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飲食店経営における食券機導入のメリット・デメリットを解説

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飲食店経営の決済方法の1つに券売機の導入という選択肢がありますが、導入の明確な判断基準があるわけではありません。そのため、券売機を導入すべきかどうか、悩むケースも多いです。
券売機を導入するメリット・デメリットを把握した上で検討しなければ、悩みの解消にはならない可能性もあるでしょう。券売機を導入することのメリット・デメリットと併せて導入費用の相場などについて解説します。
飲食店に券売機を導入するかの判断基準
飲食店経営の決済方法の1つに券売機の導入という選択肢がありますが、導入の明確な判断基準があるわけではありません。そのため、券売機を導入すべきかどうか、悩むケースも多いです。
券売機を導入するメリット・デメリットを把握した上で検討しなければ、悩みの解消にはならない可能性もあるでしょう。券売機を導入することのメリット・デメリットと併せて導入費用の相場などについて解説します。
業態による違い
業態によっても向き不向きがあるため、経営しているお店に適しているかを見極めてから導入を検討しましょう。 向いている業態、向いていない業態について紹介します。
券売機に向いている業態
券売機に向いている業態の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
少ない人員で営業している
回転率を上げたい
店内が狭い
このような業態では席数が少なく、比較的短い滞在時間でお客さんをどんどん回していくことが重要になります。ラーメン屋や牛丼屋などに券売機を設置している店舗が多いのも頷けますね。
券売機でメニューを販売する際には、会計を行うスタッフを配置する必要がありません。そのため、教育の際にかかる費用も含め、人件費の節約に効果的であるうえ、回転率を上げることにもつながります。
券売機に向いてない業態
券売機はメリットが非常に多いですが、券売機の設置に適していない業種もあります。
座席数が少なく券売機までの距離が近いもしくは出入り口に券売機を配置している場合、お客さんの負担になるケースは稀ですが、店舗が広い場合は、追加で飲み物やトッピングなどを購入するためだけに入り口まで戻らなければならないのです。
さらに、券売機と座席の距離が近くても通路が狭く、移動しにくい場合もお客さんには負担がかかります。
メニューの数が少ない場合も導入する必要性が低いです。
券売機を設置すると、「食事をするだけの場所」という印象を与えてしまうと考えられる場合や、お客さんとの接客を重要視している業種にも適していません。ゆったりとくつろげる雰囲気や、高級感を演出したいお店にはあまりふさわしくないでしょう。
券売機導入のメリットとデメリット
券売機の導入にはメリットとデメリットの両方が存在するため、その両方をしっかりと理解することが大切です。
券売機のメリット
券売機のメリットとしては主に
・会計に人員を割く必要がない
・オーダーミスを防げる
・釣り銭間違いなど会計時のミスを防げる
・売上管理が正確にできる
・衛生管理の向上になる
の6つが挙げられます。それぞれ、詳細を解説します。
会計に人員を割く必要がない
飲食店の業務において解決しなければならない課題は人員不足であり、会計に1人のスタッフを配置することでダメージを受けるケースも多いです。
会計スタッフを配置することを考え、フロアのスタッフ数を削減できないと悩むケースもあるでしょう。
しかし、券売機を配置すれば効率的にスタッフを配置することにつながる点もメリットです。
オーダーミスを防げる
スタッフがオーダーを取る際、端末の操作にも不慣れであったり、伝票を書き間違えたり、オーダーを聞き間違えたりと注文を取る際のミスは必ず起こるといってもよいでしょう。
これらのミスは100%防げるものではありませんが、お客さんに迷惑がかかり、お店のイメージを悪くする可能性は高いです。加えて、料理が完成してから間違いであることに気づくと食品のロスも発生します。
しかし、券売機は注文スタッフが注文を取り間違えるといったことは起こりません。お客さんがボタンを押し間違いなどをしても、調理をする前にチェックできます。
釣り銭間違いなど会計時のミスを防げる
注文を取り間違えるのと同様に、スタッフが会計を行った際に釣銭や預り金を間違えたというケースも多いです。
ランチタイムや忙しい曜日などは、混雑から生じる焦りによってミスも発生しやすくなるでしょう。
券売機はどれほど忙しい時でも、釣り銭を間違えるというトラブルは起こりません。
盗難防止につながる
お金は券売機の中に保管され、鍵がなければ開けられません。
さらに、券売機には金銭管理機能があるので、盗難被害も予防できます。
売上管理が正確にできる
券売機は売上を記録する機種が多く、毎日の売上、時間別の売上といった確認がスムーズに行えるので、売上管理にかかる手間を削減できます。
衛生管理の向上になる
現金を触ることがなくなるため衛生面のリスクを軽減できます。現金に触れると、都度消毒しなければなりません。しかし、消毒の必要がなくなり、従業員の負担も軽減されることがメリットです。
さらに、スタッフがお金に触れることがないため衛生面でも不安がなく、お客さんへの印象も良くなる可能性もあるでしょう。
券売機を導入することで満足度が上がったり、売上が上がったり、リピーターが増えたりというメリットが多いです。
券売機のデメリット
券売機のデメリットとしては、主に
・機械が故障するリスクがある
・追加オーダーには向いていない
・来店客とのコミュニケーションが少なくなる
・導入費用がかかる
の4つが挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
機械が故障するリスクがある
券売機は精密機械であり、当然故障するリスクがあります。忙しい時間や、集客が見込める休日に壊れる可能性もあるでしょう。
ただし、券売機だけではなく、オーダーを取る端末やレジなど、飲食店で使用する機械は全て故障するリスクがデメリットだといえます。故障する可能性もあるということを念頭において、万が一故障した際にどう対応するのかも、あらかじめ考えておくと良いでしょう。
追加オーダーには向いていない
券売機は追加注文をするのに手間がかかるという理由から、客単価が下がってしまう可能性があります。追加注文は席で現金でも行えるようにすると、衛生面やスタッフの人件費などの問題が生じ、券売機の数を増やせば費用がかかってしまいます。
お客さんに負担をかけずに、券売機まで歩いて行けるような店舗の場合は、券売機の設置が有効ですが、追加注文の際にお客さんがストレスを感じるようなお店は、券売機ではなくスタッフが対応した方が良い場合もあるでしょう。
来店客とのコミュニケーションが少なくなる
業務を効率的に行うよりも、お客さんとのコミュニケーションやアットホームな雰囲気を重要視している場合にも券売機の導入がデメリットになる場合があります。
券売機があると、お客さんとスタッフがコミュニケーションをとる場面は極めて少なくなるためです。
スタッフがお客さんにサービスを提供することによって、満足度を目で確認し、日頃の店舗の経営に活かせる場合もあります。
導入費用がかかる
券売機は初期費用がかかり、機種や機能性によって異なりますが、50~200万円程度の費用がかかるのがデメリットです。
店舗の広さや人員に避ける費用、メニュー数によって、券売機を導入するかどうかを検討しましょう。
券売機の種類と導入費用の相場
券売機にはいくつかの種類があります。 それぞれの特徴と、導入費用の相場を見ていきましょう。
全札対応と低額紙幣対応
低額紙幣対応は1,000円札だけを利用できる券売機ですが、機種によっては2,000円札まで対応できるという場合もあります。
全札対応券売機とは1,000円札から1万円札まで全部の紙幣に利用できる券売機であり、低額紙幣対応券売機と全札対応券売機は費用が大きく異なるため、定額紙幣対応を検討するケースも多いです。 しかし、低額紙幣対応の券売機を導入するのであれば、1万円札から1,000円札や5,000円に両替する必要があります。
両替機を設置する、スタッフに両替を頼みやすいようにPOPを貼るなど、5,000円札や1万円札を両替するための対応方法を考えておかなければなりません。 価格は、低額紙幣対応券売機はおよそ50万円、印刷機対応券売機はおよそ130万円が目安です。
ボタン式とタッチパネル式
メニューの内容が決まっていたり、変更をするケースが少なかったりする場合は、ボタン式券売機でも十分だといえます。タッチパネル式券売機は画面に画像を表示できるので、お客さんがメニュー写真を見て決められることがメリットです。
さらに、詳細設定も画面を切り替えたり、入れ替えたりできるので、お客さんが一目で内容を確認できるといった魅力があります。費用はボタン式券売機がおよそ50万円、タッチパネル式券売機はおよそ120万円が目安です。
集計機能や多言語対応などの機能の有無
券売機には集計機能がついている製品もあり、日計やグループ別集計、累計出入金集計など、商品によって機能は異なります。さらに、時間帯ごとで画面を自動で切り替えるといった機能がついている製品も多いです。
また、海外からのお客さんが多い飲食店やエリアであれば、外国語に対応している券売機を導入する必要があるでしょう。費用は機能によって大きく異なり、およそ80万円~170万円まで幅があります。
リースやレンタル券売機の利用も可能
購入が難しい場合でも、リースやレンタルを利用することにより初期費用0円で券売機を導入することが可能です。リースやレンタルは毎月定額の費用であり、収支計画を練りやすいこと、運転資金を別の場所へ利用できることが挙げられます。
また、経費計上できることや、金利変動リスクを回避できること、最新の機種を利用できることなどもメリットです。
まとめ
券売機を導入することに向いている業態と向いていない業態があります。また、お客さんとのコミュニケーションを大切にしたいなど、オーナーの意向によっても異なるものです。 メリットとデメリットをしっかり把握し、導入を検討しましょう。
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