開業者インタビュー

飲食店経営者から学ぶ『コロナ禍でも閉店しない店舗づくり‐2』

飲食店経営者から学ぶ『コロナ禍でも閉店しない店舗づくり‐2』

複雑化する給付金申請

つづいて、通常営業ができず売上を立てるのが厳しい状況下で、どのように資金繰りを行なっているのか、お店を継続していく上での手段についてお伺いしていきます。

Q.お店はいつも(社員の女性と)2人体制ですか?

「はい。休業中、社員の子には調理師の勉強をしてもらっています。給与の方は、国からの雇用調整助成金で賄えています。」

Q.時短営業や休業に際しての協力金申請はされましたか?

「はい。最初の時期は、“すぐに振り込め”という飲食店経営者の声が多くあったので手続きが簡単でした。しかし、簡単な手続きがゆえに営業状況を偽って申請する人が多くなり、申請手続きがどんどん複雑化していきました。」

複雑化した現在の申請手続きでは記入項目や必要書類が多く、税理士さんにサポートを依頼してもなお、多くの時間を要しているといいます。

Q.申請後の受取りは滞りなくできていますか?品川様の受給状況を教えてください。

「受取りはできていますよ。うちの喫茶店はコロナ以前、21時までの営業だったので20時閉店にすると時短営業として、協力金がもらえます。しかし、もとから17時閉店の店舗ですと時短は関係ないのでもらうことができません。営業時間によっても協力金がもらえるかどうかは変わってくると思います。」

協力金は、店舗規模ではなく業態によって異なる為、酒類提供店舗と喫茶店では給付対象期間や金額が大きく異なり、同じ業態であっても営業時間によって受給可否が決まるようです。

Q.国や自治体からのサポートとしては他に何かありましたか?

「東京都では協力金のほかに、昨年家賃補助もありました。国から給付されるものに加えて、東京都独自のものがあって。数万円。
雇用調整助成金を申請した店舗、且つ従業員を解雇せず、コロナ特別休暇の制度を新たに設けた店舗が奨励金としてもらえることになっていました。ただ、この申請手続きも大変な作業で苦労しました…。」

給付金を受給するにあたっては、お店の通常営業と異なる事務作業が多くついてきます。料理一筋の調理師として長年働いてきた品川さんにとって、書類作成は慣れない業務であり、一番の苦痛であるとのこと。休業の間でも、度重なる書類作成に追われ忙しい日々を送っていました。

店舗存続を左右する情報の価値

コロナという前例のない状況では誰もが分からないことばかり。“どう対応していくのか“は経営者それぞれの判断に託され、一度誤った選択をすれば店舗存続に大きなダメージを与えてしまいます。こうした不透明な中、肝となるのが”情報収集“です。

Q.先行き不透明な状況では経営判断が難しいと思いますが、どのように進められてきたのでしょうか?

「実はいま商工会議所に入っていて、毎月情報をもらっているのです。昨年は本当にお世話になりました。年会費1万円で毎月チラシが届いて、動画配信とか無料セミナーとかに参加できますし、ワクチンも職域接種で早期に打つことができました。」

「よくニュースで”国や自治体が何もしてくれない”という飲食店経営者のインタビューが報じられていますが、全然そんなことはないと私は思います。
うちも昨年休業した時に、お世話になっている信金や保健所の方、商工会の方などから“休業大丈夫ですか?“と電話をくださり、助成金の制度や申請に関してたくさんの情報とサポートをしてくれました。」

品川さんは、人とのつながりをつくっておく重要性について説きます。ピンチの時こそ、すべて自己解決するのではなく、まわりの手を借りること。つながりが多ければ多いほど、情報を集めることができ、その情報を活用するためのサポートを受けることできる。融資を借りるにあたっても、単にお金を得るだけでなく、銀行とのつながりを作ることに意味があったといいます。
実際に、コロナというピンチの状況下でもお店の新たな未来へ足を進めている様子から、この言葉には強い説得力があります。

つづけて、助成金申請書類に関して、実際にご自身で作成した資料をもとに具体的な例を提示して詳しく内容を説明してくれました。

「これは宅配をやるという名目で資材を購入しようとした際の資料です。新しいことを始めるにしても上手いこと制度を利用すればお金はあまりかからないで出来るんですよ。例えば、自転車1台買うにしても、デリバリーで注文を受け付けて暇なスタッフが自転車で運ぶ、という名目にすると『車両費』で申請が可能になります。」

目的 助成金申請上の名目 助成金申請項目
食器を新しく替え揃える WEBサイトで掲載する
店舗動画を作る為の資材
宣伝費
本を購入する メニュー開発の為の参考資料 商品開発費
自転車を購入する デリバリー注文受付時の配達車両 車両費

「もちろん出前館で売上が賄えるとは思っていないのですが、“出前館でこれからデリバリーをやる“という活動自体が大事になるのです。その活動の申請によって、デリバリーだけでなくテイクアウトで利用するお皿やカップなどの資材の助成金がもらえます。ただ、助成金はすべての活動に対して支払われる訳ではなく、下手をすれば全部自腹になってしまうケースもありますので何を始めるかという点には注意が必要です。」

“これから新しく始める”ということに対して申請が可能な助成金。
売上を立てるのが難しい状況だからこそ、制度を知ることの大切さを身に染みて感じていました。また、表面上の情報を鵜呑みにするのでなく、情報を理解した上で正しい採択をすることも推奨しています。

「これだけお話していますが、決して元から知識があった訳ではありません。私自身今でも分からないことだらけですし、やることも多くて大変です。ただ、分からないからやらないではなく、やった分だけ自分に返ってくるのでやるべきだと思います。」


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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