街レポート
千代田区|神保町はどんな街?居抜きの物件で飲食店開業するための街情報

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東京都千代田区にある神保町は、“古書の街”というイメージでお馴染みの街です。都心にありながら昭和の雰囲気が感じられる神保町は、すぐそばに皇居や靖国神社があり、桜の季節は満開の桜を眺めながら散歩も楽しめます。今回は、独特な雰囲気で数々の文豪や文学ファンを魅了してきた街、神保町の魅力と特徴をご紹介します。
古書の街として有名になった神保町の魅力とは
千代田区の北部、神田地域に属する神保町。大手町の隣という交通至便の地にありながらも、昔ながらの佇まいを色濃く残す、ノスタルジックでどこか懐かしい雰囲気の街です。そんな神保町古書店街では、巷では商店街が苦戦を続けていると言われているにもかかわらず、未だに店舗数が増え続けている模様です。
古本屋が立ち並ぶオフィス街・神保町の魅力
神保町は世界有数の古本屋街として知られています。130年以上の歴史があり、現存している本屋さんは140店舗以上。出版社も50社近く集まっており、まさに日本を代表する「本の街」でしょう。
しかしなぜ古書店が存続しているのでしょうか。世界的には古書店街は衰退の一途を辿っているにもかかわらず、神保町は今でもとても活気があるのです。理由としては、街全体が専門化されており、見つからない本はないという状態になっているから、と言われています。世界一の在庫があるのをウリにしているので、日本や世界から多くの人が訪れるのです。
路線はもちろん徒歩でのアクセスも良好
神保町には、東京メトロ半蔵門線と、都営地下鉄三田線・新宿線という3つの路線が通っており、神田・九段下・竹橋・水道橋・御茶ノ水なども徒歩圏内という恵まれた環境にあります。皇居や武道館、靖国神社も近く、豊かな自然を感じられるスポットへのアクセスも良好です。
カレーライスの街としても有名
神保町は、明治以来学生の街であることから、安価でボリュームのあるグルメの街としても有名です。ラーメン、とんかつ、天丼なども有名ですが、神保町と言えばやはりカレーでしょう。
老舗の洋食屋から学生向けのワンコイン食堂まで、欧風・インド風・家庭風を問わず、幅広いジャンルのカレー店が軒を連ねます。カレー店の集積地としては東京随一と言っても過言ではありません。
なぜこんなにもカレー店が増えたのかについては諸説ありますが、「スプーン1本で、本を読みながらでも食べられるから」という説が濃厚なようです。本好きの方にはまさにうってつけの食事とも言えますが、今ではカレーを目的として訪れる方も少なくないようです。
また、古書店の発展とともに数を増やしてきたレトロな喫茶店も街のいたるところにあるため、コーヒーや軽食をとりながら本を読みふけることもできます。中には、有名な文豪が愛した喫茶店などもあるため、好きな文豪の本を片手に縁の地を巡ってみるのもオツなものです。
神保町と言えばカレー! 人気の名店8選
神保町はカレーの街としても知られ、人気カレー店がしのぎを削っています。
ボンディ
東京のみならず、地方からも多くの人が訪れる欧風カレーのお店。複数のスパイスをブレンドしたカレーは、風味が豊かで深いコクが感じられます。また野菜とフルーツがたっぷり入っているので、濃厚な甘みも人気の秘密です。
ボンディではカレーと一緒に丸ごとのジャガイモが出てきます。他の神保町のカレー店でも、ジャガイモが出てくるところは多いのですが、最初に出したのはボンディだと言われています。ジャガイモはバターとからめて食べてもいいですし、カレーと混ぜて食べても絶品。
まんてん
大盛りのカレーライスがリーズナブルに食べられるお店です。毎日行列ができているので、時間に余裕を持って行きましょう。
スタンダードなカレーは450円とかなりお得。カツカレーも600円という安さで提供されています。お財布が寂しい時に重宝しているカレー店です。※値段は2019年8月末時点
エチオピア
創業から30年以上が経つ老舗のカレー店です。大量の野菜を長時間煮込んだカレーは、トロリとしていて野菜本来の旨みや甘みが凝縮。また12種類のスパイスの中には漢方薬として使用される食材がふんだんに使用されています。漢方の力で胃もたれもなく、食後のすっきりとした飽満感が人気の秘密です。さらにエチオピアでは、ボンディと同様にジャガイモが提供されます。おかわり自由なので、お腹いっぱい食べたい人におすすめですよ。
ガヴィアル
神保町の名店「ボンディ」で修行した店主がオープンしたカレー店です。人気のビーフカレーはビーフがゴロゴロ入っていて食べ応え抜群。1982年に創業して以来、ソースを継ぎ足しています。コクが深いカレーが食べたい方はぜひ行ってみてください。
ペルソナ
レトロな雰囲気が漂う欧風カレーのお店です。ビーフカレーは濃厚でコクがあり、後からピリッとした辛味が追いかけてきます。またカレーと一緒にジャガイモが出てくるので、バターとからめたり、カレーに溶かしても絶品です。
スマトラカレー 共栄堂
大正13年創業のスマトラカレー専門店です。小麦粉を一切使用せず、20種類の香辛料と野菜だけを使ったソースは、濃厚で深いコクが味わえます。お米も新潟県産のコシヒカリを使用、カレーとの相性は抜群。
マンダラ
テレビでも特集番組が組まれるほど人気のカレー店です。昔は海外旅行で撮影した写真や動画を送り合うことが難しかった時代に、「旅人が思い出を語らう場があったらいいね」ということで創業をされたそう。
マンダラのカレーは日本人の舌に合わせるのではなく、本場の味をそのまま再現しています。本格的なインドカレーを食べたい人にはおすすめのお店です。
キッチン南海
「カツカレーの元祖」とも呼ばれる神保町の老舗カレー店です。一番人気はもちろんカツカレーで、すでに開店前から長蛇の列ができます。カレーは甘みが強く万人ウケするお味。カツはサクサクで何度食べても飽きません。
古書店が多い学生の街
神保町は古書店が多く、大学もあるため、多くの若者でにぎわっています。
小川町駅方面に新しい大型商業施設が誕生
神田駅方面では「神田錦町二丁目計画」が進んでおり、新しい大型商業施設が誕生しようとしています。地上21階、地下1階のビルには事務所やホール、会議施設、店舗等が入る予定です。駐車場も約145台あり、街を代表する施設になっていくでしょう。
書店・古書店街の起こり
1913年(大正2年)、まだ広域地名を「小川町」としていた当時、この辺り一帯が大火により焼失する事件が起きます。この焼け跡に、神田高等女学校の教員であった岩波茂雄が古書店を開き、夏目漱石の作品や哲学叢書の出版販売を行いました。この古書店が大成功を収めることになり、後の岩波書店の前身となります。これを皮切りに、続々と古書店の店舗が新設されると、さらには読書の場として利用してもらうことを目的とし、喫茶店やカフェの開業が相次ぎました。
1921年(大正10年)に文化学院が開校したのをきっかけに、音楽や美術などの芸術書から装飾の派手な猥雑本までが書店に置かれるようになり、「ここにない本はない」と言われるほどに発展しました。関東大震災後、大々的に道路が舗装され靖国通り(旧・大正通り)が完成すると、ようやく交差点名としての「神保町」が登場したのです。
バブル期に続々と地価が高騰する中で、神保町周辺は都心にもかかわらず地価割安の傾向があったため、地上げ屋の恰好のターゲットとなります。放火などの事件も発生する中、神保町の各店舗は、一致団結してこれに抵抗。その結果、多くの店舗が街に残りました。
現在、書店数は衰退の一途とされている中、神保町の古書店街は今もなおその数を増やし、世界規模で見ても最大級の古書店街と言われています。毎年「神田古本祭り」や「神保町ブックフェスティバル」など、本に関するイベントが行われており、日本のみならず世界中から、ここでしか出会えない本を探しにファンが駆けつけます。
新店舗が増え続けている理由としては、神保町という地域名がブランドになっているため商売がしやすいことが第一でしょう。また、インターネットの普及により、路地裏でもビルの2階でも商売ができるようになったことも理由の1つとされています。さらに、古本好きな方ばかりが集まっているため、趣味を通して地域ぐるみである種のサークルのようなものが出来上がっています。ここに、新人でも仲間として迎え入れる地域力が備わっているからではないかとの見方もあるようです。
神保町周辺の名所・散歩スポット
神保町にはゆっくりと散歩できるスポットや名所がいくつもあります。
神保町シアタービル
神保町シアターは、昭和の懐かしい映画を中心に上映している映画館です。また吉本のお笑い劇場「神保町花月」もあり、若者も多く訪れています。まさに神保町の新旧を兼ね備えた施設と言えるでしょう。
神保町花月
神保町シアタービルにある吉本のお笑い劇場になります。吉本の若手芸人を中心に、芝居をする珍しい劇場です。また有望な芸人を集めて行うエチュード(即興芝居)No.1を決めるイベント「エチュ1グランプリ」なども開催されています。
神保町いちのいち
神保町の古書店街にふさわしい雑貨を集めた雑貨店です。三省堂書店の1階にあります。ギフトや小物、食器など、こだわった作品がいくつも展示・販売され、大切な人へのプレゼントや、こだわりの小物を使いたい人におすすめのお店です。
にゃんこ堂
神保町駅から徒歩1分、姉川書店内にある猫に関する本や雑貨を取り扱う書店です。猫の本だけで400種類以上あり、まさに猫好きのためのお店です。また、にゃんこ堂で本を買うと、可愛い猫のブックカバーをつけてもらえます。気になる方はぜひ行ってみてください。
東京堂書店
明治23年に創業した老舗書店です。1階には「paper Back Cafe」があり、購入した本を読みながら、読書を楽しめます。電源やWi-Fiも完備しているので、ちょっとした作業にもおすすめですよ。
書泉グランデ
昭和23年創業のアイドル、鉄道、アウトドアを専門に扱う老舗書店です。地下1階から6階まで書籍やグッズが販売されています。7階にはイベントスペースがあり、アイドルなどのサイン会なども開催されています。レアなグッズも多数販売しているので、アイドルや鉄道ファンの人は必見のお店です。
@ワンダー
「二十世紀記憶装置」という謎のキャッチフレーズがある老舗書店です。アメコミ作品やSF古書を中心に取り揃えられています。2階には「ブックカフェ 二十世紀」があり、購入した本を読みながら、ゆっくりとくつろぐのもおすすめです。
荒魂書店
昔から今までのアイドル雑誌やグッズを取り揃えた古書店です。1万点以上のアイドルグッズが所狭ましと展示されており、限定品のテレフォンカードや缶バッチなど、懐かしい品もたくさんあります。昔、アイドルが好きだった人が足しげく通っているそうです。
どんな飲食店がある?
神保町にある飲食店、約2,900店中、和食と居酒屋が3分の1を占めていますが、やはり他の街と比べると、カレー・ラーメン・カフェなどの店数の多さが目立っています。本とともに発展してきた、神保町ならではの数字といった印象です。
どんな飲食店が出店チャンス?
すでに神保町はカレーの街というイメージが世間に知れ渡っているため、カレーで勝負をするにはもってこいの場所と言えます。繁盛店の周囲には繁盛店が集まるとも言われているため、味に自信があるなら立地は選ばずとも良いでしょう。また、本好きの方のための憩いのスペースとして、喫茶店の需要も高いと言えます。
また人通りの多い場所では、和食や肉料理、イタリアンの需要も高く、そういった業態の出店も狙い目です。平日の学生や会社員利用がメインかと思われますが、土日の利用のニーズもあるので、土日限定のメニューも考えておくとよりいいでしょう。
学生街として発展
東京大学は、明治10年4月に神保町に建てられました。現在は文京区の本郷にありますが、移されたのは明治18年になってからです。こうして初めに東京大学が神保町に建てられたのを筆頭に、明治13年には後の法政大学である「東京法学社」、後の専修大学である「専修学校」が開校しました。その後も、明治18年に中央大学の前身「東京法学院」、明治19年には後に明治大学となる「明治法律学校」が相次いで開校しました。
こうして神保町は瞬く間に学生街へと変貌を遂げたのです。すると、当時の学生たちの間で、年度が替わるたびに上級生が売った教科書を下級生が買い求める、というやり取りが文化として発展。これこそが、神保町が古書店街として発展するきっかけになりました。
周辺の主なスポット
・日本武道館
・靖国神社
・神保町シアター
・三省堂書店 神保町本店
・東京堂書店 神田神保町店
・神田古書店街
・神田すずらん通り商店街
・明治大学
・法政大学
・日本大学
・専修大学
・神田情報ビジネス専門学校
・共立女子大学図書館(中央図書館)
・ヴィラフォンテーヌ神保町
似た地域
下北沢
学生向けのお店が多く見られ、学生が多い街・学生が集まる街という点が神保町と共通している特徴と言えます。
秋葉原
距離もそれほど離れていませんが、秋葉原も神保町同様に個性的な趣味のお店が多く、魅力ある街です。
大手町
大手町は一見近代的なオフィス街ですが、高齢者が多いこともあり、おしゃれなカフェのほかに神保町のような老舗の喫茶店も数多く残されています。
客層
【平日/昼】
昼間人口は159,600人ほどになっています。ランチの平均単価は1,000円以内。カレーやラーメンが有名な神保町ならではの数字ではないでしょうか。
【平日/夜】【土日】
夜間人口は昼間に比べるとぐっと低めの約4,300人。美術館や神社など、ほとんどの施設が夕方で閉まってしまうことが原因ではないでしょうか。ディナーの平均単価も1,000円以内と見られています。
人口特性
千代田区内神保町を含む周辺の町丁の世帯数と人口を、年代別で比較すると、男女人口はほぼ同数となっており、年々増加傾向にあることが分かります。その数は、10年前と比べると男女ともに約7,000人増えており、全体で約15,000人、世帯数も約1万世帯増えているようです。
乗降人数
2017(平成29)年度における神保町駅の利用者は、都営三田線の1日平均乗降人員は144,596人(都営三田線の駅の中で第1位)、都営新宿線は134,890人となっています。東京メトロ半蔵門線の利用者は2018(平成30)年度で97,429人でした。合計で1日37万人近くの方が神保町駅を利用しているという結果になりました。こちらも10年前と比べると軒並み増加傾向にあるようです。
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賃貸相場
神保町周辺の賃貸相場は、ワンルーム・1Kが10万円前後、1DK・1LDKでは12~18万円、2LDK以上になると30万円を超える物件がほとんどのようです。3LDK以上になると、50万円近くになります。物件によっては都内で比較してもかなり高額な部類になると言えるでしょう。
店舗賃料相場
神保町周辺の店舗賃料相場は、20~60万円が大半を占めており、坪単価平均は26,922円ほどです。1店舗あたりの平均面積は74.62㎡(22.58坪)で、坪単価は年々増加傾向にあるようですが、店舗面積はやや下降気味であることに留意しておきましょう。
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