特集

猫カフェ開業には何が必要?飲食店舗の申請や手続きのほか、取得すべき資格などを解説

目次
猫カフェを開くための流れ
開業資金はいくらかかる
店舗物件探し
猫カフェ開業で見落としがちなこと
まとめ

近年増えている「猫カフェ」。猫カフェ協会の報告 によると、日本国内の猫カフェは、2005年はわずか3店舗でしたが、2015年末には300店舗を超えています。10年間で100倍以上に増えていることになります。このことから猫カフェは単なるブームに終わらず、新しい業態として定着したといえるでしょう。
では、実際に猫カフェを始めるときには、どのような準備をしたらいいのでしょうか。猫カフェでは、飲食物と動物を扱うため、提供する飲食物、営業時間によって、それに応じた資格や届け出が必要となります。詳しくご紹介いたします。

猫カフェを開くための流れ

 [猫カフェ開業までの流れ]
1.猫カフェの事業計画書を作成
2.開店資金の調達
3.必要な資格を取得
4.店舗物件
5.猫の手配

猫カフェを開業するには、まず「事業計画書」を作成しましょう。
事業計画書には、事業プラン名、事業概要、会社概要、経営理念や事業の目的、事業内容の詳細な説明、資金計画などを記載していきます。
具体的には、店舗の規模や立地、料金体系や提供する飲食物を作るのか既製品を販売するのかなど、一つひとつ検討していきます。
開業に必要な準備を可視化する作業ともいえます。

完成したら、事業計画書に基づいて、開店資金と当面の運転資金の調達、必要な資格を取得したり、店舗物件を探したり、猫の手配をして開店準備を進めます。

開業資金はいくらかかる

猫カフェを開業する資金は、おおよそ400~1,000万円が必要といわれています。
運営したい店舗の規模が小さく、自宅などをリフォームして始める場合でも400万円程度はかかります。
そして、新規で店舗を借りて、設備を入れていく場合には、その倍以上の1,000万円は用意しておくとよいでしょう。

開業資金の目安

開業に際しては、次の大きく分けて3タイプの費用が必要です。

1つ目は、店舗です。新規で借りたり、自宅などをリフォームしたりします。 どちらも、家具や什器を入れ、内装を整えます。また、借りた場合は、家賃が発生し続けます。

2つ目は、経営に関わる費用です。
資格の取得や届け出、集客のために広告宣伝費も使います。
カフェメニューを充実させると、キッチン関連の費用も膨らみます。

3つ目は、猫を調達し、清潔な環境で健康を維持していく費用です。
具体的には、下記のような費用となり、これらを積み上げていくと、おおよそ400~1,000万円が開業資金の目安となります。

[猫カフェ開業に必要な費用]
・テナント契約費
・リフォーム代
・事務用品
・家具
・広告宣伝費
・資格と登録代
・猫の購入費
・猫の受け入れ費
・餌代
・トイレなどの生活必需品
・ワクチンや検査費
・医療費
・キッチン用品
・食材費
・行政費
・当面の活動資金

最後の当面の活動資金とは、向こう半年程度、経営がうまくいかなくても店舗を維持していくための費用です。従業員を雇う場合には、その人件費も考慮して含めます。 これらは、猫の種類やお店の形態、立地などによっても大きく変わってきます。

開業資金の調達方法

預貯金や退職金など、自己資産で開業資金を用意することが難しい場合には、開業資金を調達する方法を検討します。
どれか1つの方法というよりは、まずは自己資金をできるだけ集め、足りない分は複数の方法を組み合わせて行うのが現実的です。

[開業資金調達方法]

・金融機関から融資を受ける

銀行や日本政策金融公庫(政府の金融機関)に、事業計画書を持参して相談します。
事業計画書の内容や、借入金額に対する自己資金の比率、金利(利子)を含めた返済が可能かという点を審査されます。

・補助金や助成金

一定の条件と審査をクリアすれば、返済する必要はありません。
審査機関に対して、完了報告を提出することで支給されるため、一時的な自己負担が必要です。

・親や友達から出資してもらう

返済期限や利子はありませんが、返済できないときには信用を失ってしまうため、慎重に依頼しましょう。

猫カフェを開くために必要な資格

猫カフェを開くためには、資格の取得や届け出が必要です。
店舗の責任者として、猫という動物を取り扱うこと、飲食物を提供すること、店舗の安全を管理することへの配慮が求められているのです。
それぞれ、法律等により決められていますので、具体的に確認しておきましょう。

動物取扱責任者

動物取扱責任者とは、営利を目的として動物を取り扱う事業者が店舗に必ず1人置かなければならない、法令を遵守するための責任者です。
動物取扱責任者は、資格ではなく、次の3つの要件のうち1つに該当し、動物取扱責任者研修を受ければ、なることができます。

・猫カフェで半年以上働いたことがある
・猫の飼育を学べる学校や教育機関を卒業している
・猫の飼育に関して知識及び技術を習得したことを証明できる資格を取得している

猫カフェを始めるときには、店舗を第一種動物取扱業として、自治体に登録することが義務付けられています。その際、動物取扱責任者も選任し、届け出ます。
動物取扱責任者は、複数の店舗を掛け持ちすることができないので、店舗の数だけ必要です。
法令とは、動物愛護管理法のことで、動物の健康と安全を確保することを目的に定められています。

食品衛生責任者

食品衛生責任者とは、飲食物を製造し、販売する場合に必要な資格です。

猫カフェで、既製品のドリンクのみを提供する場合には、不要です。
あなたの猫カフェで飲食物を製造して提供する場合には、まず飲食店として管轄の自治体の保健所に届け出ます。その際、店舗に必ず1人食品衛生責任者を選任します。
食中毒や食品衛生法違反を防止するための管理が目的です。自治体の食品衛生責任者養成講習会を受講するか、次の資格を持っていればなることができます。

・栄養士
・調理師
・製菓衛生師
・と畜場法に規定する衛生管理責任者
・と畜場法に規定する作業衛生責任者
・食鳥処理衛生管理者
・船舶料理士

そのほか、食品衛生管理者、もしくは食品衛生監視員となることができる資格を有する者も該当します。
詳細については、管轄の保健所にお問い合わせください。
また、届出後も、保健所が実施する講習会などを定期的に受講しなければなりません。

防火管理者の資格

防火管理者とは、消防法で定められた防火対象物において、火災予防のために必要な業務を推進する責任者のことです。

小規模の猫カフェでも、不特定多数の人が出入りするため、防火管理者は必要です。 自治体(東京都の場合は、東京消防庁)の主催する講習会に参加することで、取得できる資格です。

猫カフェの営業において、夜の営業時間には注意する必要があります。
猫カフェの場合は、動物愛護法により22時以降は禁止されています。
また、22時まで営業したいという場合でも、下記の規制を守らなければなりません。

[22時まで営業してよい条件>]
・猫が生後1年以上であること(20時以降に適用)
・休息できる設備に自由に移動することができる
・1日の営業時間が12時間以上にならない

店舗物件探し

自宅を改装する分には、店舗として営業許可を申請できるかという点に配慮をすればいいですが、店舗物件をゼロから探すとなると、居抜き物件か、店舗候補地の事情に詳しい不動産業者を探すことになります。
猫を飼育することになるため、動物飼育可否の確認は必須です。物件オーナーにも理解してもらい、契約時に詳細な条件を確認することをおすすめします。

猫カフェ用賃貸物件は立地には調査が必要

店舗の立地は、お店の経営に大きく影響します。
小規模でも、地域に愛される店にするのか、それとも繁華街に出店し、繁盛する店を目指すのか、自分の店のコンセプトにあった客層がいる地域を慎重に見定め、実際に足を運びましょう。
1つの方法として、Google等で「猫カフェ 検索」で検索してみてください。
猫カフェを検索できるホームページがいくつも出てきます。
1つを選んで、出店候補地で競合店の有無を確認しましょう。
ただし、エリアが決まっても、用途が猫カフェとなると、物件オーナーが難色を示す懸念があります。
これは、室内の汚れや匂いがひどくなること、他のテナントからのクレームを心配しているからです。
予測される問題については、対策を説明できるようにしておきましょう。

自宅を猫カフェにするときにありがちな失敗

物件を借りるのが難しく、自宅で猫カフェを開業した方の失敗を少しだけご紹介します。
物件の費用が抑えられるのは魅力的ですが、自宅=仕事場となることのデメリットや、集客が見込める立地なのかということは、きちんと考えて進めましょう。

[ありがちな失敗]
・仕事とプライベートの切り替えが難しい
・自宅カフェに改装するのに家族の承諾が得られない
・改装に手間とお金が思ったよりもかかる
・集客力が弱い
・改装後に住宅に戻すことは難しい
・賃貸物件で許可なく事業を始めてしまい、トラブルになる

猫カフェ開業で見落としがちなこと

最後に、猫カフェを経営していく上で見落としがちなことをお伝えします。
まずは、猫の病気対策で、ワクチン接種で防げるものは受けさせましょう。
猫から猫への感染症はもちろんのこと、猫から人間に感染する「サルモネラ症」「猫ひっかき病」などにも注意します。
お客様が手を洗うスペースを作りましょう。
次に気を付けたいのは、店内の臭いです。糞や尿の掃除を徹底し、猫カフェ内を清潔に保つことは、感染症を防ぎ、臭いの対策にもつながります。
悪臭は、店内のお客様はもちろんのこと、他のテナントにも不快感を与えるので、万全の対策が必要です。
これらの対策と猫のお世話は、定休日も含めて365日、継続していかなければなりません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
猫カフェの開業準備をイメージしていただくことはできたでしょうか。
猫を飼いたくても飼えないお客様にとって癒しの空間となる猫カフェ。
実際に開業し、運営していくことを考えると、店舗のコンセプト作り、立地の選定、資金調達、資格や届出、広告による集客など、やることがいっぱいです。
皆様の猫カフェを成功させるために、ぜひこの情報をお役立てください。

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