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ブーム再来中!?スナックの開業に必要となる資金

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密かに再燃するスナックブーム
皆さんの中で「スナック」というと、足繁く通うのは40~60代の中高年の男性がメインであるという認識があるのではないでしょうか。
スナック(snack)は、一般的にカウンターと小スペースの店内で、お酒やおつまみを片手に談笑を楽しめる飲食店です。
スナックが日本に登場したのは1964年(昭和39年)以降。都道府県条例が施行され、いわゆる「風俗」と呼ばれるバーやキャバレーが深夜0時以降に営業ができなくなったことで、打開策としてスナックが営業されるようになりました。
一時はサラリーマンの憩いの場として昭和時代にブームを引き起こし、盛り上がりを見せていたスナックですが、昨今では全国的に店舗数が減少。
ネオン街に影を潜め、古い店舗がひっそりと常連客相手に営業する形へと移り変わっていました。
しかし、2019年頃からまた再ブームの兆しが…
そのブームの起因は、SNSの普及にありました。
SNSが普及した現代では、会話する相手とリアルで会わずにコミュニケーションがとれる便利な時代です。しかし、その便利さゆえの反動で、リアルなコミュケーションに価値を見出す若者が増えているのです。
若者の交流の場といえば、居酒屋やカラオケ、クラブが定番。しかし最近では、喫茶店や古着などのレトロカルチャーが若者から人気となり、スナックにハマる女子が「スナ女」と称されるまでにスナックも注目を集めるようになりました。
また、テーマ性を持つニューウェーブのスナックが出現したり、低価格設定のスナックが増えたりと、若者や女性でも来店しやすい環境になったことも利用客の増加につながっています。
そうした状況から、働き手としても若い年齢のママが増えています。スナックはコストや調理の技術面における負担が少ないことから比較的開業しやすい業態として、新規開業者の方におすすめ。ここでは、スナックを開業するのに必要な準備と費用について考えていきましょう。

スナック開業に必要な資金目安
飲食店を開業する場合、初期投資として物件取得と内外装工事に多額の費用がかかります。しかし、スナックは基本的に”10坪前後の小規模な店舗で営業可能””本格的な調理を要さない”といった特徴があるので、賃料や厨房設備などのコストを大幅に削減することができます。
また、「駅近」「1階路面店」といった好条件である必要がない為、家賃の目安は10〜20万円、そこに保証金や礼金、前家賃、不動産手数料などを合わせると物件取得費はおおよそ150~300万円になります。
工事費用に関しては、バーなどのカウンター付居抜き物件を借りてしまえば、インフラ工事や内装工事がほとんど必要がないのでかなり安く仕上げることができます。
ただし、スナックは常連客がついてこそ成り立つ業態なので、最初の数ヶ月は経費が売上を上回り赤字となるケースも珍しくありません。従って、開業にかかる初期費用に加えて、最低でも家賃6ヶ月分程度の運転資金を確保しておく必要があります。
スナック開業に必要な資格・届け出
食品衛生管理責任者資格と飲食店営業許可の届け出
スナックはもちろん飲食店に該当し、飲食店を開業するときには、全業態共通で「食品衛生管理責任者資格」の取得と「飲食店営業許可」の届け出が必須となります。飲食店営業許可を各市町村が指定する保健所へ提出する際には、食品衛生管理責任者の資格が必要になるため、「食品衛生管理責任者資格」取得後に「飲食店営業許可」を提出するという流れがよいでしょう。
深夜酒類提供飲食店営業開始届
スナックでは、24時を超える深夜営業を行う店舗が多いかと思いますが、深夜に酒類を提供する場合には「深夜酒類提供飲食店営業開始届」が必ず必要になります。しかし、この届出においてはいくつかの条件を満たす必要がある為、事前に確認をしなければなりません。
その確認事項の一つが、用途地域です。
そもそもお店のある地域が、深夜に酒類を提供してよい地域なのかを確認する必要があります。よく不動産情報を見ていると、「第一種低層住居専用地域」などといったように、そのエリアが住居、商業、工業など、どのような用途に適しているかを定めた地域種別が書かれていると思います。ご自分の開業する店が、「住居専用地域」または「住居地域」以外の地域であることを確認してから、届け出を提出しましょう。
また、もう一つ気を付けたいのが、客室の設計です。
もしも2室以上の客席にしたいと考えている場合は、1室あたりの客室面積が9.5㎡以上になるよう設計する必要があります。この規定を知らないままに内装工事を行い、許可がおりなかったという事態は避けたいので、深夜に酒類を提供したいと考えているのであれば、設計の段階から頭に入れておきましょう。
また、客室は1室であったとしても、1メートル以上のパーテーションや椅子などがある場合は、それらが見通しを妨げる障害物とみなされてしまいます。面倒を防ぐためにも、このような場合ははじめから2室あるものとして申請しておくほうが無難です。
スナックに特有の費用
カラオケ導入にかかる費用
スナックといえば、二次会のカラオケ利用として来店する人も多い為、カラオケ機器は導入しておきたいものです。
カラオケ機器は新品を購入してもいいのですが、周辺機材が多く、金額も数百万円に及ぶ為おすすめできません。レンタルやリースを利用すれば、カラオケ本体に周辺機材を合わせた一式が月額3~5万円程度で借りることができますので、こちらのほうがお得であるといえます。(※楽曲配信料は別途発生)
また、カラオケ機器の導入を検討する方が頭に入れておくべきことに著作権の問題があります。音楽作品はもともとCD、放送、配信、演奏等どのように利用するかによって著作権の手続きが異なり、通信カラオケのメーカーとカラオケ利用店ではそれぞれが異なる利用手続きを行っています。従って、飲食店でカラオケを利用する場合にも、日本音楽著作権協会のJASRACに対して音楽の再生・歌唱・上映に関する著作権の契約手続きを行う必要があり、著作権料として月額3,500円~16,000円の支払いが発生します。(※利用店舗の業態・規模・定員によっても金額が異なる)
キャストの給与
スナックはキャバレーとは違いますが、「ママ」と呼ばれる女性が切り盛りし、お客様を接客する「キャスト」が存在します。一般的に、ママの給与は「固定給+歩合(ドリンクオーダー/指名など)」、キャストの給与は「時給+歩合(ドリンクオーダー/指名など)」で計算されます。労働時間にもよりますが、平均月給としては15~25万円程度。歩合については、人件費の合計が売上の4~6割に収まるように設定するのが望ましいといえます。また、スナックではノルマを課さないのが通常です。
成功のカギは常連の獲得と人脈づくり
スナックは、不特定多数の顧客が訪れ、回転率が勝負の飲食店とは全く毛色の異なる業態です。
スナックを利用する顧客は、個性的で人当たりのいいママやキャストを目当てにお酒を飲みながら会話を楽しむために訪れることが多いものです。従って、スナックを経営するには絶対的に魅力的なママが必要になってきます。
また、”どのような顧客を常連化させるか”といった点もお店を成功させていく上でのポイントとなります。世間は広いようで狭いものですから、スナックがその地域の集いの場となるよう、近隣店舗や住民、同業態とのつながりを深めることも大切です。顧客同士が仲良くなることでお店に定着化していくことも大いにありますので、同じ趣味・嗜好を持った人が集まれるようコンセプトを明確することも一つの戦略といえます。
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