インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

150種以上の各国ワインと
肉問屋直送の厳選肉が看板のバル

 地下鉄「門前仲町」駅から徒歩3分の角地に立地する「門前仲町ワインハウス BALLONDOR」は、肉料理をメインとしたワインバルだ。オレンジの外壁に赤色で書かれた「ワインハウス」の文字や、店頭に置かれたワインボトルが“ワインが飲める店”としての印象を高める。経営母体は㈱エンジョイライファー。代表取締役の渡邉和茂氏の実家が、卸専門の精肉店を経営している強みを活かし、低価格で高品質な肉料理をメインに据えた。料理はジャンルに捉われず、イタリアンを中心に和食やモロッコなどのテイストを取り入れた約50品で構成。メイン料理にはハラミのステーキ「旨味天国!バベットステーキ」や「フランス産鴨ムネ肉のポワレ」など、各国の厳選肉を使用する。また、人気商品の「名物!ホタテのウニソース焼き」や、チーズリゾットをイカに詰めた「バロンドールのイカめし」、スペイン風の魚介サラダ「タコとキュウリのサルピコン」などのワインに合う前菜から、ピザ、パスタまでを揃え、食事利用にも楽しめる料理を揃える。

 一方のワインは常時150〜200種をラインアップ。肉料理に合わせ、赤ワインだけで80〜90種を用意している。ワインリストはなく、お客との会話の中からその日の気分や好みを聞き、渡邉氏がおすすめをサーブするが、よりお客の好みを汲み取りやすいよう“チャート表”を用意。チャート表には、スパークリング、赤、白それぞれの味わいのタイプが記されており、お客は「渋み軽やかぐい飲みタイプ」「絶妙!旨口タイプ」などから一つ選ぶ。そこから渡邉氏が5種ほどのボトルを持ってきてサジェストするという、おもしろい取り組みを行なっている。

「オープン前は約7ヵ月間、銀座のワイン屋で働きました。そこで500種のワインを覚えたり、ワインを知っているお客さまとのコミュニケーションを研究したりしましたね。お客さまは『すっきりめで』といった簡単な表現が多いので、こちらからあらかじめタイプを示すことで、より正確な好みを知る手がかりになると考えたのです」と渡邉氏は言う。

タイミングに左右された移転オープン
内見でイメージできたことが決め手に

 渡邉氏は同店をオープンする前、東京・人形町で「小皿イタリアンBALLONDOR」を約6年間営業。近隣会社員に親しまれる店だったが、規模が大きい店であったことから、近年ではパーティー利用で使われることが多くなっていた。 「箱が大きいと人を抱えなければならず、売上げも思うように伸びないという問題がありました。店舗展開をすることを考えると出店スピードが落ちると思い、10〜15坪の小規模専門店で新たにスタートしようと舵を切ったのです」(渡邉氏)
 
 2015年末での退店を予定していたことから、2016年1月から動ける物件を中心に探した。しかし入居のタイミングが合わず、なかなか思うように物件が見つからなかったという。 現物件が出たのは2015年11月下旬。当初は10月には契約しておきたいという予定を組んでいたが、1ヵ月ずれ込んだかたちだ。ちょうど年内退去予定だったことでタイミングもよく、内見をした際「ここでならワインバルができる」との青写真が描けたのが決め手となり、実地調査に取りかかった。主に昼夜の人の流れや、近隣住宅の車、歩いている人の年齢層などを見て、具体的なイメージが固まり契約へと至った。「門前仲町でお店を経営している友人もいて、彼に街やお客さまの様子を聞けたのも大きかったですね」(渡邉氏)

 物件が古かったこともあり、1月には前オーナーがスケルトンに戻し、2月初旬から着工。水道、電気などのインフラ工事も必要とあり、工事には約1ヵ月半を要した。 スケルトンからの工事は費用がかかることから、人形町店で使っていたテーブルの脚部分を再利用し天板を変える、椅子を張り替えるなどでコスト削減の工夫も行なった。また、厨房機器も一部運び入れることで出費を抑えた出店を実現させた。

業態が飽和状態だからこそ
売りメニュー、一点特化が必要

 「一人客でも気軽に寄れる店にしたい」との想いから、入口から縦に伸びるカウンターは必須だったという渡邉氏。「テーブル席を通ってカウンターに行く席配置は、一人のお客さまにとってはハードルが高い。そのため、入口すぐのところにカウンターがあることは重要でした」と続ける。そうしたお客の心理をついた席レイアウトにより、一人でふらっと立ち寄るお客も吸収。また、グループ客のために奥にはソファ席の半個室を用意し、多様な利用シーンを取り込んでいる。カウンター席とテーブル席を隔てるサービス台は、席同士の心理的距離感を遠ざけるだけでなく、混雑時には立ち飲み席にも変更可能。満席で入店できない時のチャンスロスにもつながっている。

 現在の客層は30代後半〜40代がメインで、常連客も多く獲得。特にランチは近隣会社員を中心に、1日35〜40人を集客する人気ぶりだ。今後は立地に応じた業態をつくり、多店化を検討しているという渡邉氏。店舗展開以外にもこれまでの経験を活かし、料理やドリンク、出店立地などのプロデュース業も行ないたいと考えている。

 「今の飲食業界は、単純にイタリアンと謳うだけでは集客できないほど、業態が飽和状態にあります。そのため何か尖った部分が必要だろうと、肉料理を看板に掲げました。また、これからもドリンクに特化した専門店化に進む傾向にあると踏んでいます」と渡邉氏は業界を見据えている。大手外食企業で培ってきた経験、独立から繁盛店を生み出してきた経験から、これからも業界の流れを汲み取った業態で繁盛店を輩出していく構えだ。
(取材日:2016年7月28日)

渡邉 和茂さん
1978年東京生まれ。大学卒業後、㈱グローバルダイニングに入社。1年後の2001年に「カフェ ラ・ボエム」の店長に就任する。2009年に退社し、東京・人形町で「小皿イタリアンBALLONDOR」で独立。2012年には東京・湯島でフレンチ「ワイン食堂パパン」を開業するも、2013年にはスタッフに譲渡。2015年12月に人形町店を閉店、東京・門前仲町に「門前仲町ワインハウスBALLONDOR」を移転リニューアルした。

門前仲町ワインハウス BALLONDOR
住所:江東区永代2-33-5
TEL:03-5809-8622
営業時間:ランチ 11:30〜14:30/ディナー 17:30〜23:30
定休日:日曜日
店舗情報:食べログぐるなび