インタビュー

【開業してよかった】高田馬場の知る人ぞ知る、焼き鳥の名店『鳥でん』。隠れ家のお店で絶品の焼き鳥を味わう。

目次
高田馬場の焼き鳥屋の名店『鳥でん』。開業して4年目。
開業選びで大事なのは“立地”ではなく”自分のイメージ通り”。『鳥でん』を見て思う
人と触れ合えることこそが『飲食店』としての醍醐味
次の夢は「カウンターのみのお店を開きたい」夢は続きます

JR「高田馬場駅」から徒歩12分。東京メトロ副都心線「西早稲田駅」から徒歩8分。
早稲田通りと明治通りの交差点から一本入ると、そこはひっそりとした路地裏。
そこに小さな焼き鳥屋がある。通りに面している路面店ではあるが、半地下のその場所は分かりずらい。

まさに「隠れ家」と呼ぶにふさわしい。

オープンして4年。知る人ぞ知る、名店の焼き鳥屋。それが『鳥でん』。
厳選した鳥の旨味を最大限に引き出す調理で、串として新たな命を吹き込む。
「こんなに美味しい焼き鳥は食べたことがない」と唸るお客さんは多い。

今でこそ、人気店としての地位を確立している『鳥でん』だが、最初からそうだった訳ではない。
そこには人知れぬ苦悩と努力があった。
今回、開業後のお話を聞かせていただくためお店を伺った。

高田馬場の焼き鳥屋の名店『鳥でん』。開業して4年目。

初夏のうだるような暑さのある日。
お店のオープンは18時から。オープン前の仕込みの時間帯にお邪魔させていただいた。

 

『鳥でん』の外観

 

入口に『鳥でん』と書かれた木の看板があり、全体的に和風の装い。
外観からは高級感が漂う。入り口の重い扉を開くと目の前に厨房が見えた。
涼しい店内。仕込みをしている、オーナーの小堀さんと目が合う。優しい笑顔で出迎えてくれた。

『鳥でん』の席数はカウンターとテーブル席合わせてわずか10席。
料理人であるオーナーの小堀さんとホールの2人で十分回せる、こじんまりとした広さだ。

 

 

カウンターとテーブル席2つ

 

開業選びで大事なのは“立地”ではなく”自分のイメージ通り”。『鳥でん』を見て思う

物件を選ぶ基準で、駅近などの立地を重要視する方は多い。
だが、果たして立地が良ければ商売繁盛するのか。
いや、そうではないだろう、と『鳥でん』を見てそう思った。

客観的に見て、初めての開業でこの場所を選ぶのは勇気がいる。
なぜなら駅から少し離れた路地で、ビル自体は飲食店が多いが、駅前に比べても決して人通りが良いとは言えない。
だが「立地も大事なポイントでしたがそれより店の規模感がしっくりくるほうが大事」と、小堀さんは次のように続けた。

「最初の開業でこの場所は勇気がいるかも知れませんね。でも、ここでなんとかなれば、どこでもなんとかなると思いました(笑)お客さん一人一人と向き合いたかったので、この規模感がちょうどいいんです。ただ、今となっては恥ずかしいんですが始めた頃はここで良かったのかな、と思うことはありましたね。」

そう言う小堀さんが、初めに探していたエリアは池袋周辺だった。
土地勘がないこの場所で店を始めたことを最初は後悔していたと話してくれた。

「最初はお客さんも来ないし、慣れてない土地で少し気持ちが落ちそうになりましたよ。けど、時を重ねるにつれて良い意味で肩の力が抜けて、ここで踏ん張ろう、と思うようになりました。開業前と後の一番の変化は自分自身の内面ですね。ここが一番変わったかもしれません。開業した当時はまだギラギラとしていて(笑)野心がすごくありましたね。だけど歳を重ねるにつれて自分の力が抜けたんです。まずは根付くことに集中しようと思いました。常連さんたちもとても良い方たちばかりなんです。自分が歳を取るにつれ、ここで良かったと思うことが増えましたね。見ている人は見てくれている、自分の努力を見てついてきてくれる人は必ずいると思っているからこそ、今やるべきことに手を抜かずに、やり続けることが大事だと思っています。」

『鳥でん』のメニュー

小堀さんのその気持ちは、料理に反映されてお客さんに届いている。
一本一本、手を抜かずに刺された串、お通しは3品、全て手作りで提供される。
出来合いは一切使っていない。この日も12時から仕込みは始まっていた。

『鳥でん』で焼き鳥の「本当の旨さ」を知ったという位、味に魅了されているお客さんは多い。

人と触れ合えることこそが『飲食店』としての醍醐味

『鳥でん』のオーナーの小堀裕平氏

『鳥でん』の常連客の年齢層は高く、50代以上の方が多いというのが『鳥でん』の特徴だ。
会食や様々なお店で食べ歩いた彼らが、行きつく場所が『鳥でん』だった。

「うちは狭い店なので、会食などではとても使えない(笑)普段接待されている皆さんが、食べたいものを好きなタイミングで、自分のペースで味わうことが出来る、というのが気に入ってくれているんだと思います。飲食店には様々な需要があって良いと思う。うちはプライベートで息の抜ける場所として、こういう使い方をしてもらっていますね。ありがたいことに、年齢が高い人が沢山来てくれます。みなさん、自分の子どものようにかわいがってくださるんです。開業して良かったと思うことは、飲食店でしか出会えないような様々な職種の方と出会いがあること。損得勘定じゃなくて人との触れ合いが出来ることが楽しいです。みなさん、自分よりも色んなことを知っている、なんでも教えて欲しいといえば、色んなことを教えてくれます。お客さんが先生みたいなものです。」

小堀さんはそう言って笑っていた。
「人が好きな人」、というのが小堀さんと少し話すだけで伝わってくる。
実は小堀さんのご親戚は、赤坂で老舗の和食屋を、お兄さんは銀座で蕎麦屋を経営している。
身近な人たちが長年飲食店を経営しており、飲食で育まれる人と人との触れ合いの温かさを、もしかしたらDNAのレベルで理解しているのかも知れない。

次の夢は「カウンターのみのお店を開きたい」夢は続きます

開業のお祝いにいただいた。多くの福がありますように

「『鳥でん』を開業した当初は、この付近でドミナント戦略をやりたいと思っていましたが、今はそこまで考えていません。まずは『鳥でん』をもっと周りの人に知ってもらうこと、これが一番の目標です。」

開業した当初と今は、自分の考え方が圧倒的に変わった、と小堀さんは言う。

「お店をやってみないと分からないことはたくさんあります。勿論、理想だけではやっていけない。自分の考えに固執しなくていいんです。深く考えずに目の前にあることに集中することが大事なんだと思いますよ。それに、変化を楽しめます。自分の成長がお店にそのまま反映されるんです。だったら成長したいですし楽しいですよね。自分の場合は分かりやすいのがメニューだったりします(笑)利き酒師なので日本酒の好みの変化が自分の変化です。それも楽しいです。」

「自分の成長」、それは歳を重ねると感じずらいもので、機会もなくなることがほとんどだ。
だがその「自分の成長」も日々感じるとおっしゃっていた。
 
次の夢は、カウンターのお店を2店舗目として開くこと
『鳥でん』で培ったものをカウンターで提供したい、と。

人と触れ合う事で養った小堀さんの人間力が反映された店舗は、
また新しい触れ合いを生み出すだろう。
その連鎖は良い循環を生み出し、きっと人々を笑顔にする。
それが分かるからこそ、たくさんの人に応援され愛されているのだと思った。

開業から4年。ぶち当たる、経営者として今後の展望への悩み。 地元の人に愛され続けている、『ごはんや団らん』
おでんと味噌料理を肴に日本酒を飲む——。行きつけにしたい、ちょっと粋な居酒屋を浅草で
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