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飲食店を開業する時にかかる内装工事費用と坪単価 東京23区でも大きく違うから注意が必要!
東京都内の飲食店物件坪単価例
東京都内では数多くの飲食店がしのぎを削っています。都内で働いている人、地方から出てきた人、観光に訪れた人、たくさんの人たちが都内の飲食店で食事をするのです。この東京で飲食店を経営するのにはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。店舗を購入するのにも、内装工事をするのにも、多額の費用がかかるものです。特に、都内というだけで、工事費用も物件の坪単価は高くなります。そこで、東京都内の物件坪単価の例をあげるとともに、内装費用を抑えるポイントを、居抜き物件にスポットをあててご紹介します。
ではさっそく、東京都内の飲食店における、物件の坪単価例を見ていきましょう。
東京23区の平均坪単価は、20,000円ですが、これには立地条件がいいものから、飲食店をするのには向かないものまで含まれています。
東京を代表する食の発信地・原宿は、飲食店が多いエリアです。原宿に近い明治神宮の近辺も同様となっています。原宿・明治神宮エリアの坪単価は、約32,000円です。都内では「高級」というイメージがある銀座は約30,000円、おしゃれなレストランが多い代官山だと約20,000円です。再開発によって注目を集めている渋谷は、銀座とともに約30,000円という結果です。
一方で、東京23区外の坪単価平均は、15,000円ほどとなっています。これは、関東では東京に次ぐ大都市・横浜を抱える神奈川県とほぼ同じです。ベッドタウンである埼玉県・千葉県は、ともに12,000円から13,000円あたりです。
東京都内の平均坪単価と、人気エリアの坪単価を踏まえ、繁華街で飲食店を経営するメリットとデメリットを探っていきましょう。
繁華街は内装費用も高いが魅力が多い
繁華街で飲食店を開業したいと思っている経営者の方はたくさんいます。飲食店の予約をするために、アプリを利用してエリアから店を絞り込んでいくことも多くなっています。また、これから食事に行くにしても、同僚や友人と飲みに行くにしても、とりあえず繁華街まで行って店を決めようと思っている人も多いものです。そのため、おのずと集客率が高くなることに理由があります。
東京都内に限らず、全国共通にいえることですが、集客率がいい分、繁華街の坪単価は高く設定されています。
さらに、高層ビル内で店舗を構えることになるケースも多くあります。そうなるとダクト工事にも費用が上乗せされていきます。工事をするために足場を設置する費用がかかるためです。また、後ほどさらにくわしくご紹介しますが、居抜き物件にしろ、スケルトン物件にしろ、飲食店を開くときに看板を用意することは必須です。この設置費用も、高所になればなるほど費用がかかります。仮に、ビルの地下に店舗があるとしても、看板はビルの高いところになる場合もあるので、予想以上の出費になる可能性もあるのです。
繁華街で飲食店を経営するのには、経営者が思っている以上の経費がかかってきます。
ですが、繁華街というだけで、より多くの人たちに店の存在を知ってもらうことができるため、宣伝費を兼ねているという見方もできるのではないでしょうか。
内装費用を安く済ませるには
繁華街で飲食店を経営するにしても、内装費用を安く済ませるポイントがあります。賢い選択のひとつとして、居抜き物件を選ぶことがあげられるでしょう。はたして、居抜き物件とはどのようなものなのか、スケルトン物件とあわせてご説明していきます。
スケルトン物件
スケルトンとは内装や設備がいっさい導入されていない店舗物件のことです。コンクリートもむき出しになっていることが多く、電気・水道・ガス・空調の工事、内装工事、空調設備・厨房設備の導入をする必要があります。さらに、テーブルやイス、レジカウンターなど、調達しなければならないものも多く出てくるでしょう。もちろん、すべてに経営者がこだわりを見せることもでき、よりイメージ通りの店舗を完成させることができます。ですが、そのためには、さらに経費をかける必要があります。また、費用が割高になるばかりでなく、工事期間が長くかかってしまうことも注意すべきポイントです。
居抜き物件
内装費用を抑えるためにおすすめしたいのが居抜き物件です。以前、別の飲食店が経営をしていた店舗の物件で、設備や調度品などもそのままになっていることが特徴です。もちろん、内装・外装ともに、当時のままのデザインです。そのため、居抜き物件を利用する場合は、内装・外装のリフォームと設備のメンテナンスをする必要があります。どの程度のリフォームをするかによって経費は異なってきますが、いずれにしてもスケルトンに比べればそれほど費用はかかりません。設備などが配置されている分、店舗デザインが限られてしまいますが、業者とよく話し合うことで、理想の店舗に仕上げていくことができるといえるでしょう。
居抜き利用の注意点
飲食店の開店資金を抑えたい経営者にとって、居抜き物件はとても魅力的です。ですが、居抜き物件には注意点もあります。居抜き物件を決める前に、あらかじめ注意点について業者と確認しましょう。
特に念入りに確認するべきなのが、設備が正常に稼働するかということです。利用客にとっても従業員にとっても、エアコンと暖房は大切な存在です。居抜き物件を見学したときに、エアコンだけ動作確認を行い、問題がないからと契約してしまう経営者の方も多いようです。しかし、開店後にストーブをつけてみたら全く動かないということもあるのです。
そのため、事前にすべての設備を作動させ、実際に動くかどうかを見る必要があるのです。特に、焼肉屋は換気扇に注意してください。各席に換気扇が設けられるため、設備に多額の費用がかかるのです。そのため、もしも正常に動かないのなら、修理をしたり交換したりするだけでも大きな出費となってしまいます。
提供メニューを考慮する
また、居抜き物件を選ぶ時点で、ある程度どのようなメニューを提供するのか決めておいたほうがいいでしょう。店舗で取り扱うメニューによって、必要な設備が異なってきます。先ほども触れたように、焼肉店なら換気扇が必要ですし、もしも、石窯でピザを焼くなら石窯が必要です。必要な設備がすべて揃った居抜き物件を選ぶためにも、物件選びを急いではいけません。
この物件にしようと気持ちが固まったら、契約を結ぶ前に担当者に確認しておくべきことがあります。経営していた飲食店が、どうして店を閉めることになったかということです。もちろん、経営者が病気になったり、けがをしてしまったりした可能性もあります。繁華街のため、近隣店舗との競争に負けて店を閉じたとも考えられるでしょう。ですが、立地条件が悪く、どんなに努力をしても集客が難しかったなど、物件そのものに原因がある場合もあるのです。飲食店の経営を軌道に乗せるためにも、集客率は大きな要素です。そのため、返答によってはどんなに気に入った物件であっても、考え直した方がいいといえるでしょう。
賢く使っていい店づくりを
繁華街で飲食店を経営するのには経費がかかりますが、居抜き物件を賢く使うことで、ある程度資金にも余裕をもっていい店づくりを進めていくことができます。飲食店がひしめく繁華街には、居抜き物件も多くあります。業者とも相談し、さまざまな物件を見て回ることで、理想的な店舗を見つけることができるでしょう。
居抜き物件で費用を抑えられた分、内装工事費にこだわることもできますし、従業員の人数を増やして体制を整えることもできます。スケルトン物件を購入し、店舗に多額の費用を投じたからいい店ができるわけではありません。結果的にうまくいかず、居抜き物件として手放している経営者もたくさんいるのです。形ばかりに捕らわれず、居抜き物件の活用も視野に入れてみてはいかがでしょう。
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