インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

外観も内装もオシャレな
お好み焼き屋さん

 京王線仙川駅から細いにぎやかな商店街を抜けて国道20号を横切り北上すると、しだいに郊外の住宅地といった趣きになってくる。広い駐車場を有した複合店舗を右に見て緩やかな坂を下ると仙川にぶつかり、取材時は河原に菜の花が咲き誇っていた。そんな風景を見ながら橋を渡ると左手に「三鷹みっちゃん」の可愛らしい入り口が見えてくる。

 ブルーの扉を開けるとまず目に入ってくるのが、ウェーブラインのウッディーなカウンターと可愛らしい床。まるで洋菓子店のようだ。「オシャレでしょう?近くに白百合女子大学があるので、女性が入りやすいお店にしたんです」と店主の河原さん。広島では、店内で食べるのは7割以上が男性だった。女性もお好み焼きは好きだが買って帰る人が多く、店で食べる人は3割弱。だから女性にも気軽に食べてもらえるよう全面改装し、グループ利用にと個室も作った。

 河原さんが焼くお好み焼きは、最初にクレープ状の生地を作り、その上にキャベツ・玉ねぎ・もやし・バラ肉を焼いてひっくり返し、麺の上に乗せて最後に焼いた玉子の上に乗せてひっくり返す。他の地域のお好み焼きと違い、野菜たっぷりで小麦粉はほとんど使わないのだ。ランチは女子大生や主婦層、夜は主にご近所のファミリー層でにぎわっている。

広島のお好み焼き屋をそのままに
材料から飲み物までこだわりは細部に及ぶ

 河原さんは広島県三原市出身。20代の頃からいつかは起業したいと考えていた。自分の力を一番発揮できるのはやはり飲食業だ、では何をやろうか…と思った時に頭をよぎったのがお好み焼き店。広島のお好み焼きが食べたいと思っても、東京では本場そのもののお好み焼きを食べられる店がなく物足りなさを感じていた。それを思い出し、広島で販売しているそのままを持ってこよう!と決めた。

 河原さんのこだわりは半端ではない。まず修行していた店に倣ってネギではなく玉ねぎ、オタフクではなくカープソースを使用している。東日本でカープソースを使っているのは40店舗ほど、ほとんどお目にかかれないソースだ。麺は生麺を使用。東京の製麺会社に依頼し試行錯誤を繰り返して、もう4回もバージョンアップしている。東京で調達できるものはして、調達できないイカ天・天かす・昆布の粉・魚粉などは広島から取り寄せている。お好み焼きの命である鉄板は、厚さ19ミリもある200万円のものを入れた。

 そしてもう一つこだわったのが故郷三原で作られているクリームソーダ「スマック」だ。スクリューボトルのスマックGゴールドは売っているが、昔のままの瓶入り「スマック」を置きたかった。これは広島でも貴重品。子どもたちに王冠を栓抜きで開ける楽しみを味あわせてあげたかった。製造会社に交渉し、瓶が希少なため洗って送料負担で送り返すことを条件に実験的に置かせてもらえることになった。これには子どもだけでなくスマックを知る大人も大喜び。これを飲みに来たよというお客さんもいるそうだ。

一人で営業できるようさまざまなアイデアを導入
リピーターを増やすため月替わりのキャンペーンを展開

 アイデアマンの河原さんは、平日一人で営業できるようにと考え、券売機とドリンクのセルフサービスを導入した。お好み焼き業界での券売機導入は「三鷹みっちゃん」が初めて。「バイト一人分の働きをしてくれ、前払いだからお帰りの際もスムーズと良いこと尽くしですよ」と河原さん。自動で生ビールを注いでくれるサーバーは各メーカーに相談、通常60席以上ないと置けないところサントリーだけは物は試しと協力してくれた。ドリンクはセルフのため価格を低めに設定。お客様に手間をかけるが、ビールサーバーや瓶ドリンクで栓抜きを使うのは新鮮で楽しいとなかなか好評だ。

 KFC時代に3ヵ月ごとのキャンペーンを行っていた経験から、毎月一つ限定メニューのキャンペーンをしている。3月は麺にうどんを使った因島モダン、4月は白百合女子大の新入生向けに女子に人気の餅とチーズ入りだ。常に先の限定メニューを考えては土日アルバイトの女子高生に試食を頼み、感想を聞いては試作を繰り返す。このキャンペーンでリピーターを増やしていけたらと考えている。

 河原さんの夢は、いずれ住まいがある三鷹市にお店を出すこと。広島では子どもの頃からお好み焼きを食べて育つが、大人になってその店を訪れてもほとんどは一代限りで閉店しているという。そんな悲しい思いをすることなく、子どもの頃の味をいくつになっても食べてもらえるようにチェーン店にして残したいと考えている。そして「最後の店舗は故郷広島に出したい。夢ですけどね」と河原さんは照れくさそうに笑った。
(取材日:2016年3月2日)

河原 幹夫さん
大学卒業後、ケンタッキーフライドチキン(以下KFC)に入社。十数年の店舗経験を経て本社勤務となりメンテナンス部門でキャリアを積む。その後3社合同で立ち上げられたメンテナンスの関連会社で人脈を広げ、東京ガスに転職。両親の介護のため一時帰郷した後、以前から温めていた広島お好み焼きの店を開業すべく、お好み焼き店で修行。2016年1月「三鷹みっちゃん」をオープン。

三鷹みっちゃん
住所:調布市緑ヶ丘1-10-19
TEL:03-6382-9313
営業時間:11:00~14:00 17:00~22:00
定休日:不定休
店舗情報:Facebook