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金融機関の審査はどのように行われているか #専門家コラム

金融機関の審査はどのように行われているか #専門家コラム

金融機関へ融資を申し込んだら、「審査」というものがあるということは、ほとんどの方がご存じだと思います。
クレジットカードをつくるときと同様に、創業融資も申し込みしたら必ず融資してくれるというわけではありません。

審査とは、金融機関が融資の可否を検討するためのプロセスです。開業したい人が融資を受けるためには、審査にパスしなければならず、最大のハードルだといえます。
融資を受けなければ開業できない人だけではなく、自己資金で開業できるけど「お金に余裕をもつために融資を受けておこう」という人でも、審査で落とされたくはないですね。

このハードルをうまく乗り越えるために、まずは金融機関で審査がどのように行われているかを知っていただきたいと思います。ここでは、創業融資を行う代表的な金融機関である日本政策金融公庫を例にとってご説明します。

1.審査の実態

開業希望者が日本政策金融公庫に融資を申し込みすると、1人の職員が担当することになります。審査のハードルを乗り越えるには、担当になった職員をうまく納得させることが一つのカギとなります。

たとえば、5名の融資担当者が集まる場面でプレゼンできるのなら、1人がネガティブな見方をしても、残りの4名が肯定してくれたら融資はOKになるでしょう。しかし、担当者は複数ではなく1人なので、目の前の融資担当者をいかにして肯定的見方、つまり融資OKと判断する気持ちにさせるかが重要です。
とはいえ、担当者がすべての決定権を持っているわけではありません。
担当者は審査の稟議書を書いて上司に回し、最終的には「決裁権者」が融資の可否を決めることになります。「決裁権者」とは、通常は支店のトップですが、内容によっては本店の審査部門になることもあります。

融資担当者は、融資を申し込みした人から提出された事業計画書などの資料を見て、面談によるヒアリングを行い、分析した結果を稟議書にまとめます。稟議書には、融資をOKとするか、NGとするかの結論も記載して上司に回すのです。
場合によっては、稟議書を回す前に、担当者と直属の上司や決裁権者が会議を行って方針を決めることもあります。

2.創業融資は一発勝負

創業融資を利用したいと考えた際に、「とりあえず申し込みしてみよう。ダメならまた書き直して出せばいいだろう」と考えている人がいますが、それは避けたほうがいいといえます。

なぜなら、万一融資の審査でNGになると、再度申し込みしてもなかなかOKにならないからです。
「創業融資は一発勝負」と心得て、1回でパスできるようにしっかりと準備して申し込むことが重要です。
もちろん、「2回目の申し込みは絶対に無理」というわけではありません。

たとえば、最初は高い物件での開業を考えていたので2,000万円の申し込みをしたところ「投資金額が多すぎる」という理由でNGのことがあります。
その場合は、安くで開業できる物件に変更して、800万円で再チャレンジしたら審査にパスできる可能性もあります。

3.なぜ事業計画書が重要か

開業希望者が面と向かって話ができるのは融資担当者だけですが、上司である融資課長、次長(副事業統括)、事業統轄(支店長のこと)などが、担当者の稟議書を見たり意見を聞いたりして「担当者の判断は正しい」と認めてこそ融資OKになります。
ですから、融資担当者をうまく説得するだけではなく、その上の上司の眼も意識することも忘れてはいけません。

私は日本政策金融公庫で融資課長という立場にありましたが、部下である融資担当者が融資NGの稟議書を回してきたときに「いやこれは融資できるだろ」と覆すことがありました。

逆にまれですが、融資OKを融資NGに覆すこともありました。私にとって、創業融資の審査は、長年続いている企業への融資と比べて、判断に迷うことが多いものでした。
なぜなら、開業はやってみなければ成否が分からないので、創業融資はリスクがとても高いからです。
かといって、簡単に融資をNGにしたら、せっかく開業しようという意欲のある人の可能性をつぶすことになりかねません。
融資の決裁権者は、融資担当者の意見を尊重するのは事実です。しかし、提出された資料の内容によっては、融資担当者の意見とは異なる判断をするときもあります。

そのときに判断材料として大きいのが事業計画書です。つまり、首尾よく融資を受けるためには、融資担当者を言葉で説得するだけではなく、決裁権者の眼を意識した事業計画書をつくることが非常に重要なのです。

 

まとめ

「創業融資は一発勝負」と認識して、1回で審査にパスできるように準備することが大切です。
創業融資の審査は直接面談する担当者だけではなく、複数の人が検討して結論が出されます。

審査にパスするためには、融資担当者の上司も説得するために、しっかりとした事業計画書を書くことが重要です。

 

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記事を書いた人

上野 光夫 氏

株式会社 MMコンサルティング 代表取締役・中小企業診断士

1962 年鹿児島市生まれ。九州大学を卒業後、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)に 26 年間勤務し、主に中小企業への融資審査の業務に携わる。3万社以上の中小企業への融資を担当した。融資総額は約 2,000 億円。

2011 年4月にコンサルタントとして独立。起業支援、資金調達サポートを行うほか、研修、講演、執筆など幅広く活動している。資金調達サポートでは、年間約 100 社の融資を成功に導いている。リクルート社『アントレ』などメディア登場実績多数。

主な著書

『起業は1冊のノートから始めなさい』(ダイヤモンド社)
『「儲かる社長」と「ダメ社長」の習慣』(明日香出版社)
『事業計画書は1枚にまとめなさい』(ダイヤモンド社)

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