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契約前に必ずインフラチェック!居抜き物件で開業するための電気・ガス・水道の確認方法と注意点

目次
物件契約前に“必ず”電気・ガス・水道のインフラを確認
飲食店で必要なインフラ設備の種類
電気・ガス・水道メーターの容量の確認方法
飲食業態別 電気・ガス・水道容量の目安
内見や問合せ時のチェックポイント
「誰に確認?」「何に気を付ける?」確認時に気をつけること
まとめ

飲食店の新規開業を考えている方の中には、「いつか自分だけの小さなお店を持ちたい。」と長年の夢を温めている方もいらっしゃると思います。
前の店舗の設備や機材を受け継いで開業できる居抜き物件は、はじめて自分の店を持つ方にも手が出しやすく、またよい物件に巡り会えれば思ったより安く・早く開業への道が開けるかもしれません。しかし、そのためには正しい知識を身につけることも大切です。

居抜き物件取得前に必ず確認してほしいことの一つに、電気・ガス・水道のインフラ設備があります。
業種や業態、規模によっても基準が異なるため、きちんと確認せずに取得してしまうとかえって費用がかさんでしまう恐れもあります

そこで今回は、居抜き物件のインフラ設備のチェックポイントやチェックのタイミングについて解説を交えながらご紹介したいと思います。

物件契約前に“必ず”電気・ガス・水道のインフラを確認

多店舗経営でもしていない限り、居抜き物件の取得に慣れている方はあまりいないと思います。そして経験が少ないからこそ、何を確認すべきかわからないまま物件契約をしてしまうケースが少なからずあるようです。
そんな方々の中には、後からインフラが足りないことに気がつき、設備に合わせたメニュー変更を余儀なくされたり、膨大な金額を支払って容量の変更を行ったり、最悪の場合開業することなく契約解除となってしまうケースも見受けられます。

しかしこのようなリスクは、正しい知識があるだけで未然に防ぐことができます。
これらの危険性を知った上で、みなさんにまず徹底していただきたいことは、必ず、居抜き物件の契約前に「水道・ガス・電気のインフラチェックをおこなう」ということです。

具体的にどのように行うかは次章以降で順をおってみていきたいと思います。

飲食店で必要なインフラ設備の種類

本題に入る前に、飲食店で必要なインフラ設備にはどのような種類があり、それらがどのような機材と関わりあっているのかについて軽く触れておきたいと思います。

インフラ設備の
種類
インフラ種類 使用例
電気(電灯) 一般家庭用家電製品や
照明器具など
電気(動力) グリラー、冷凍冷蔵庫、
コールドテーブル、業務用エアコンなど
ガス ガスコンロ、給湯器、
スチームコンベクションなど
水道 水道、食洗器、製氷機など

電気・ガス・水道メーターの容量の確認方法

続いては、各インフラ容量の確認方法を押さえておきましょう。
電気なら電気会社、ガスならガス会社、水道なら水道会社に確認を取るという方法もありますが、お客様情報の提示やプライバシー保護などの関係で、問い合わせをしても教えてもらえないこともあります。そのため、自分で確認する方法も覚えておくとよいでしょう。

以下は各メーターの容量掲出場所です。

各メーターの容量
記載箇所
インフラ種類 掲出場所例
電気(電灯) 電気メーターや
ブレーカー表面ラベル
電気(動力) 電気メーターや
ブレーカー表面ラベル
ガス ガスメーターの前面ラベル
水道 水道メーターの蓋

確認場所例:電気容量

確認場所例:ガス容量

確認場所例:水道容量

飲食業態別 電気・ガス・水道容量の目安

飲食店にも焼肉屋・ラーメン屋・カフェ・バー・スナックなど様々な種類があり、その種類のことを業態といいます。そして業態は、大きく「重飲食」と「軽飲食」の2つにわけることができます。
物件を探しているとたまに「重飲食不可」などとかかれた募集を見かけることもあると思いますが、ご自身が開業される業態がどちらに当てはまるのかは事前に知っておきましょう。

併せまして、業態別にみる各インフラ容量の目安についても確認しましょう。
容量は、規模や提供したいメニューによっても異なるためあくまでも目安にはなりますが、ぜひ参考にしてください。ちなみに今回は、10-15坪前後の飲食店という設定で各インフラの目安をご紹介しています。

重飲食:煙や臭いが大量に出て大掛かりな排気設備等が必要な飲食業態

業態例)中華・ラーメン・焼肉・居酒屋・お好み焼き・韓国料理・カレーなど

重飲食
インフラ容量目安
インフラ種類 各容量目安
電気(電灯) 40A
電気(動力) 60A
ガス 10号
水道 25mm

軽飲食:本格的な調理はおこなわず、温めるだけで提供できるものを取り扱う飲食業態

業態例)カフェ・バー・スナックなど

軽飲食
インフラ容量目安
インフラ種類 各容量目安
電気(電灯) 40A
電気(動力) 60A
ガス 6号
水道 20mm

内見や問合せ時のチェックポイント

続いては、問合せや内見時に確認すべきこととその確認先です。インフラ設備関連で事前に確認しておきたいことは以下の4点です。

1.各メーターの場所を確認する

まず、電気メーター、ガスメーター、水道メーターがどこにあるかを聞き、可能な限り、内見時に実際に自分の目で確かめてください。

2.過去のインフラ設備トラブルを確認する

過去に「ブレーカーが落ちたことがある」「水の勢いが弱い」などのインフラ設備関係のトラブルがなかったかどうかを確認しておきましょう。

3.各インフラの請求元を確認する

多くの場合、各インフラ会社と直接契約を行った上で支払いますが、物件によっては建物所有者や管理会社から請求が来るケースがあります。この場合、容量の拡張などができないこともあるので、請求がどこからされるかを確認しましょう。

4.インフラ設備の供給状況を確認する

物件によっては、インフラ設備を一括でビルへと引き込み、各フロアへ分配し供給していることがあります。この場合、ビル全体で使用できる容量に限度があるため、必要な容量を確保できない可能性があります。ビル全体でインフラがどれだけ使用されており、どのくらいの余裕があるかを確認しましょう。

「誰に確認?」「何に気を付ける?」確認時に気をつけること

上記のチェックポイントは、まず不動産会社の営業担当に確認してみるのがよいでしょう。彼らに聞けば大抵のことは答えてくれます。
また内見時に現テナントオーナーが同席している場合には、実際に営業していた方の生の声を聞くことができる貴重なチャンスなので、直接質問を投げかけてみるのもおすすめです。
そして、もし内見時に内装施工業者が同行している場合には、彼らにも一緒に確認作業をしてもらいましょう。専門業者なので、自分では気づかない点にもアドバイスをくれるかもしれません。

ただし、メーターを探すために物件内を勝手に物色したりはせず、必ず営業担当者や現テナントオーナーに許可を得てから確認するのが内見時のマナーです。
また契約前には、一度内装等の専門業者に相談した上で、問題なくご自身のやりたい飲食店が実現できる物件だとわかってから契約に進むと安心です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。飲食店を経営する上で最重要項目であるインフラ設備は、いざ工事となると膨大な費用と想像以上の時間がかかってしまいます。
居抜き物件を手にいれてせっかくコストダウンしたのであれば、その分を運転資金に回したり、別の設備投資に回したりしたほうがずっと有意義です。

ぜひ物件を正式に取得する前には、本当にインフラ設備の容量は足りているのか、正しい知識を元に判断し、トラブルを未然に防ぎましょう。

ちなみにこれらインフラ設備のチェックポイントは、居抜き物件に限らずスケルトン物件であっても同じです。

繰り返しになってしまいますが、契約前に既存の容量で問題がないか、できれば専門業者へ相談するなどきちんと確認し、無駄なく最短距離での目標達成を目指しましょう。

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