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今、10坪以下の小さな飲食店舗物件が人気を集める3つの理由

- 目次
昨今、居抜き物件を中心に【10坪以下の小さな飲食店舗物件】が飲食店開業者から人気を集めています。
今回は、小さな飲食店舗物件が人気を集めている理由を探ります。
10坪以下の物件が人気を集めている理由
【1】テイクアウト業態の需要が高まっている
新型コロナウイルス禍の拡大により、飲食店は大きな打撃を受けました。感染予防のために店内での飲食を控える動きが広まったことが要因となっていますが、この影響で飲食店が提供する食事をテイクアウトして自宅で食べる需要が著しく高まりました。
既存の飲食店も多くがテイクアウトを導入しましたが、この需要に目を付けて、新たにテイクアウト専門もしくはテイクアウトを主体とする飲食店の新規出店も増えています。
【2】開業資金や賃料を抑えられる
地域や階数によって賃料相場は異なりますが、10坪以下のコンパクトな物件は取得費用や家賃が抑えめになる傾向があります。
特に、初めての開業で費用をできるだけ抑えて開業したい方から10坪以下の物件が注目を集めています。
また、前テナントの内装や厨房機器を引き継ぐことができる居抜き物件であれば、開業資金の総額自体を抑えることも可能です。
【3】少人数でのオペレーションに最適。人件費も抑えられる。
10坪以下のお店であれば、1人での営業は十分に可能です。店舗内の構造にもよりますが、1度の営業でのオペレーション人数は最大でも2、3人が主であり、少人数での営業をお考えの方に適しています。
また、オペレーション人数が少ないことで人件費を抑える効果もあります。
実録データ ~10坪以下の物件は選ばれている~
ABC店舗にて物件を契約いただいた方の実録データを紹介いたします。
第1回緊急事態宣言解除以降の契約物件内訳(坪数)
10坪以下:55.2%
11~15坪:10.3%
16~25坪:24.1%
26坪以上:10.3%
第1回緊急事態宣言解除以降、コロナ対策を行いながらの飲食店営業が主流になって以降は、全契約のうち半数以上が10坪以下の物件です。
【比較】コロナ禍直前3ヶ月の契約物件内訳(坪数)
10坪以下:39.2%
11~15坪:28.4%
16~25坪:21.6%
26坪以上:10.8%
10坪以下物件のご契約者様に聞いてみました
回答
・唐揚げのテイクアウト専門店をオープンするので、10坪以下が条件でした。長年飲食店を経営しており、数年前からテイクアウトの業態をやろうと思っていました。コロナ禍でテイクアウト需要が高まり「むしろ今がチャンス」と思って本格始動しました。(テイクアウト店開業/8.20坪のテイクアウト専門店居抜き物件をご契約)
・もともと一人でお店をやろうと思っていました。デリのような形でカレーやお惣菜をテイクアウトできるようにして、店内での飲食はテーブルを数席だけ設ける予定です。なので、元から一人でのオペレーションができて、なおかつ費用面で失敗のリスクを抑えられえるような小さな物件を探していました。(スパイス料理店開業・テイクアウト可/4.19坪の居酒屋居抜き物件をご契約)
・家族と2人でお店をやろうと思っており、オペレーション人数が少ないためコンパクトな物件を選びました。(丼屋開業/9.20坪のカレー屋居抜き物件をご契約)
・一人で営業するためです。カウンターメインで、テーブルは1つくらいあればよいと思っていたので、まず10坪以内であることを条件に設定しました。(居酒屋開業/4.79坪の居酒屋居抜き物件)
・立ち飲み居酒屋なので、カウンターさえあれば座席を設ける必要はないため、ラーメン屋居抜きなどのカウンター付きで10坪以下のお店に絞って物件探しをしていました。(立ち飲み居酒屋開業/8.22坪のラーメン屋居抜き物件をご契約)
上記の回答からも分かるように、テイクアウト業態や1~2人での営業を行うことを考えている方は、小さな物件に絞って物件探しを行う傾向があります。
また、中には立ち飲み屋だからこそ10坪以下の物件を探していたとの声も。立ち飲み屋の場合はカウンターさえあれば椅子などを導入する必要がなく、物件がコンパクトであっても客席部分にある程度の余裕が生じます。そのため立ち飲み屋の開業を希望する方にも小さな物件が選ばれています。
実際に小さな物件でお店をオープンした方の声
スパイスカレーが絶品のお店「クックダン」。
こちらは4.19坪とコンパクトな物件でも特に小さなサイズです。

クックダンでは、カレーなどのスパイス料理をテイクアウトできることはもちろん、店内に備わっている2つのテーブル席で飲食を楽しむこともできます。
この物件でお店をオープンさせた壇上雷太さんに、小さな物件を選んだ所以や、使用してみてのご感想などを伺いました。
この坪数だからこそ、食材に力を入れられた

壇上さん「やはりコロナ禍などの昨今の情勢もあって、この時期に自分のお店を初めて開業するとなると、先行きが不透明な中で探り探りの状態でやっていかなければいけなくなります。なので、一人で営業できて、予算もできるだけ抑えることができる小さな物件でやろうと思っていました。もちろんデリとしてテイクアウトができるようにと考えていたこともあるのですが、決して失敗は出来ないのでリスクを軽減するという面が大きかったです。」
壇上さん「この坪数だからこそ費用を抑えられましたし、そのおかげで食材に力を入れることができました。使用しているお肉は江戸時代から歴史がある一流の問屋さんから仕入れるなど、良い食材を使って手間をかけて一品一品丁寧に調理して、質の良いものをご提供できています。」
小さな物件でも、工夫次第で窮屈感を軽減
今回の取材にご協力いただいた宝町・クックダンは、全体で4.19坪と際立ってコンパクトな物件。しかしながら、5坪以下とは思えないほど窮屈さを感じません。
その要因を探ってみました。
ステンレス板による “ミラートリック”

クックダンでは、厨房スペースの壁にステンレス板が張られています。このステンレス板はとてもピカピカの状態で、鏡のように前の様子が比較的はっきりと映っています。
壁に鏡を設置することで、実際よりも奥行きを感じさせる“ミラートリック”という効果を発揮します。今回は意図して狙ったわけではなく、ステンレス版を設置してみたら結果的に良い効果を発揮したとのことですが、ミラートリックは大手テーマ―パークの施設でも使われる手法で、滞在する人に窮屈さを感じさせない効果があります。
高い天井やガラス張りも窮屈さを軽減
物件の構造に目を付けることも窮屈さの軽減につながります。
【天井の高さ】
天井の高い物件は開放感があり、窮屈さを感じさせない効果があります。

一見すると縦の高さは視覚に影響しないようにも思えますが、特に椅子に座っている時は建物内が実際よりも広く感じさせます。
【ガラス張り】
また、「ガラス張り」にも物件の小ささをカバーする効果が。

ガラスの面が大きい物件を選ぶことで、壁があるという意識が自然と撤廃されるため、こちらも窮屈さを感じない効果を発揮します。
「小さな物件を探しているものの、窮屈なお店にならないか心配」とお考えの方は、天井の高さやガラス張りの面などでのカバーについてもぜひ考慮に入れてみることをおすすめします。
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