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「防火管理者」とは?飲食店開業に必要な資格を取得するための手続きと申請までの流れ

「防火管理者」とは?飲食店開業に必要な資格を取得するための手続きと申請までの流れ

飲食店は、一般家庭よりも火器(ガス)を多く取り扱っている為、ボヤや大きな火災が発生しやすい環境といえます。特に乾燥が激しい時期になると、ちょっとした不注意が原因で周囲を巻き込む大惨事になってしまうことも考えられます。
こうしたリスクを未然に防ぐ為には、日ごろから防火管理をしっかりと行うことが大切です。

そこで今回は、飲食店開業の際に必須となる2つの資格のうち、防火や防災に関する資格である「防火管理者」について解説。
防火管理者の資格取得にはどのようなプロセスが必要なのか、実務としてどんなことを行うのか等、資格取得後にも役立てられるように詳しく説明していきます。

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防火管理者とは

まずは、「防火管理者」とはいったいどんな人のことをいうのかについて。

防火管理者は、飲食店に限らず不特定多数の人が集まる各種施設などで選任が義務付けられている、火事を未然に防ぐための管理をする人のこと。火災等による被害を防止するため、それぞれの施設や店舗に見合った消防計画を作成し、計画的に管理する責任者のことです。消防法によれば、建物の所有者など防火対象物に対する管理権限をもつ人が、各施設の防火管理者を任命し、任命された人はその任務を果たさなければならない、とされています。

では、防火管理者がなぜ必要となるのでしょうか。

飲食店では、従業員だけでなく来店するお客様が安心して食事を楽しんでいただけるよう、あらゆるリスクに備えておくのは当然ですよね。特に、火災を防ぐ為には専門知識が必要となりますので、消防署などの専門的な観点から予防措置をとる必要があるのです。万が一、火災が起きてしまった場合に誤った判断で避難誘導などをしてしまうと、かえって被害を拡大してしまう恐れが出てきます。そういった意味でも、防火管理者がその施設の防火管理に常日頃から責任を持ち、知識を蓄えて行動することが必要になるのです。

とはいえ、防火管理者の資格は、すべての施設が義務付けられているわけではありません
防火管理者を登録すべきか否かは、店舗や施設の収容人数で決まります。
もう少し具体的にいうと、収容人数が30人以上の比較的大きな飲食店を開業する場合に必須となります。この30人というのは単にお客様の数だけではなく、従業員の数も含む収容人数になりますので注意してください。

防火管理者と防災管理者との違い

名称が似ているためよく混同されやすいですが、「防火管理者」と「防災管理者」は異なる資格です。

火災に対する予防のために活動する人を「防管理者」というのに対し、「防管理者」は、火災以外の大きな災害に対して責任がある人のことを指します。ちなみに、防災管理者の任命が必要になるのは大規模施設や高層ビルとされているため、それ以外の飲食店などは、防火管理者の資格のみで問題ありません。

防火管理者の区分け

防火管理者の資格は、「甲種」と「乙種」の2種類に区分けされています。
甲種は、乙種よりも深堀りした内容になっているため、万が一、乙種を取得した後に甲種が必要になった場合には、甲種の講習を改めて受講しなくてはなりません。したがって、ご自身の経営される飲食店が該当する区分はどちらであるのか申込前に確認しておく必要があります。

2つの区分けについては、店舗や施設の面積に応じて決まっています。

【甲種】:収容人数30名以上、延べ面積が300㎡以上の場合
【乙種】:収容人数30名以上、延べ面積300㎡未満の場合

防火管理者資格の取得方法

つづいて、防火管理者資格の取得方法についてみていきます。

防火管理者資格は、講習会を受講するだけで取得することができます。ただし、店舗の防火管理に対して責任を負う人である為、アルバイトやパートスタッフではなく、店舗オーナーや店長など権限のある立場の方が適任であるとされています。

講習会に関しては、「甲種」または「乙種」どちらの資格を取得するかによって講習内容と所要時間が異なります。

【甲種】に該当する場合 ➡ 約10時間(2日間)の講習
【乙種】に該当する場合 ➡ 約5時間(1日間)の講習

なお、甲種防火管理者において、消防設備点検資格者(特殊・第1種・第2種)、自衛消防業務講習修了者は、例外として講習免除で資格を取得することができます。

講習会の費用

防火管理者講習は、各地域によって開催する主催者が異なっており、都道府県知事や市町村の消防庁、日本防火・防災協会などさまざま。費用については、おおよそ5000円~7000円となっていますが、こちらも地域や受講年度によって異なるので事前に確認することが必要です。講習の受講方法や日程、費用等について確認する場合には、ご自身が店舗をオープンする地域の消防署に一度問い合わせすることをおすすめします。

講習会の内容

防火管理者講習の内容は、テキストに基づいた座学、実技訓練、効果測定で構成されています。

実技訓練では、消火器の使い方や避難具の使い方、地震体験など、いざというときに役立つ知識を体験しながら習得。
効果測定では、各講習修了後に〇×形式で問題が出題されます。ただ、こちらは受講内容を再確認するためのものですので、もしも結果が悪かったとしても資格取得に影響を及ぼすことはありません。

講習後に試験はあるの?

防火管理者講習後、試験はあります。ただし、万が一落ちてしまったとしても、資格を取得できないということにはならないのでご安心ください。防火管理者は、講習をすべて受講することで、自動的に資格を取得できる仕組みになっています。

防火管理者の資格の有効期限

飲食店開業に必要な2つの資格のうち、食品衛生管理者は有効期限が定められていない為一度取得すれば更新することなく一生使うことができますが、防火管理者については異なります。
消防用設備が日々高度化し、消防法が改定される状況下で、防火管理者は常に最新の知識を持って施設の防火管理に臨まなくてはなりません。
こうした理由から、以下の条件のすべてに当てはまる場合には、5年ごとに再講習を受ける義務づけがなされています。

【再講習の義務が発生する条件】
➀特定防火対象物で不特定多数の人が出入りする建物
 (劇場、飲食店、店舗、ホテル、病院など)
➁収容人数が300人を超える建物
➂甲種防火管理者

防火管理者の届け出

防火管理者はただ受講するだけで資格が取得できるわけではなく、講習会を受講後、消防署に届出をして初めて資格を取得したことになります。したがって、修了証をもらって安心して届出を忘れてしまうことのないよう注意しておきましょう。

届け出場所については、店舗のある住所を管轄している消防署が窓口となります。
新しくお店をオープンする場合だけでなく防火管理者が入れ替わる場合にも届け出る必要があります。入れ替わる場合には、選任の届出と同時に解任の届出も一緒に行うため、消防署の様式をみると、「防火管理選任(解任)届出様式」となっています。

ちなみに、この届出と一緒に「消防計画」も提出するのが一般的です。
こちらの作成に当たっては、店舗の防火担当責任者や火元責任者、消火器・誘導灯などの消防用設備を点検する日時、火災発生時の従業員の役割分担、従業員に対する防火管理教育の担当者、避難訓練の日程などを決める必要があります。詳しくは、東京消防庁のホームページ内「防火管理に係る消防計画作成(変更)届出様式」に書式が掲載されていますので、各自ご確認ください。

【東京消防庁の公式ホームページ】:
http://www.chouri-ggc.or.jp/09_shiken2019.html

防火管理者資格の再発行方法

万が一修了証をなくしてしまった場合には、再発行をすることができます。
ただし、再発行は1枚につき2000円の手数料がかかります。

また申請にあたっては、郵送またはFAXで送付することが可能。所定の申請書に基づき必要事項を記入し「振替払込請求書兼受領証」または「ご利用明細表」等のコピーを貼り付けた上で、下記宛先まで送付してください。

一般財団法人 日本防火・防災協会
郵送先:〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-9-16 日本消防会館5階
FAX番号:03-3591-7130

おわりに

防火管理者講習は、火事のリスクから身を守るために必要な知識を専門家から教えてもらえる絶好の機会。
特に、火器を多く扱う飲食店では、調理設備のメンテナンスを定期的に行い、絶対に火災を発生させないよう努めなければいけません。
無事資格を取得したからといって管理体制を怠ることなく、開業後も末永く店舗を経営していけるよう徹底して防火管理に取り組みましょう。

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