からの離脱防止にもなります。
行列が引き起こす問題
行列ができることは、「人気がある証拠」ともいえますので、お店にとって良いことのようにも思えます。しかし、行列がさまざまな問題を引き起こすことも。以下では、行列ができることにより、どのような問題が引き起こされるかを見ていきましょう。
行列が苦手な人の機会損失
行列が引き起こす問題としてまず挙げられるのは、「行列が苦手な人の機会損失」です。
お店に行列ができていると「ぜひ自分も並んでみたい」と思う人は、たしかにいます。しかし、世の中には、そういう人ばかりではなく、行列が苦手な人もいます。
行列が苦手な人は、行列ができていると、「これだけ待つのなら別の店へ行こう」となりがちです。行列ができていることにより、行列ができていなければ来店したはずのお客様の、来店の機会を損失することになります。
長い待ち時間による顧客満足度の低下
行列で長い時間待つことにより、顧客満足度が低下することがあります。
行列には、好き好んで並ぶ人はそう多くはありません。ほとんどのお客様は、「できれば並びたくないけれど、お店に入るためには仕方がない」と、辛抱して並んでいます。この、「お客様に辛抱をさせている」ことは、顧客満足度の観点からは大きなマイナスだといえます。並ばずに入ることができれば、その方がよいはずです。
したがって、提供する商品の味や内容、接客、あるいはお店の内装などが悪くないものであったとしても、それが待つことの辛抱に見合うだけものでなかった場合は、お客様の満足度は最終的にマイナスになってしまうこともあります。
順番待ちのお客様トラブル
行列ができていると、並んでいるお客様同士でトラブルが起きることがあります。
トラブルの原因としてありがちなのは、並んでいたお客様の案内順が前後してしまうこと。
また、行列への割り込みが発生することもあります。
並んでいるお客様は、待ち時間が長くなるにつれ、どうしてもストレスが溜まってイライラしてきがちです。そんななか、案内順の前後や行列の割り込みが発生すると、お客様同士のトラブルに発展するリスクがあります。
順番待ちのトラブルを未然に防ぐためには、
・スタッフ間で案内ルールが異ならないように定めておく
・順番が前後することがあるのなら、それをあらかじめ伝えておく
・並び順を表などに書いてもらう
などの対処が必要となるでしょう。
行列による近隣トラブル
お店の前に長い行列ができていると、近隣の住宅や店舗からクレームを入れられるなどの「近隣トラブル」が起こることもあります。
近隣トラブルの原因としてありがちなのは、行列が近隣の住宅や店舗まで伸びてしまい、入り口などをふさいでしまうこと。また、行列に並んだ人のマナーが悪かったり、話し声がうるさかったりすることがトラブルの原因となることもあります。
行列による近隣トラブルを防ぐためには、並ぶ場所を、お店の前にきちんと限定して定めておくことが必要となるでしょう。
また、行列が長くなりすぎないようにするために、
・オペレーションを効率化する
・整理券などを配って行列自体ができないようにする
などを行うことも、トラブルの予防に効果があります。
行列の解消方法
以上のように、行列ができることは、お店にとって良いこととは限りません。 機会損失や顧客満足度の低下につながり、お客様同士、あるいは近隣とのトラブルの原因となることもあります。
それでは、行列を解消するためにはどうすれば良いのでしょうか?それを以下で見ていきましょう。
行列を解消するためには、並び方に工夫をすることが大切です。並び方には、大きく分けると以下の2種類があります。
ひとつの窓口(レジ)に対して一列に並んでもらう
並び方としてオーソドックスなのは、窓口(レジ)が複数ある場合、それぞれの窓口に対して1列に並んでもらうことです。この並び方が、行列の長さを最も短くできます。
ただし、この並び方をすることで、「同じタイミングで並び始めたのに、隣の列に並んだ人の方が早く順番が回ってきた」などの不公平感を、お客様に感じさせることがあります。
ひとまず全員一列になり、順番が来たら進んでもらう
案内順の不公平感をなくすためには、並ぶ列は1列にして、空いた窓口に順番に進んでもらう方法(フォーク並び)があります。
ただし、この並び方だと列が長くなりますので、蛇腹状に並んでもらうなどの工夫が必要となることがあるでしょう。
予約システムを導入する
行列を解消するためには、予約システムを導入することも大きな選択肢となります。
予約システムとしてよくあるのは、市町村役場などでも使われていることが多い「予約発券システム」です。順番待ちをしている組数とおおよその待ち時間が表示され、ボタンを押すと整理券が発行されます。この予約発券システムを導入すれば、行列に並んでいる途中でお客様が帰ってしまうことによる機会損失を減らすことが可能となります。
また、電話予約やWebでの予約を管理するシステムもあります。これらの予約管理システムを導入すれば、行列自体をなくすこともできるでしょう。
行列トラブルの事前予防方法
行列を解消しようとするのではなく、行列ができることは受け入れたうえで、行列トラブルを予防するという対策法もあります。
ここでは、行列トラブルをどのように予防できるのかを見てみましょう。
不公平にならないよう注意する
まず大切なのは、行列に並んでいるお客様が不公平感を抱かないようにすることです。
行列によるお客様同士のトラブルは、上でも見たとおり、案内順が前後する、あるいは割り込みが発生する、などのことから、お客様が抱く不公平感が原因となることが多いからです。
案内順がスタッフによって違ったものにならないよう、統一した案内法をスタッフ間であらかじめ確認しておきましょう。また、割り込みなどが起きないように注意して目を光らせておくことも大切です。
適切なアナウンスを心がける
行列トラブルを予防するためには、行列しているお客様に対して適切なアナウンスを心がけることも重要です。 行列しているお客様は、
・あとどれくらい並べば順番が来るのか?
・自分が並んでいる間に商品が売り切れてしまうことはないのか?
などについての情報を求めています。
これらの情報を、必要に応じて適切なタイミングでアナウンスすることにより、お客様のストレスやイライラは緩和されることになるでしょう。
まとめ
お店にとっては、「人気がある証拠」ともいえるお客様の行列。しかし、きちんと対策を取らないと、行列が苦手な人が帰ってしまうことによる機会損失、行列に並ぶストレスによる顧客満足度の低下、あるいはお客様同士や近隣とのトラブルなどを引き起こすこともあります。
行列の管理は、お店の手腕の見せどころともなるものです。しっかりと対策を講じることで、お客様からの信頼を勝ち取りましょう。
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