攻略コラム

創業融資の審査のチェックポイント

目次
1.明確な基準はない
2.審査における三つのチェックポイントとは
まとめ

日本政策金融公庫など、公的な創業融資を活用したい場合は、「審査」のハードルを乗り越える必要があります。

以前の記事で「創業融資は一発勝負」と述べたとおり、融資を申し込みするなら、1回でパスしたいですね。ここでは、首尾よく審査にパスするために知っておくべき審査のポイントについて解説します。

1.明確な基準はない

 

創業融資の審査は、どのような基準で行われているのでしょうか?

実は、「創業融資の審査には明確な基準はない」というのが実態です。総合的に判断して「この人はうまくやっていけそうだから融資OKにしよう」、「この人は返済が遅れそうだから融資はお断りしよう」と、決まっているのです。

長年続いている中小企業であれば、決算書などの財務データをコンピュータで分析することができます。コンピュータが高度な統計学を駆使して、企業が倒産するリスクの度合いを数字で算出してくれます。また、財務データを細かく分析することで、融資判断の基準とすることができます。

ところが、創業する前の人は何も実績がないので、分析対象となる数字がないのです。もちろん、本人の職歴や自己資金の金額など、目安となる材料はあるものの、コンピュータで分析して結論を出すというわけにはいきません。

将来、人工知能が発達すれば、数学的な分析ができるようになる可能性はあります。しかし、現状では審査に携わる人たちの経験や勘に基づいた「総合的な判断」によって決まっているのです。

「経験や勘」というと、いい加減に決めているように思うかもしれませんが、日本政策金融公庫は60年以上に渡って創業融資の審査ノウハウを蓄積しています。それは明文化されたものよりも、暗黙知として語り継がれているものが多いのです。町工場の熟練した職人が、手作業で機械よりも精密な製品を作りあげるのと同様に、精度の高い審査をしているといえます。

2.審査における三つのチェックポイントとは

「創業融資の審査には明確な基準がない」とお伝えしましたが、融資担当者が必ずチェックするポイントはあります。それは、「経営者としての資質」「財政状態」「収支見通し」の三つです。

経営者としての資質」とは、経営者になるためのスキルやノウハウを身につけているかという視点です。開業すれば、サラリーマンではなく経営者としての能力が求められます。たとえば、経営に関する知識、マネジメント能力、経営戦略の論理的思考能力などです。

さらに、中小企業の場合は経営者とはいっても、接客や営業なども自分がやらなければならないケースがほとんどです。つまり、商売人としてやっていける性格や行動力の有無についても、それとなくチェックされることになります。

審査のチェックポイント①「経営者としての資質」とは #専門家コラム

財政状態」とは、身もふたもない話になりますが、お金の余裕があるかどうかという視点です。開業してもほとんどの場合、赤字か資金繰りが楽ではない状況がしばらく続きます。開業するのに借金に依存しすぎる状況であれば、厳しい状況を乗り切る耐久力が弱いという考え方です。あるいは、すでに借入金があって返済負担がかなり大きい状況だと、その分より多くの利益を出さなければ店を継続していけないことになります。

審査のチェックポイント②「財政状態」について #専門家コラム

収支見通し」とは、「店を続けて融資金が返済できるかどうか」という視点です。事業計画書の中で、売上、原価、経費を予測する欄があり、ここに記載している内容の実現可能性が問われます。ここでは、事業計画がどれだけ練り上げられているものかという観点と、お金に関する知識(計数感覚)も問われることになります。

審査のチェックポイント③「収支見通し」 #専門家コラム

まとめ

 

よく「創業融資を受けるためには事業計画書をうまく書くことが大切」といわれていますね。本コラムも事業計画書の書き方の書き方をメインテーマにしていますが、実は事業計画書をうまく書くだけではダメです。

首尾よく融資を受けるためには、「経営者としての資質」「財政状態」「収支見通し」の三つの視点をうまく見せることが欠かせません。事業計画書以外でも、担当者との面談で提出する資料やプレゼンにおいても、十分に意識しておくことが重要なのです。

次回から三つのポイントについて、より詳しく解説します。

「自己資金」のことを知っておこう
審査のチェックポイント①「経営者としての資質」とは
ABCテンポ情報局
居抜き開業ガイド
開業ノウハウ
おすすめの記事

街レポート

大田区|蒲田はどんな街?居抜きの物件で飲食店開業するための街情報

詳細を見る