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あなたに適した創業融資はどれでしょう?【飲食店開業の資金調達】 #専門家コラム

あなたに適した創業融資はどれでしょう?【飲食店開業の資金調達】 #専門家コラム

前回は、新規開業時に利用しやすい日本政策金融公庫と制度融資など、公的な創業融資についてご紹介しました。でも「私の場合はどれに申し込みすればいいの?」と疑問に思ったかもしれません。
そこで、今回は日本政策金融公庫と制度融資の特徴や選択方法を解説します。

 

日本政策金融公庫の創業融資の特徴

日本政策金融公庫の創業融資は、飲食業を開業される方にはとても適しています。永年に渡り創業融資を取り扱っている金融機関であり、飲食業に関するノウハウが豊富にあるからです。日本政策金融公庫の創業融資は、次のようなメリットがあります。

「新創業融資」という融資があり、これは担保も保証人も出さなくていいというものです。法人で申し込む場合は、代表者の個人保証も不要です。
制度融資の場合は、信用保証協会の保証が条件になりますが、新創業融資はそれも不要で本人の信用だけで融資をしてくれます。

融資を申し込みしてから実際にお金が出るまでの期間は、平均すると約1か月です。最近は「申し込みして即日融資」というカードローンなどがあるので長いように思うかもしれませんが、制度融資と比べるとかなりスピーディです。
とくに飲食店の場合は、物件をキープしておける期間が長くとれないことがありますので、融資が早く決まるほうがいいといえます。

これはあまり知られていませんが、日本政策金融公庫から創業融資を受けてきちんと返済していれば、銀行や信用金庫など民間金融機関からの融資も受けやすくなります。日本政策金融公庫の審査をパスしたということで、信用が高まるからです。

 日本政策金融公庫の創業融資のデメリットを挙げるとすれば、制度融資の中で利率の補助があるものと比べると、やや利率が高いということです。とはいえ、年利は1.8%くらいですので、十分に低利率であるといえます。

 

制度融資の特徴


前回の記事で解説した通り、制度融資とは、都道府県や市区町村が申込窓口となっている融資です。お金を出すのは銀行や信用金庫ですが、全国にある「信用保証協会」の保証を受けることが条件になっています。
制度融資のメリットを挙げると、つぎのようなものがあります。

融資の利率は、1%台のものが多く、日本政策金融公庫の創業融資よりも低い制度が多くなっています。ただし、信用保証協会の保証料もかかりますから、それも勘案して比較する必要があります。

自治体によっては、たとえば融資の利率は1.5%であっても、利息の一部(または全部)を負担してくれる優遇措置があります。信用保証協会の保証料についても、一部を補助してくれるなど、手厚く優遇してくれるところもあります。

「制度融資」を利用してきちんと返済すれば、信用保証協会の利用実績になります。その後事業を継続していくうちに追加の資金調達が必要になったとき、信用保証協会の保証を受けて民間金融機関から融資を受けやすくなります。

制度融資のデメリットを挙げると、融資を申し込みしてお金が出るまでの期間が2カ月程度と、日本政策金融公庫よりも長くかかるところです。

 

日本政策金融公庫と制度融資のどちらを利用すればいいか

私の個人的意見ですが、飲食店を開業する場合は、日本政策金融公庫の融資が適していると考えています。なぜなら、制度融資と比べて融資可否の結論が早いからです。長くかかると、せっかく押さえた物件がキープできなくなる懸念があります。
また、自己資金がやや少なくても、ある程度積極的に融資してくれる傾向もあります。制度制融資は、融資金額が「自己資金と同額まで」(注:自治体によります)となっている場合もあり、要件がやや厳しいといえるからです。

なお、融資希望額が1,000万円を超える場合はハードルが高くなるので、次のいずれかの方法をとる必要があります。

融資の上限は、制度上かなり高額までいけることになっていますが、1,000万円までが実質の上限です。
それを超えて2,000万円までを実現するのが「中小企業経営力強化資金」です。これは、税理士など経済産業省が認定する「経営革新等支援機関」になっている専門家の支援を受けて申し込む制度です。

たとえば2,000万円の融資を希望する場合、日本政策金融公庫で1,000万円、制度融資で1,000万円を利用する方法です。
その場合は、双方へ「日本政策金融公庫と制度融資の両方を申し込みしています」と説明することが必要です。また、資金の使い道を明確に分けることが重要です。たとえば、日本政策金融公庫を店舗の保証金、内装工事、運転資金にして、制度融資は厨房設備、備品などと、使いみちが重ならないことが必須です。

 

まとめ

飲食店の開業の融資は、スピーディに決めてくれる日本政策金融公庫を優先することをお勧めします。
ただし、自分の不動産で開業するなど時間的余裕がある場合は、利率などの条件によっては制度融資がベターといえます。
なお、金額が1,000万円を超える場合は、日本政策金融公庫と制度融資の双方を利用する方法も視野に入れましょう。

 

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記事を書いた人

上野 光夫 氏

株式会社 MMコンサルティング 代表取締役・中小企業診断士

1962 年鹿児島市生まれ。九州大学を卒業後、日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)に 26 年間勤務し、主に中小企業への融資審査の業務に携わる。3万社以上の中小企業への融資を担当した。融資総額は約 2,000 億円。

2011 年4月にコンサルタントとして独立。起業支援、資金調達サポートを行うほか、研修、講演、執筆など幅広く活動している。資金調達サポートでは、年間約 100 社の融資を成功に導いている。リクルート社『アントレ』などメディア登場実績多数。

主な著書

『起業は1冊のノートから始めなさい』(ダイヤモンド社)
『「儲かる社長」と「ダメ社長」の習慣』(明日香出版社)
『事業計画書は1枚にまとめなさい』(ダイヤモンド社)


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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