インタビュー

開業者のアドバイス ~学びの姿勢を絶やさず~

目次
開業してからの学びも多い
SNSと飲食店を結ぶ、フォトスポット
新規開業で大変だったことは「採用」
ABC店舗で物件を借りることで、トラブルを避けられる。個人で借りられない物件も借りられるメリット。
飲食店の魅力「サードプレイスとして人々に寄り添う」
店舗情報:喫茶 とりの巣

初めての飲食店開業には不安や心配はつきもの。
そんな時、飲食店の開業を経験した先輩の経験談は大きな参考になります。

今回は、人形町で『喫茶 とりの巣』を営む品川昌子さんにインタビュー。
『喫茶 とりの巣』は可愛らしい店内や、名物の「幸せのミントパフェ」がインスタ映えすると話題のお店。実際に、Instagramを見た方々の来店も多いそうです。


『喫茶 とりの巣』のInstagram

開業してからの学びも多い

 

これまで、品川さんは飲食店の新規立ち上げには仕事を通じて多数携わってきたといいます。

自身が経営するお店としては初めての立ち上げとなった『喫茶 とりの巣』。
この開業には従来の経験が活かされたと感じる反面、従来の店舗立ち上げとは別物であったとも品川さんは振り返ります。

「開業は初めてですが、これまでに仕事で新店舗の立ち上げはやってきました。その時の経験が活きていると感じることは多いですね。しかし自分の開業は別です。自己責任ですから。常に“不安感”を持ちながら試行錯誤を続けています。開業してから勉強することも多いです。最近では飲食店コンサルの講座を受けました。そこでは『開業後のキャッチコピーを考えましょう』と言われていて、今はそれにすごく悩んでいます。」

『喫茶 とりの巣』は、本取材時点で開業から約2年が経過。
常連さんが付きながら店の雰囲気や印象も変わってきました。

「【開業前の理想】と【開業後の店】は違うものになっていると思います。でも、それは当たり前ですよね。メニューも常々変えていますし、開業後にお店のニーズを知ることも多い。だからキャッチコピーが変わるもの当然だと思います。最初にイメージしていたものを更に深堀り、一言でお客さんにお店のイメージを伝える。楽しいですが難しいですね。」

飲食店の開業と経営に関わる業務には、お店での接客や調理に加え、販促・広告・人事・経理・仕入れ…等々、様々なものがあります。特に個人店では、それらをすべて一人でやることも。
多岐に渡る業務に関して、品川さんは常に【学ぶ姿勢】を堅持。

様々な方法で学んできた品川さんは、新規開業者には自治体の創業支援セミナーへの参加を推奨します。

「いつかは自分の店を開きたいと思っていました。その為に簿記の勉強をしたり、開業する時には創業支援セミナーなどにも通っていましたよ。初めて開業する方は、特に自治体が行っている創業支援セミナーはおすすめです。その自治体で開業する場合は助成金がもらえることもあるので。」

また、品川さんは事業計画書を実際に書いてみることの重要性も説きます。

「事業計画書をぜひ一度書いてみてほしいです。融資を受ける際に事業計画を書くのですが、もし融資を受けない場合であっても、一度実際に書いてみることをおすすめします。自分の中であやふやだったりふわっとしたことを計画書に落とし込むことで、長期のビジョンになりますよ。」

「長期的にお店を経営するビジョンになると考え方が変わってきます。また第三者に見せることで事業計画が更に分かりやすくなります。人の意見を取り込むことで、事業計画書も事業計画も更に良いものになると思います。」

たとえ融資を受けなくとも新規開業者は事業計画を書き出したほうがよい―。
この言葉には説得力があります。

SNSと飲食店を結ぶ、フォトスポット

『喫茶 とりの巣』はInstagramをはじめとするSNSでも話題です。
青を基調とした可愛らしい店内や、名物の「幸せのミントパフェ」はインスタ映え必至。
また、フォトスポットも用意されており、ここで撮影した写真はSNSで多くのユーザーに投稿されています。

 

 

 

 

この投稿はお店を利用してくれたお客さんによる投稿。何よりのポイントは、お店のアカウントではなくお客さんが自身のアカウントで写真が投稿されることで、お店のアカウントのフォロワー以外にも拡散されていくという強みがあります。

このフォトスポットにも、品川さんの学びが反映されています。

「お店の中には【フォトスポット】を用意しているのですが、とても評判が良いです。SNSでもこのフォトスポットで撮った写真を載せてもらっています。このフォトスポットを用意しようと思ったきっかけはTVの番組です。有名な方が、飲食店にはフォトスポットを用意した方がよいと言っていたのを見たので『へえ!そうなんだ!』と思って覚えていました(笑)何年か前に見たものなのですが、今でも覚えていたのでそれを反映させました。良いと思うものは取り込みたいですね。」

新規開業で大変だったことは「採用」

品川さんが一番大変だったと振り返ることは「採用」。
ハローワークに求人を掲出し、何度も面接を重ねました。

「実は一番苦労したのは採用です。これは本当に大変でした。何度もハローワークに通いました。面接も何回も重ねました。求人に関しては本当に多種多様の一言。でも、私はとても良い人に恵まれました。これから開業される方も人材に関しては大変な思いをするかもしれません。今は特に人材不足と言われていますし。私からのアドバイスとしては、面接は数を行った方がよいということです。」

採用したくなる人員がなかなか見つからない場合、焦ってしまうと「良いかもしれない」もしくは「気になるところはあるが、一部を妥協すれば、良いところもあるし大丈夫だろう」という人を見つけた時点で、採用を本格的に検討しまうことは人間の性。しかし、品川さんは本当に納得する人を見つけるまでは粘り強く採用活動を続けることを推奨します。

「焦って採用するとそのあとが大変な場合もあります。良い人かな?と思っても、返答は一回待った方がよい、そして何回も面接して本当に納得する人が出るまでは焦らない方がよいと思いますよ。私も人を雇うことは初めての経験。勝手なども分からなかったですが、焦ると良い人材には繋がらないと感じましたね。」

ABC店舗で物件を借りることで、トラブルを避けられる。個人で借りられない物件も借りられるメリット。

「ABC店舗がいるからこそ安心して借りられた、決め手の一つ」とおっしゃっていただきました。
その理由はこれまでの経験にあります。

「前の仕事で店舗の立ち上げを行っていた際、オーナーさんと揉めることも多くありました。例えば、開業後に監視するようにお店を毎日のぞき込む方もいたり、改装工事に立ち合ってすべての物事に口を出してくる方もいたり。オーナーは地主さんも多いので、少し気に入らないことがあれば地域にあっという間に噂が広がってしまったこともありました。」

このような経験からも、自身が開業する際は物件オーナーとの間に仲介の存在があることは必須だと考えていたと振り返る品川さん。
品川さんと物件オーナーの間にABC店舗がいることも、『喫茶 とりの巣』を開業した物件を契約する決め手にもなったといいます。

「ABC店舗さんがいてくれることが物件契約の決め手の一つでもあるのです。もしもトラブルがあった時、BtoCで解決が出来るので安心です。対会社なので冷静に対応いただけますし、悪い噂が広がることもありません。それに新規開業の個人では契約できないような物件も契約が出来ます。間にABC店舗さんがいることで物件探しの幅が一気に広がりましたね。」

仲介となる業者の存在によって物件探しの幅が広がったという品川さん。
最終的には人形町での開業となりましたが、当初は別のエリアを候補地にしていたと振り返ります。

「物件探しに関しては、一度決まりかけの物件があったのですが、それが流れてしまいました。実はそれもオーナーさんとの相性。縁がなかったということですね。最初に探していたエリアは人形町ではなかったのですが、場所も良いと思ってここに決めました。」

決まりかけていた物件が流れてしまったものの、そこから視野を広げて物件探しを続けていたところ、人形町の物件に出会います。
この物件は飲食店の居抜き物件ではなく。珍しいタイプの物件でした。

「元事務所なので、飲食店の居抜き物件とは少し違うのですが、内見して一気にイメージが変わりました。大きなエアコンや、ガラスの窓も開放感があってすごく良かった。それに、前が飲食店ではないのでイメージもついてない。なので自分のイメージ通りの店が出来ると思ったのも大きなメリットです。元事務所のため造作がない物件でしたがそこまで初期費用も掛からなかったので、予算内で収まりました。居抜きだけでなく、造作がない物件も選択しに入れてみることもよいかもしれませんね。」

イメージ通りのお店ができると思えた物件は、なんと元事務所。
以前が飲食店でなかったからこそのメリットを感じ、費用面もクリアできたことから、この物件での開業が決まりました。

飲食店の魅力「サードプレイスとして人々に寄り添う」

最後に、品川さんにとって飲食店の魅力について伺いました。

「今の人達はそもそも忙しいと思います。そうなると、会社と家の往復になってしまう。ホッと息が抜ける場所ってありませんよね。昔から飲食店はサードプレイスとしての役割を担っていたと思います。ホッと寛ぐ場所として、飲食店があると思うのです。家でも職場でもない、素の姿で息が抜ける場所。それが飲食店の役割じゃないかな、と思っています。これからもサードプレイスとして、人々に寄り添う場所を育てたいと思います。」

都市社会学の観点では、都市生活者には3つの場所が必要だとされています。
ファーストプレイスは家、セカンドプレイスは職場、そして品川さんが語る「サードプレイス」とは寛ぎの場を指します。

家や職場のことも忘れてホッと一息ついて寛ぐことができる―。
飲食店はそのような場として人々に寄りそう存在であると品川さんは語ります。

店舗情報:喫茶 とりの巣

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