飲食店を駅近に出店することのメリット

飲食店を出店する場合は、アクセスの良し悪しが集客を大きく左右します。そのため、駅周辺や駅近物件での営業出店を検討する人も多いはずです。
ただ「駅近」といっても、どこまでが駅近なのかその定義に悩む店主もいるのではないでしょうか。また駅近物件に出店をした際のメリットやデメリットを熟考しなければ不採算に転じる場合も考えられます。ここでは駅近に飲食店を出店する際のメリットやデメリット、出店の費用相場などを解説します。

駅近に飲食店を出店することはいいことなのか

商業店舗の中でも、とりわけ飲食店は「雰囲気」「立地」「見た目や味」など成功の要件がわかりやすい特徴があります。特に集客しやすい「駅近くの立地」は、飲食店経営者ならあこがれる条件ではないでしょうか。この先の項目では、駅近くに飲食店を出店することで得られるメリットやデメリットについて紹介します。駅近くの立地で飲食店を経営するには、メリットとデメリットの両方を把握し経営戦略を練る必要があります。流行を追うだけでは経営が立ち行かなくなる場合もあるので注意が必要です。

駅近の定義とは

「駅近の物件で飲食店を経営したい」という夢を具体化させるためには、適当な条件に当てはまる立地を見つける必要があります。ここで気になるのが「どこまでが駅近？」といった点ではないでしょうか。
実際、「駅近」という表現に関して、どこからどこまでが駅近という定義は存在しません。「歩いて5分」「徒歩10分圏内」など、人それぞれの感覚に依存されている部分があります。このことから、駅に近ければ近いほど「駅近」の認識は高まるでしょう。

実際飲食店を構える場合は感覚任せにせず、多くの人が「駅近だと認識できる距離」の平均値ともいえる「徒歩5分以内」の場所を設定するとよいでしょう。ただし、駅から迷わず入店できる距離で「5分以内」であることが条件です。

駅近に飲食店を出店するメリット

一日のうちに多くの人が行きかう駅。この周辺に飲食店を出店することで集客が見込めます。客層・利用時間帯・提供商品がうまくマッチングすれば、人気店として認められることでしょう。このほかに考えられる「駅前に飲食店を出店するメリット」はいくつかあります。詳しく解説いたします。

人通りが多い

駅前周辺エリアは、通勤や通学、買い物客などで人通りが多い地域です。地方でも主要駅近辺は人通りが多いのではないでしょうか。食事の時間帯やティータイム、会社帰りのリラックスしたい時間帯などに合わせた顧客層のターゲットを絞ることで集客が見込めます。珍しいコンセプトを導入すれば、口コミなどをつてに初見の客なども獲得できることでしょう。

駅の改札を出た人の多くは、必ず周辺の建物を見渡します。多少わかりにくい立地にある店でも看板があればそれを目にして入店してもらえる可能性が高まります。また、インパクトのある看板を作れば興味を引くことも可能です。

プロモーションに大きな予算をかけなくても良い

郊外にある飲食店などは、集客が難しいというデメリットがありますが、「駅前にある飲食店」というだけで飛び込み客も見られるため、集客効果が高まります。もちろん、メディア掲載を依頼するほか、周辺地域にポスティングをするなどプロモーションに予算をかければ、オープン当日から目標達成を目指せるでしょう。
お店の前でチラシを配り、新店アピールをするだけでも、珍しさが手伝って新規客を取り込むことができます。

このところでは、インスタグラムなどのSNSでのプロモーション活動をすることも盛んです。
「駅近」「インスタ映えする料理が多い店」「キャプション付けやコメントの返信が丁寧」などの条件がそろえば、自然と客が入ります。

このように、費用をかけない最低限のプロモーションだけで集客が見込める地域といえるでしょう。

他の目的のついでに利用してもらえる

駅から離れている場合や郊外にある飲食店の場合、外出の目的が「そのお店でランチまたはディナーを食べる」ことに特化されやすい傾向にあります。移動の楽しさを見出すことができますが、そのほかのことは何もできないということもあります。
駅周辺には、数多くの商業ビルが密集しています。そのため一番の目的が「あのお店でランチまたはディナーを食べる」ことであっても、その前後にショッピングを楽しむなど、ほかの目的も遂行できるメリットが生まれます。
逆にショッピングの合間にお店を利用してもらえる可能性もあるのです。

駅近に飲食店を出店するデメリット

Wood open sign board hang on shop wood door , Open sign , Open signboard

駅近の立地の場合、他店からの動線なども確保できるほか、看板などで集客効果もあるというメリットもありますが、やはりこの立地ならではのデメリットも存在しています。ここからは、駅近の立地に飲食店を構えることのデメリットを紹介します。出店を検討する場合は、こちらのデメリットを把握することが重要です。

家賃が高い

駅から近い、人気店舗が集中しているというような理由や、目抜き通り沿いの立地というように目立った場所の物件は家賃が高い傾向にあります。居抜きなどで飲食店開業には条件がいいとしても、賃貸借契約にかかる初期投資が大きければ、開業後の運転資金として回せるお金が少なくなってしまいます。
開業後も、軌道に乗るまでは高い家賃が支払い切れないという場合も考えられます。場合によっては、商品価格を引き上げる必要もあるかもしれません。
都心の飲食店で商品価格が高いのは、ほぼ家賃が理由にあるといえます。

競合が多い

駅周辺には、多くの飲食店が集中しています。客の立場とすれば「すいている店に飛び込めば待たずに済む」といった利点があるため、多くの飲食店が集中していることはメリットといえます。その反面、店側からすれば「流行に乗って同様のコンセプトで出店する店が増えた」など、競合店の存在が脅威になるでしょう。コンセプトや料理などで差別化を図るなどの努力も必要ですが、他店の常連客を新店に引き込むのは容易ではありません。

駅近に出店した場合の費用の相場

Yen symbol made of numbers

念願かなって駅近に出店できた場合、その駅の規模によって開店資金などの初期費用の相場が大きく変化します。例えば、新幹線が停車する駅と、在来線の駅、他社路線が相互乗り入れする駅とでは客層も利用者数も大きく変わります。ここからは、このような条件から見た費用相場の違いについて説明します。

繁華街の場合

駅近の立地でも、駅前の大通りと、駅裏などと呼ばれる立地では人通りが大きく変わります。華やかな大通り沿いにあるお店のほうが「おいしそう」「人気店っぽい」というようなイメージから、お客の立場になると入店意欲がわきあがることでしょう。駅裏となるとさびれたイメージがあり、雰囲気がよさそうな店でも入店するのがはばかられるというような気持ちになる人もいるかもしれません。

東京都の2019年の公示地価を見ると、銀座などがある中央区の地価平均は1平方メートルあたり、821.9万円、県境近くの足立区では36.7万円とその差が20倍以上です。このように地価そのものの差が生じているため、さらに人通りが多くなる主要道沿いの賃貸料は高く設定され、人通りどころか車通りも少ない道路沿いの賃借料は安くなる傾向にあるのです。

郊外の場合

新店の立地を郊外に決めた場合、先の項目で記した通り地価の違いから、賃料を抑えて店を構えることができます。地価の差で求めた20分の1はオーバーな話ですが、かなり相場は安いといえます。また、駐車場完備や比較的面積が広い店舗が借りられるかもしれません。
これまでの流れで、駅近のほうが集客自体楽と記してきましたが、郊外に立地する店では「隠れ家的なお店」「ゆったり過ごせるバー」などというように、その時のトレンドをつかんだキャッチーなコンセプトをもとに店舗展開を行えば、集客も望めるうえ客単価を高く設定できるメリットがあります。

飲食店の立地選びのポイント

Street view with cafes near the river in the old town in Lyon city

もちろん「駅近」が一番の集客要素となりますが、郊外でも駅近の繁華街でも、トレンドを追ったコンセプト次第で集客が見込めます。まずは、捻出できる開業資金をもとに「開業できる立地」を検討していきましょう。
賃貸借契約を行う場合は、回収したい最低ラインの客単価や、店内の滞在時間から割り出す回転率から、毎月捻出できると思われる家賃を考慮に入れることも必要です。
また、自分が開業する際に提供したいメニューや、希望するお店のコンセプトは「誰をターゲットに設定するか」も熟考したいところです。これによって、駅近でもオフィス街なのか、商業地域なのか、それとも郊外にある駅周辺なのか、立地条件の絞り込みもできるようになります。
背伸びせず自分自身が、無理なくできる立地を探して飲食店の経営を始めることが成功の秘訣ともいえます。

まとめ

駅地下にある飲食店は華やかで出かけてみたくなる要素が満載です。ですが、賃借料と回転率・客単価などから得られる採算ラインとのミスマッチに経営が成り立たなくなる可能性もはらんでいます。メリットやデメリットを考慮して、自分が店舗を構えるべき立地を細やかに検討していきましょう。

駅近で飲食店を開業するための物件情報

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