開業者インタビュー

飲食店経営者から学ぶ『コロナ禍でも閉店しない店舗づくり‐1』

飲食店経営者から学ぶ『コロナ禍でも閉店しない店舗づくり‐1』

新型コロナウイルスが広まって、早1年半。
終息の目途が立たず、繰り返し発令される時短要請や休業要請が、飲食店の経営を揺らがせています。

そんな先行き不透明な中でも、飲食店存続をかけ日々奮闘する経営者たち。
今回は、実際に飲食店経営者が今どんな日々を過ごしているのか、ひとりの経営者様にインタビューしてきました。

お話を伺いに訪れたのは、人形町で『喫茶 とりの巣』を営む品川昌子さん
品川さんは、調理師やパティシエとして長年飲食店に勤務。その後、2018年に人形町にカフェを立ち上げ、新規開業を果たしました。

『喫茶 とりの巣』は白と青を基調にした落ち着いた空間で、「幸せのミントパフェ」を代表とするパフェが人気となっています。また、店内にあるフォトスポットでのインスタ映えが話題となり、Instagramを見て遠方から来るお客様も多いお店です。

また、今回のインタビューでは、ABC店舗開業者ブログに参加しカフェ開業を目指す高嶋みなみさんにも同行いただき、“開業前に聞いておきたい!“と思うことを品川さんにご質問頂きました。飲食店開業にあたってのアドバイスとして、実状に即したリアルで詳細な回答をいただきましたので、是非最後までご覧くださいませ。

休業下での新たな挑戦

まずは、コロナ禍での営業状況についてお伺いしました。

Q.コロナ禍での営業期間は?

【2020年】
通常時は、9:00~21:00営業
緊急事態宣言下では、休業
【2021年】
まん延防止等重点措置期間では、時短営業(20:00まで)
オリンピック前の感染者1000人超えとなった7月中旬から、休業

「オリンピック前から緊急事態宣言下は休業にしています。オリンピック期間に遠方客が増えることで感染リスクが高まるのはやはり怖かったので。」

『喫茶 とりの巣』は、本取材時点で開業から約4年が経過。常連のサラリーマンやOLさん、近隣住民はもちろんのこと、土日には遠方からのお客様も多くいらっしゃるお店です。

Q.時短営業下での来店状況はどうでしたか?

「日にもよりますが、ランチ目当てのビジネスマンはぱったり。コロナ以前はランチタイムにお勤めの方が多く来店していましたが、テレワークや外食禁止の会社が増え、フレックスで来られる方がちらほら、といった具合でした。出勤曜日が決まっている会社も多いので、来る曜日と来ない曜日がはっきりしていて、複数人での来店はほとんどなかったです。」

人形町がオフィス街という立地柄、ビジネスマンの減少はやはりお店に大きく影響していました。また、SNSを見て遠方から来るお客様に関しては、コロナ以前、ビジネスマンが少ない土日の来店を有難く迎えていましたが、時短営業に切り替えてからはコロナの感染リスクと地元の方が来にくくなってしまう懸念を考慮し、土日の営業はしない決断をされていました。

Q.コロナ禍の営業で一番困ったことは何ですか?

「一番困ることは休業がどのくらい長引くか、時短になるのか、毎週ニュースが変わることですね。店舗規模は小さいですが、仕入れたものの期限が過ぎてしまうことはダメージが大きいです。
夏は気温が熱いのでアイスコーヒーがたくさん出るだろうと仕入れを多くしていましたが、緊急事態宣言の発令で通常通りに営業できず、すべてだめになってしまいました。」

前もって準備しておかなければならない食材は、国や自治体の突然の要請に対応することはできません。たとえ冷凍食品であっても、一度霜がついてしまえばお店で出すことはできず、その都度新しく買い直していたとのこと。食材廃棄は心が痛むと、胸の内を語っていました。

Q.休業中はどういった活動をしていますか?

「少し前までは、店舗以外での販売をしていました。ここのお店は喫茶店営業で営業許可を取っているので、新たに焼き菓子製造での営業許可を取得したんです。そこから、イベント出店を2回程行なって、焼き菓子やケーキ、コーヒーを販売していました。ただ、その後は感染者のさらなる増加でイベント自体ができなくなってしまって、計画が崩れてしまいました…。」

Q.イベントの話はどこから?

「もともとつながりのあった方からお話を頂きました。ECサイトのBASEなどでも販売することを考えていたので厨房はしっかりとした造りにしていましたし、店舗オープン時の書類や番号もあるので、菓子製造営業の許可を取る手続きは簡単でした。申請してから1週間くらいかな。すぐでしたね。」

実店舗を休業する中でも別の販売先を作れないかと考え、すぐに行動へと移す品川さん。休業といっても、決して手を止めることはありません。保健所の方からは、昨今、品川さんと同じように惣菜営業や菓子製造営業の許可を取りに来る人が増加しているという情報も得ていました。

コロナ後を見据えたブランディング

休業を経て、お店がどうあるべきかを見つめ直す品川さん。イベント出店が断たれた後も、次なる策へと懸命に取り組まれていました。

Q.今後としては、何か新たな取り組みをされる予定はありますか?

「今後は、お店のブランディングを強化していきたいなと考えています。
昨年はクラウドファンディングをやって、その時についてくれた新たなお客様もいるのでこれまでとは少し違った店舗戦略で挑戦していくつもりです。」

Q.具体的にはどういった戦略をお考えなのでしょうか?

「実は、リニューアルオープンをしようと考えています。店舗によって営業戦略は違うと思いますが、うちは2階ということもあり滞在型店舗になります。とはいっても、現在コロナ禍で東京都から90分制限が出ていますよね。そうなると回転率も考慮していかないとだめなのです。そこから短時間の滞在時間でも売上を確保するために、客単価を上げて、メニューをリニューアルしようと思っています。」

従来、カフェはくつろぎスペースやワークスペースとして長時間の滞在利用が多く見られていました。しかし、感染リスクがある状況下ではそうはいきません。品川さんは、顧客側の利用の仕方が変わるのであれば、店舗側としての在り方も変えていくべきと語ります。

Q.メニューのリニューアルに関しては、客単価を上げるにあたって新メニューを開発されているということでしょうか?

「新メニューの開発もそうですが、現在、コーヒーの値段が上がっているという背景があるので、単に従来と同じもので値上げするのではなくグレードをあげて提供しようと考えています。同時に、グラスのサイズも大きくするつもりです。
これまでの長期滞在によるおかわりは期待できなくなるので、短時間でも1杯で満足してもらえることを踏まえての変更です。あわせて、グラスやお皿もこれまでより質の良いものに替えて新たな付加価値をつけようとしています。」

高嶋さん:「わー、とってもかわいいですね。このお皿すごく好きです。」
品川さん:「かわいいですよね。これまでは木皿でしたが、磁器のお皿にすることでグレードアップしたことが視覚的にわかりやすく、質の良い食器だとやっぱり説得力が出ますよね。これらは、喫茶店に特化したギフトショーなんかで揃えました。」

>>2nd Page>>
【複雑化する給付金と情報の価値】


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
物件のご紹介はもちろん開業までをサポートいたします!


簡単30秒で会員登録完了!

飲食店、物販、テイクアウトなどの店舗物件をご紹介します!

Copyright © 居抜き店舗ABC, All Rights Reserved.