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開業を目指す個人事業者の方、必見!業種別に必要な手続きや届け出を解説

- 目次
独立開業という大きな目標を成功させるには、開業前の準備が極めて重要です。
お店のコンセプトはどうするか、どんな場所に店舗を構えるか、これらをしっかり固めてこそ、幸先のよいスタートが切れます。
開業予定の方、または開業に興味のある方は、以下でご紹介する情報を参考に準備を整え、万全の態勢でオープン日を迎えてください。
個人事業主が開業するために必要な準備
開業には、それなりの準備期間が必要です。
お店のオープンまでに何をすべきで、そのための必要な知識・情報とは何なのかをまず把握すること。
以下、開業に必要な準備と期間について詳しくご説明します。
開業の準備
●開業までにかかる期間
●開業前にやるべきこと
●開業に伴う手続き
●実際にオープンするにあたって
開業までにかかる期間

開業を思い立ってから実際にお店を開くまで、およそ1年間はかかるといわれます。業種により幅はありますが、一般的には1年を目途に計画を立てていきます。
ただし、すべての準備が順調に進むかといえばそうともいえません。物件探しや資金集めにはそれなりに時間がかかるうえ、計画通りに進まない可能性もあります。
だからこそ、念入りに準備計画を立てることが大切なのです。
開業前にやるべきこと
ここからは開業前の具体的な準備を考えていきましょう。代表的なものが以下になります。
☑ 店についてのイメージを固める
☑ 出店する場所を決める
☑ 事業計画を策定する
☑ 資金を確保する
☑ 物件を探す
☑ 仕入れ先を確保する
☑ 人材を確保する
☑ 内装や外装を決める
店についてのイメージを固める
お店のイメージを固めるためには、以下の項目の中身を決めてください。
<店のイメージについて決めておく項目>
●店や商品のコンセプト
●ターゲットの顧客層
●価格帯
常連客やロイヤリティと呼ばれる客層がひいきのお店を選ぶのには、きちんとした理由があります。
自分のお店に顧客が訪れる理由を突き詰めて考えていくと、どんなお店を目指すべきかのイメージも固まりやすくなります。
出店する場所を決める

場所選びは、開業の成否の別れ道といってよいほど重要な意味を持ちます。出店地を決める際は、以下の項目を必ずチェックしましょう。
<おすすめの出店地>
●ターゲット層の消費者が多い
●商圏内の人口が多い、または増加の見込みがある
●購買力の高い人が多い
●ターミナル駅が近いなど、交通面で人が集まりやすい
●人が集まる施設が近くにある
●競合が少ない
すぐに決めるのはなく、何度も足を運んでデータを集め、理想の土地かどうかを見極めましょう。
事業計画を策定する
事業計画は、そのお店の「顔」でもあります。策定の際は次の項目を重視してください。
<事業計画を立てるときの項目>
●開業に必要な資金
●数年分の損益計画表
・開業に必要な資金
一般的に、開業資金の目安は年商の50%程度といわれます。内訳は主に物件の改装費や設備投資の費用など。
賃料などのランニングコストも最初の3ヶ月分を計算に入れます。予算が苦しいようなら、居抜き物件や中古設備も選択肢に入れましょう。
・数年分の損益計画表
資金ショートを招かないためにも、数年分の損益計画表を作成しておくことが重要です。必要な売上高を明確にすることで、無理のない資金計画につながるとともに、当月の売り上げ目標も立てやすくなります。
資金を確保する
資金を確保するための手段には次のようなものがあります。
<資金調達の方法>
●自己資金
●親族や知人から借りる
●日本政策金融公庫の新創業融資制度
・自己資金
利息や催促の心配もない、もっとも無難な方法です。
・親族や知人から借りる
近しい人からの借り入れなので安心です。
・日本政策金融公庫の新創業融資制度
無担保で保証人必要なしのメリットがあります。民間銀行の融資審査は厳しいため、公的融資機関をぜひ活用しましょう。
物件を探す
物件選びでは次のチェック項目を重視してください。
<物件を決めるときのチェック項目>
●面積
●立地
●賃料
●建物の状態
物件選びは急がないようにしましょう。同じ立地でも平日と土日、昼と夜とでは人の流れが大きく変わりますので、何回も現地に足を運ぶことが大切。
また、物件はひとつに絞らず何件か候補を押さえておきましょう。立地や築年数、賃料などさまざまな条件を考慮したうえで、最終的に判断してください。
仕入れ先を確保する
仕入れ先を探す方法には、「商品メーカーと直接取引する」「問屋組合に問い合わせる」「問屋街・卸売りセンターに直接足を運ぶ」などがあります。
飲食店であれば、卸売りの業者との直接取引がもっともスタンダードな方法です。
よい仕入れ先を見分けるポイントは、「商品力」「物流機能」「情報提供力」などです。いくつか候補を見つけ、そこから条件に合う優良業者を絞っていきましょう。
不正な取引を避けるためにも、複数の仕入先を確保してください。
人材を確保する
人材探しの具体的な方法とそれぞれのメリットは次のとおりです。
<人材の探し方 >
●求人サイトや求人情報誌:多くの人の目に留まり、幅広い層から人材を選びやすい
●ハローワーク:低コストで、条件次第では助成金が出る
●自社のサイトやSNS:広告費がかからず、運用次第で拡散も可能
●学校の就活課:コストがあまりかからず、大学の特徴から人材レベルを把握できる
●知人の紹介:信頼できる、人柄も把握しやすい
募集や選考の日程は、勤務開始日に支障が出ないよう余裕をもって組むようにしてください。
内装や外装を決める
内装の決め方には、「電気・配管などの工事以外すべて自分で行う方法」「デザインのみ自分で行う方法」「すべてプロに依頼する方法」があります。設計・施工業者選びで迷ったら、調査会社のデータをもとに信用度を調べてもらうのもひとつの手です。
内装・外装工事を依頼する場合はあらかじめ予算を決めておき、予算内に収まるよう施工業者と話し合ったうえで工事を進めていきましょう。
開業に伴う手続き

開業に伴う事務手続きには、次のようなものがあります。
☑ 退職の手続き
☑ 許認可
☑ 開業の届け出
☑ 青色申告承認申請書(税申告のための手続き)
以下、順を追ってご説明します。
退職の手続き
会社員から個人事業主になれば、加入する健康保険が変わります。社会保険は国民健康保険に、厚生年金は国民年金へと切り替えなければなりません。
<退職に伴って必要な手続き>
●国民健康保険
●国民年金
国民健康保険への加入手続きは、退職の翌日から14日以内に行う必要があります。申請先は住所地の市区町村役場の担当課です。国民年金への加入手続きも自身で行います。
許認可

業種によっては、開業のための許認可手続きが必要です。
例えば不動産業であれば宅地建物取引業免許が、酒の販売であれば酒類販売業免許が、飲食店であれば食品営業許可を得る必要があります。
管轄も業種によって異なり、都道府県庁や他官庁、保健所、警察署など管轄機関に応じて届け出先が決まっています。
開業の届け出
開業届け出の提出先は税務署です。法人であれば法務局への登記申請が必要ですが、個人事業主であれば税務署に開業したことを知らせる開業届の提出で済みます。
提出期限は開業してから1ヶ月以内ですので、はやめの提出を心がけてください。
青色申告承認申請書
個人事業主の確定申告では、「青色申告」と「白色申告」のどちらかの好きなほうを選べます。
青色申告を選ぶと青色申告特別控除や赤字の繰り越しなどさまざまな優遇措置を受けられ、節税につながります。
青色申告承認申請書の提出期限は、開業後2ヶ月以内です。ただし、通常は開業後1ヶ月までに「開業届」と「青色申告承認申請書」をセットで提出します。
実際にオープンするにあたって
オープンする直前の準備も大切です。チラシ配りやプレオープンなどで地元民への周知を図りましょう。
オープン前の宣伝は必須
オープン前にお店に関する情報を積極的に発信することで、ひとりでも多くの集客が見込めます。宣伝方法は予算に応じて最適のツールを選んでください。
手書きチラシやSNSなどの有効活用であれば、コストをかけず宣伝できるでしょう。
プレオープンもおすすめ
プレオープンには、開業の手応えをつかんだり、改善点を発見したりするためのリハーサルの意味があります。そこでは、オープン後と同じメニューを提供してお客さまの反応や意見を確かめます。
いろいろな課題点や対策が見えてくることで、万全に近い状態でグランドオープンを迎えることができるのです。
業種別の開店準備の例
業種によっては、開業届以外の申請や資格が必要なケースもあります。それらの情報について、飲食店やカフェ、ネイルサロンを例にご紹介します。
飲食店やカフェ

カフェや居酒屋などの飲食店開業では、「食品衛生責任者」と「防火管理者」「食品営業許可申請」などさまざまな資格・申請が必要です。
なお、調理師免許は必須資格ではありません。届け出先も申請の種類によって異なります。これらの資格は一部ですので、詳しくはこちらのページをご参照ください。
ネイルサロン
ネイルサロン開業では、開業届け出や青色申告以外の申請・資格は特に必要はありません。
ただし、ネイルサロン衛生管理士やJNECネイリスト技能検定1級など、技術向上に役立つ資格もあり、開業時に持っておくに越したことはありません。
まとめ
開業を決めてからオープンするまでの1年間は、準備と手続きのために費やす期間です。立地と物件選び、事業計画書の策定など、成否にかかわる重要な工程ばかりですので、計画的に進めていきましょう。
必要な申請や書類、担当窓口など手続きに関する情報もしっかり押さえておいてください。
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