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独立・起業におすすめの業種3選!必要な開業資金や支援制度についても解説

- 目次
独立開業を成功させるためには、業種選びが大切です。失敗してしまったときのリスクを最小限にするために、資金負担を最小限にする工夫も求められます。
こちらでは、独立開業で成功しやすいとされる3業種をご紹介するとともに、低資金で開業する方法や支援制度についても解説します。
独立開業におすすめの業種
独立開業の形態には大きく分けて「個人事業」「法人」「フランチャイズ」の3種類が存在します。
<独立開業の形態>
●個人事業
「個人事業」は事業主本人が事業の責任を負う形態です。低資金で始められる点や、収益を事業主個人のものにできる点がメリットです。
反面、経費計上できる範囲の狭さや所得に応じて税率が上がる点はデメリットです。取引先によっては社会的な信用の低さから取引を避けられるケースもあります。
●法人
「法人」は法律に準じて社会的活動を行う、いわゆる「会社」を指します。経費計上できる範囲の広さや所得に応じて軽減される税率は個人事業にはないメリットです。
ただし、設立するためには煩雑な手続きを行う必要があります。開業資金も個人事業に対して割高です。
さらに、複雑な会計、ランニングコストなどが発生し、体制が整っていなければ運営がままなりません。
●フランチャイズ
「フランチャイズ」は本部と契約することで、商品・サービスを提供する加盟店となる形態です。経験やノウハウがなくても、本部からの指導によりスムーズに開業できます。
人件費、経費などのランニングコストは加盟店側が負担することになります。
飲食店
飲食店は独立開業で選ばれることが多い代表的な業種です。開業の際は以下のようなポイントを意識する必要があります。
<飲食店開業のポイント>
●必要なスキル・資格
飲食店開業で必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」です。どちらも、1~2日で取得できます。
●設備
調理を行うために厨房設備が求められます。また、保健所の審査を通過する必要があります。
●食材調達
食材の費用は飲食店経営で発生する代表的なコストです。ビジネスとして採算をとることも重要ですが、安価な食材を使うことは提供する料理の質を下げてしまうかもしれません。
●自宅開業のメリット
飲食店を自宅開業すると、店舗の家賃コストが事実上発生しません。経営が立ち行かず閉店した後も、店舗を貸し出せばテナント料を取得できます。
●自宅開業のデメリット
自宅で開業できる飲食店の規模は自治体によって決まっています。
細かなルールは自治体によって変わりますが、基本的に100人を収容するような大型飲食店は開業できません。
また、住宅が密集しているエリアでは臭いや騒音による近隣トラブルに注意する必要があります。
サロン
サロンは女性に人気の業種で、開業を目指す人も少なくありません。サロンには以下のような種類や、開業のポイントがあります。
<サロンの種類>
●マッサージエステ
●アロマセラピー
●ネイルアート
<サロン開業のポイント>
●必要なスキル・資格
エスティシャン、アロマセラピスト、ネイリストに関する資格はありますが、日本ではいずれも開業に必須ではありません。ただし、資格を取得しておくと集客で有利に働きます。
●設備
マッサージエステには施術用のベッドやタオルなど、合計1万円程度の設備が必要です。
アロマセラピーではベッド、アロマオイル、着替え用の設備などで10万円程度の初期費用が発生します。
ネイルアートは、椅子やテーブルのほか、マニキュアやジェルなどの消耗品で10万円程度の初期費用がかかります。
●自宅開業のメリット
自宅開業サロンの場合、通勤時間が発生しません。女性にとっては、家事や子育てと両立しやすい点が大きなメリットです。サロンで発生した家賃や光熱費を家計と案文計算もできます。
●自宅開業のデメリット
自宅で業務を行うことから、公私の区別があいまいになってしまうケースが多いようです。他の有名店や立地のよい店舗の中から「選ばれるサロン」になるためには、厳しいビジネス感覚を維持しなければなりません。
個人タクシー
運転が得意な方や、長年タクシー運転手をしていた方が個人タクシーを開業するケースもあります。個人タクシー開業のポイントは以下のような点です。
<個人タクシー開業のポイント>
●勤務経験
申請日の時点で、10年以上運転者として仕事をしていた経験が必要です。また、経歴としてカウントされるのは申請しようとしている営業区間における勤務経験に限られます。
●違反歴
運転免許の取り消し処分、刑法の処分、タクシー業務適正化特別措置法に基づく登録の取り消し処分を申請日の過去5年間受けていない、または申請日までに処分が終了していることが条件です。
申請日の過去3年間に道路交通法違反による処分を受けていないことも条件です。
●年齢制限
申請日時点で65歳未満である必要があります。
●試験について
関東運輸局長が実施する法令試験と地理試験に合格する必要があります。不合格の場合、再試験はありません。
●使用車両
過去の制限は撤廃され、現在はどんな車両でも個人タクシーとして使用できます。ただし、事業者に使用権原がある車両に限られます。
●個人タクシー開業のメリット
営業時間や営業スタイルなどを自分の裁量で決められるのが個人タクシーのメリットです。運転手として働ける期間が長いため、会社をリタイアした後の開業としても選ばれています。
●個人タクシー開業のデメリット
個人タクシーの場合、燃料費、車両の整備費用、保険料などはすべて自己負担です。また、個人タクシーの場合は帳簿の管理や修理の手配なども自分で行う必要があります。
資金0円で独立開業はできるか
開業にはある程度の資金が求められます。資金がまったくない状態で独立開業できる方法は多くありません。
しかし、インターネット環境やPC、モノづくりのスキルなどがあれば、初期費用をかけることなく開業できます。
<資金0円でもできる事業>
●ネットショップ
商品をセレクトし在庫確保すればネットショップを開業できます。既存のサービスを利用すれば、自分で販売用のホームページを作る必要もありません。
●代行業
何かを顧客に変わって行うのが代行業です。「家事代行」「買い物代行」のほか、現在は「宿題代行」「謝罪代行」といったユニークなサービスが登場しています。
●フリーランス
「クラウドソーシング」と呼ばれる登録者に単発に仕事をあっせんするサイトを利用すれば、フリーランスで仕事ができます。PCとインターネット環境さえあれば、自部のスキルと生かして活躍できるでしょう。
●ライター
文章力があれば、ライターとして仕事ができるかもしれません。インターネットマーケッティングでは注目を集めるコピーや文章が求められています。
このほか、フランチャイズシステムを利用し加盟店になれば0円で開業できるほか、開業に向けたサポートを受けられます。
資金が足りないときの対処法
多くの場合、まとまった資金がなければ開業できません。とりわけ、実店舗を構える場合は多くの資金が必要となります。
例として小規模の飲食店を開業する場合、物件の保証金、内装工事の費用、設備の購入費用などを合わせると700~1,200万円の資金が必要です。
資金を工面する方法としては、以下のようなものが代表的です。
<資金不足の対策>
●親族や身近な人に借りる
事業に賛同してくれる親族や友人がいれば、資金を貸してくれるようにお願いするのもひとつの方法です。後々のトラブルにならないために、返済計画を明確にし、借用書を記載しておくのがよいでしょう。
●目標額まで貯蓄する
目標額を設定し自分で貯蓄するのは最も堅実な方法です。しかし、時間がかかるため事業開始に最適なタイミングを逃してしまうこともあります。
このほか、起業家向けの開業支援制度を利用するのもおすすめです。
独立開業の支援制度
独立開業を検討している方向けに政府、自治体、銀行が融資や補助金の制度を提供しています。代表的な制度を以下にご紹介します。
<主な開業支援制度>
●新規開業資金
新規開業資金は日本政策金融公庫が実施している融資制度です。「従業員を雇用する」「勤めている企業と同じ業種で開業する」「認定特定創業支援事業を受けて開業する」「民間の金融機関・公庫の協調融資によって開業する」のうちいずれかの条件に該当する開業者が対象となります。
●新創業融資制度
新創業融資制度は日本政策金融公庫が提供している融資制度のひとつです。新事業を始める方、さらに雇用機会を創出する事業を始める方などが対象となります。
●自治体の制度融資
自治体によっては制度融資という開業支援の取り組みを行っていることもあります。制度融資とは、金融機関の融資にあたり自治体が預託金を提供する制度です。
多くの場合、こうした制度を利用するためにはある程度の自己資金が求められます。また、申請後は審査が行われ、通過した場合のみ融資が行われます。
独立開業のよくある失敗例
開業から10年で約3割の企業が退出していることがわかります。独立開業の場合も、長く経営を続けていくのは簡単ではありません。以下は、独立開業の代表的な失敗例です。
<独立開業の失敗例>
●無駄な出費
開業には多額のお金が動くことから、少額の出費に対して鈍感になってしまうことがあります。少額の無駄な出費を繰り返し、結果的に大きな浪費に至ってしまうケースは少なくありません。
●経営知識の不足
業務に必要な知識やスキルが十分に備わっていながら、経営知識が伴っていない開業者もいます。厳しいビジネス感覚がなければ、事業を安定させることはできません。
●初めから規模を大きくしすぎた
開業の基本はスモールスタートです。規模を大きくしすぎると、失敗したときの損害も大きくなります。大きな売上を期待して賃料の高い店舗を借りたものの、赤字が続いてしまった……、というケースは珍しくありません。
●過剰なサービス
事業内容を自己の裁量で決められることから、サービスが過剰になってしまうことがあります。提供するサービスと報酬のバランスが崩れた状況が続くと、経営に無理が生じはじめ、廃業に至ってしまうことがあるようです。
独立開業に役立つ資格
<独立開業に役立つ資格>
●行政書士
行政書士は官公庁に提出する書類の作成を代行する仕事を行うための国家資格です。個人や法人から依頼を受け、書類作成を行います。近年の合格率は6~15%を推移しています。
●不動産鑑定士
不動産鑑定士は不動産を評価し値段を決めるための資格です。士業の中でも難関試験のひとつであり、合格率は15%程度となっています。
●日商簿記検定
日商簿記検定は帳簿付けや会計の知識を証明する検定です。独立開業は、業務そのものよりも経営に生きる資格と言えます。3級から1級までの級があり、1級の難易度は10%を下回ります。
●FP技能検定
FP技能検定は、将来的な展望に応じた生活設計を行う「ファイナンシャルプランナー」になるための資格です。独立開業では、資金繰りや節税対策、保険の判断などに知識を生かすことができます。一般的なFP2級は平均で約35%の合格率となっています。
●中小企業診断士
中小企業診断士は国内で唯一公式に認められている経営コンサルタントの資格です。身に着けた知識は、独立開業でもダイレクトに役立ちます。1次試験と2試験がありますが、近年がどちら20%程度の合格率を推移しています。
女性の独立開業ビジネスモデル
女性にとって始めやすい開業のひとつがネイルサロンです。自宅開業ネイルサロンの一般的なビジネスモデルについてご紹介します。
<ネイルサロンの自宅開業ビジネスモデル>
●初期費用
施術設備や開業後に使用する消耗品を合計すると、少なくとも10万円程度の資金が必要になります。
●必要な設備
ネイルサロンの開業に必要な設備は以下のようなものです。
・施術チェア
・テーブル
・ライト
・マニキュア、ジェル
●収入例
ネイルサロンの施術料は内容によって異なりますが、スタンダードな内容であれば5,000円程度が相場です。コンスタントに集荷でき、1日の施術回数を3回(各2時間)と考えた場合、1日あたり15,000円の収入が見込めます。1カ月の稼働が20日と考えた場合、月最大30万円の収入が期待できます。
まとめ
独立開業は決して非現実的な話ではありません。具体的なビジネスモデルがあれば誰でも開業できます。
現在は、開業者を支援する政府や銀行の制度も豊富です。同時に、安定した事業を長く続けていくためには、経営者としての力も求められます。
開業で陥りやすい失敗例を分析し、安定した事業運営を目指してください。
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