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飲食店開業にダクトはかならず必要?店舗に設置するダクトの役割と費用相場を解説!

飲食店開業にダクトはかならず必要?店舗に設置するダクトの役割と費用相場を解説!

飲食店の居抜き物件を内見する際に、必ず確認するのが厨房設備。
中でも、給気や排気などの空気の通り道となる「ダクト」は、工事費用やその後の営業にも大きく関わる部分として重要なチェック項目となっています。

しかし、「自分が出店を予定する業態の飲食店には、どのようなダクトが必要なのだろうか…」と疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
飲食店ひとつにとっても、業態によって異なる厨房設備。ダクトについても必要性や種類が異なります。
そこで今回は、飲食店開業を目指す皆さんの疑問を紐解く為、ダクトの役割と業態別に必要な種類、設置費用の相場について解説していきます

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飲食店のリスクとダクトの必要性

「ダクト」は、屋上や壁の内部、天井裏などに配置するものであり、屋内の空気を排出して快適な環境にするための設備
防火シャッターやグリスフィルター、換気ファンといった換気設備ダクトなど、ダクトが汚れてしまうと排気機能が低下し、厨房の臭気や煙が蔓延するリスクがあります。
場合によっては、厨房に留まらず、フロアやお店の外に臭気や煙が漏れてしまい、お店のイメージが悪くなったり、近隣トラブルになったりと周囲からの評価が低下。
集客への影響のみならず、厨房内の熱が籠る原因となって従業員の働きにくさや作業効率の低下にもつながる可能性があります。

そうした営業上のリスクに備え、飲食店を開業するにあたってダクトは必ず設置すべきといえます。

ダクトの役割と種類

飲食店で使用するダクトには、いくつか種類があります。
それぞれの役割や特徴、対応する業態(店舗・施設)について詳しくみていきましょう。

空調ダクト

空調ダクトは、一般的に商業施設やビル、病院やスーパー、イベントホール、飲食店に設置され、温度と湿度を調整する目的で利用される空調設備の1つです。
特定の場所へ送風する際にも利用され、屋内の空間を快適な状態に保ちます。
衛生面でもダクトを設置するメリットは非常に大きく、空調ダクトがしっかりと動いてなければ屋内外にさまざまなトラブルが発生する可能性が高いです。

排気ダクト・換気ダクト

排気ダクトは空気を排出する機能(一方通行)換気ダクトは空気を取り入れ、排出する機能(往復)を持ちます。
人が出入りする建物には、法律によって設置が義務付けられており、基本的にビルには必ず設置されているものです。事務所や病院、高層ビル、工場、飲食店などで使用されています。

厨房排気ダクト

厨房排気ダクトは、調理をする際の煙や油、水蒸気といった汚れた空気を排出する目的で設置するダクトです。
油分除去装置や、火災延焼防止装置、集煙フードを使用することが一般的です。通常の飲食店だけではなく、パン屋、ケーキ屋、食品加工工場のほか、超高層ビルや大規模な工場にも必ず設置されています。

排煙ダクト

火災が発生した際に、建物の外へ煙を排出しスムーズに避難を行なうのが排煙ダクト。排煙ダクトは日常的に利用されるものではないですが、火災が起こるリスクに備えて重要な役割を果たします。

ダクトのカギとなる送風機

飲食店では調理を行なうことで、必ずニオイや煙が発生します。その為、吸引力が弱いと店内に充満してしまいます。
また、吸排気のバランスが悪くなると出入り口のドアが開閉しにくくなる場合もあるので、業態ごとに適切な厨房排気ダクトを選ぶ必要があります。
中でも、モーターを回転させて空気を送り出すエネルギーを与える送風機(ファン)はとても重要。空気の撹拌や循環、放熱、換気の程度を大きく左右する機器に当たります。
送風機(ファン)は、大きく分けて遠心式送風機、軸流式送風機、斜流式送風機、横流式送風機の4種類に分類されます。

遠心式送風機

円形部から空気を取り込み、遠心力でサイドの柵部分(羽根)へと直角に空気を送る送風機を遠心式送風機といいます。
代表的な例としては、シロッコファン、リミットロードファン、ターボファンがあり、風圧が高い為、ラーメン屋や中華料理店などの重飲食業態にも適しています

シロッコファンは、回転方向に対して前向きの複数の羽根がついていて多翼送風機ともいわれており、厨房のレンジフードや浴室などの天井埋め込み型の換気扇などでよく使われています。空調や換気などの用途で最も多く使われている送風機です

リミットロードファンは、シロッコファンとターボファンの中間的な送風機で、運転動力にリミット性が備わっており、風量が規定以上になっても軸動力に過負荷が起こらないような設計がなされています。

ターボファンは、主に高速ダクトなどでも使用されており高効率な送風機です。回転方向に対して後ろ向きの強度の高い羽根がついていて、効率よく空気を送り出せるように設計がなされています。

軸流式送風機

正面から空気を取り込み、まっすぐに空気を送り出すタイプの送風機を軸流式送風機といいます。

軸流式の送風機は、ケーシング、モーター、羽根車などで構成されており、空調設備のダクトの中継や冷却塔の放熱、トンネル内の吸排気など、小規模なものから大規模なものまで幅広く使われています。
分かりやすい例としては、一般住宅で見かけることが多い壁付けの一般換気扇(プロペラファン)。飲食店でも時折見かけられますが、風圧が低い上に油汚れ等で機能が低下しやすい為、重飲食にはあまり適していないといえます。

斜流式送風機 / 横流式送風機

正面から空気を取り込み、斜めの方向に空気を送り出す送風機を斜流式送風機といいます。コンパクト且つ騒音が少ない遠心式と軸流式の中間的な構造で、主にダクトの中継用として使われています。

横流式送風機は、ロール状に巻き込むようにして空気を取り込み送風機で、ラインフローファンやクロスフローファンなどともいわれてます。横あるいは縦方向に幅広く空気を送り出すのに適しているので、家庭用のルームエアコンなどでよく使われています。

ダクトを設置する場合の費用相場

ダクトを設置しなければならないと理解していても、料金が気になるという方も多いのではないでしょうか。

ダクト工事に必要な費用は、店舗の広さや業態、ダクトの状態などの条件によって大きく異なり、費用相場としては5万円~300万円と非常に幅があります
中でも、最も費用が掛かる屋上排気工事は、100万円~300万円までに及び、建物の階数によっても大きく左右されます。
想定外の費用とならない為にも、工事業者にしっかりと見積もりを依頼し負担の少ない物件選びを行ないましょう。

ダクトを設置する場合の注意点

飲食店のなかでも厨房で調理をする機会が少ないカフェや、油や煙が多く発生する中華料理店、焼肉店等では排気ダクトに求められるパワーが違います。
油や煙の出る量で、ダクトの種類は異なることを認識しておかなければなりません。

特に、居抜き物件はご自身が出店予定の業態と、以前営業されていた業態にどの程度差があるのかを確認することが重要です。
例えば、前テナントが経営していたのはカフェで、ご自身が出店するのは中華料理店という場合であれば、排気のパワーがより高いダクトに交換する必要が出てくるかもしれません。

複数の業者に見積もりを依頼する

専門業者に施工を依頼する時には、複数の業者に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討することが賢明です。
見積もりはほとんどの業者が無料で取り行い、インターネットからも申込み可能となっているので、気軽にご利用いただけます。

また、飲食店のダクト工事にあたっては、経験や知識が豊富な専門業者もありますが、幅広い工事を取り行いダクト工事の実績が少ない業者も多く存在。
見積もり書ひとつにしても、記載内容は業者ごとに異なり、内訳の詳細を記載していないケースと、内訳の詳細および追加料金の発生項目を記載しているケースがあります。実績の少ない業者では、高額費用を請求されたり、工事当日に追加費用を請求される可能性もあるので注意が必要です。
まずはどの工程にどの程度の金額がかかるのかを問い合わせし、事前に確認した上でどの業者が最適かを見極めましょう。

ダクトの工事費用を抑える物件選びのポイント

ダクトの工事費用を抑えられる物件を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
設置場所と物件の種類について解説します。

階数が多い建物ほどダクト工事に費用がかかる

厨房排気ダクトの設置にかかる工事費用は、ダクト管をどこまで引き上げるかによって料金が異なります。1階に吹き出しで設置する場合と、2階以上または屋上まで引き上げて設置する場合とでは大きなが出てきます。一般的に、ダクト管を引き上げる際には階数が1階上がるごとに20~30万円の費用がかかるとされています。
また、エアコンを取り付ける際には、エアコンの本体価格と取り付け工事費用だけでなく、屋根置や壁面、吊下げ等の室外機の設置方法と設置場所によっても追加料金が必要となります。

居抜き物件でダクトの工事費用を抑える

ダクトの設置費用を節約する方法の一つが、居抜き物件を利用すること。
前に入っていたテナントが使っていたダクトをそのまま利用することで、費用を大幅に削減することができます。
ただし、中古のダクトであるため、吸引力が弱かったり故障していたりするケースも多いので、現状の確認を取り、使用前には必ず清掃を行いましょう。

まとめ

飲食店においては、お客様や従業員が過ごしやすい環境にするだけでなく、防災・近隣トラブルの観点からも、必ずダクトを設置する必要があります。
ダクトの工事をする際には、種類や設置方法等によって料金が大きく異なるので、まずは工事業者に見積もりを依頼し最低限の費用で収まる選択をしましょう。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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