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飲食店経営における外国語メニューの重要性|どの言語まで必要?

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近年、新型コロナウイルス感染症の拡大から海外への渡航および入国が規制されてきました。その影響は、観光地を中心に飲食店にも広く及んでいます。
しかし、2022年6月より規制が緩和され、少しずつ海外との往来が許可されるように。(参照:外務省ホームページ) 今後は、旅行客も回復し、また賑やかな街並みが戻ってくることが予想されます。
そこで期待したいのが、「インバウンド需要」 海外からの旅行客も大切なお客様。将来的な需要回復を見込んで外国語メニューを設置しようか検討しているオーナーも少なくないのではないでしょうか。
ただ、具体的にどの言語のメニューを取り入れれば良いのか、外国語でメニューを作成する場合に注意すべきポイントは何なのか分からないケースもあるでしょう。 そこで、今回は外国語メニューに記載すべき内容や、言語ごとの注意点などについて解説します。
飲食店に外国語メニューは必要?
現在、日本において国際化が進んでおり、日本人のお客様に向けてのみではなく、外国人のお客様に向けたサービスの強化も求められています。
特に飲食店では、外国人観光客から外国語のメニューや案内などが必要とされていることが特徴です。
また、外国人のお客様に対応することによって、飲食店側にはどのようなメリットがあるのかを確認することが重要です。
英語だけではなく、韓国語や中国語などを含め、英語以外の多言語への対応も重要だといえるでしょう。
可能な限り早く、外国語に対応したメニューの用意や外国語の案内を行う必要がある理由は、日本を訪れる外国人観光客の増加が予想されるためです。
東京都が発表した「東京都観光産業振興実行プラン2018」では、訪都外国人旅行者数において、2020年には1年間でおよそ2500万人、2024年にはおよそ3000万人の数値を目指すという目標が掲げられています。
東京に限らず、現段階では日本人のお客様が多い飲食店であっても、外国人観光客の増加に伴いそれらの観光客に対してサービスの提供をするために、外国語に対応することは重要になってくるでしょう。そして、結果的に外国人のお客様のリピーターを増やせることが理想です。
外国語メニューに記載する項目
英語表記のメニューを作る場合、単純に料理名を英語で書くだけでは不十分だといえます。
外国人がメニューを見ただけでどのような料理なのか認識でき、注文された際に従業員がスムーズに理解できるようにしておくことが大切です。
具体的に、英語表記のメニューを作成する際のポイントを解説します。
外国からのお客様が最も重視することは、「これはどのような味付けのメニューなのか」という点です。
外国人に対して料理の詳細を正しく伝える方法として有効なのは、写真を掲載することだといえます。
例えば、日本人が飲食店で注文する料理を決める際に、日本語で書かれた説明文だけでは料理をイメージしにくいでしょう。
英語表記にしても同じことです。つまり、写真を掲載するだけでスムーズに料理をイメージでき、食べたいものを注文できるようになります。
写真とメニュー名だけではなく、料理について簡単な説明を掲載することもポイントです。
写真では分りにくいと感じられた場合にも、使っている食品や調理法が記載されていれば、どのような料理なのかが伝わります。
加えて、人気のメニューやおすすめメニューには「No.1」「Best recommended」などの一言を添えると、お店のおすすめをアピールできるうえに注文しやすくなるでしょう。
また、どのように食べるのが美味しいのか、飲み物は何を合わせると美味しいのかといった内容も記載すると、料理へのこだわりを伝えられます。
しかし、全てのメニューの写真と説明文を作成するのは時間がかかるため難しいという場合には、外国人が好みそうなメニューやおすすめのメニューに限定して作成する方法も有効です。
アレルギー表記と商品内容
国によって、宗教上食べられない食材があるので、使用している食材やアレルギー食材については文字だけではなくイラストも添えて案内することが重要です。
ほかにも、料理に使用している食材や食べ方をイラストで書くことで、食べたことのないメニューであってもしっかり味わってもらうことにつながります。
食べ方についてイラストを作成することが難しいのであれば、スタッフやオーナーがモデルとなり写真を撮影して掲載する方法も良いでしょう。
料理に番号をつける
メニューは料理ごとに番号を振るだけで、注文をとるスタッフも認識しやすくなり、注文がスムーズになります。
番号でやり取りをするので、オーダーミスといったトラブルも予防できるでしょう。
しかし、注文を受ける側のスタッフが、「注文数である」と勘違いするリスクを避けるのであれば、数字ではなくアルファベットを使用する方法も有効です。
外国人観光客数の国別の傾向
JTB総合研究所のインバウンド 訪日外国人動向のデータによると、2019年5月の月別訪日外国人観光客数は、中国からは75万6千人、(前年同月比+13.1%)、韓国からは60万3千人(-5.8%)、香港からは18万9千人(-0.8%)、台湾からは42万7千人(-3.1%)となっています。
2019年の各月のデータでは、韓国、香港、台湾が前年同月比を下回ることも少なくないのに対し、中国は前年同月比を上回る状態が続いています。
ほかにも、東南アジアではインドネシア、シンガポール以外は増加傾向にあり、ベトナムは4万人と前年同期比41.6%と大幅に増加しています。
また、アメリカやカナダも安定して、前年を上回る観光客数が続いている傾向にあります。
どの言語まで使っている店舗が多い?
飲食店のメニューブックやPOPなどの対応言語の傾向は、東京商工会議所のアンケート調査によると、「英語」が90.9%と最も高く、「中国語」が30.6%、「韓国語」が13.2%です。次いで「フランス語」「スペイン語」「イタリア語」が続き、それぞれ4%程度の割合になっています。
また、東京都にある多言語メニュー作成支援センターでは、合計12カ国語のメニュー作成に対応しています。 加えて、お店が作成したメニューや基本情報は、東京都の公式サイト外国語メニューのある飲食店検索サイトへ掲載することも可能です。
言語ごとの注意点
メニューを作成する際には、それぞれの言語ごとに注意点があります。 英語、中国語、韓国語の言語について見ていきましょう。
英語
英語のメニューを作成する際、インターネットの翻訳ツールなどを使用して、日本語から英語へ翻訳する際には、直訳でないかどうかを確認することが重要です。
直訳をすると、料理に使用している材料や、どのような料理なのかが誤って伝わってしまう可能性もあります。
代表的なメニューを挙げると、「月見そば」や「きつねうどん」などです。使用している食材については、完成した料理の写真を掲載するだけでは伝わらないため十分に注意しましょう。
訳すことが難しければ、日本語のメニュー名にこだわる必要はありません。
例えば、「きつねうどん」は「揚げ豆腐をのせたうどん」とするなど、伝わりにくい可能性があるメニュー名は臨機応変に変更する必要があります。
また、無料の翻訳ツールを使用する際には、1度英語に訳したものをコピーしたうえで今度は英語から日本語へ翻訳し直して、間違いがないかどうかを確認しましょう。
中国語
同じ中国人観光客でも住んでいるエリアによって、使用する中国語が若干異なり、簡体字と繁体字に分けて翻訳する必要があります。
日本の料理には魚を使用したメニューが多く、対応できる漢字も存在しますが、料理方法や料理名によっては理解してもらえない場合もあるため注意しましょう。
韓国語
韓国語は日本語と語順が似ており、機械翻訳の制度は比較的高いといえます。ですが、翻訳サイトを使って韓国語を日本語に翻訳しても、ほかの言語同様に100%正しい翻訳になるとは限りません。また、中国語では句読点が使われているのに対して、韓国語は句読点を使用せず、他にも韓国語では「」を使用しないなど、記号に関しても異なる点があります。そのためメニュー作成時には十分注意する必要があります。
まとめ
多言語に対応したメニューや案内板を作成するだけで、外国人のお客様はスムーズに料理を注文できるうえに、自分が希望していた料理を選びやすくなり、満足度も高くなります。 安心であることと美味しいということは、外国人のお客様にとって非常に魅力的なものであり、旅行者に人気のお店になるケースも珍しくありません。
外国人観光客から人気のお店になれば、日本国内の景気による影響や、競合が増えることによる集客の減少といった影響も受けずに、安定した経営ができる可能性が高いです。 外国語のメニューを作成し、日本人にも外国人にも人気のお店を作りましょう。
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