特集記事

飲食店に個室は必要?個室需要のある業態と導入時の注意点を解説

飲食店に個室は必要?個室需要のある業態と導入時の注意点を解説

飲食店開業を目指す方の中には、個室の導入を検討されている方もいるのではないでしょうか?

昨今、コロナ禍での感染リスクから非接触の接客個室需要が高まっています。外食機会が減少している中でも、飲食店の利用客は個室が完備された飲食店を好む傾向にあり、グルメサイト「ホットペッパーグルメ」が毎月公表している検索キーワードでも「個室」が上位にランクインする状況が続いています。

こうしたことから、個室は消費者にとって一つの安心材料であり、飲食店を選ぶにあたっての判断基準となっているといえます。

2022年1月ホットペッパーグルメ検索フリーワード全国集計TOP30
今月順位 キーワード 前月順位
テイクアウト
焼肉
ランチ
寿司
個室
焼き鳥
うなぎ 17
居酒屋
もつ鍋
10 しゃぶしゃぶ 10

「ホットペッパーグルメ人気検索キーワード2022年1月」(出典:株式会社リクルート)

しかし、個室を導入するといってもそう簡単なものではありません。
集客のメリットがある一方で、実際に導入する際には設計上のルールやコスト面に配慮する必要があります。

そこで、今回は個室の導入を検討するにあたって把握しておくべきメリット・デメリット、個室を設計する上での注意点について解説していきたいと思います。

「個室」の種類

「個室」といっても、空間の分け方は複数通りあります。
ここでは、「半個室」と「完全個室」の2つに分類して考え、定義や違いについて見てみましょう。

半個室

「半個室」とは、ある程度仕切られてはいるけれど、完全に独立していない空間のことを指します。

例としては、以下のようなケースが挙げられます。

・壁面の上部が抜けている
・すだれやつい立、カーテンで仕切られている
・扉がなく、二面または三面のみ仕切られている

半個室では、他の顧客と接したり人目を気にしたりすることはなくなりますが、防音性はないため基本的に声は筒抜け状態となります。
したがって、空間づくりの適正としてはある程度のプライベート感を保持しながらもカジュアルなスタイルで利用されるお店に向いているといえます。

完全個室

「完全個室」は、他の空間から孤立し、四方が囲まれドアが設けられた部屋のことを指します。
一般的に、完全個室のイメージを個室として捉えている方が多いのではないでしょうか。

完全個室では、他の視線を遮ることができるだけでなく、ある程度の遮音性も確保することができるため、確立したプライベート空間を演出するお店の場合にはこちらの方が向いているといえます。

顧客の利用としては、以下のシーンが想定されます。

・カップルの記念日デート
・友人・恋人の誕生日会
・小さな子どもを連れたママ友会
・外部に情報が漏れたくない秘密の会合
・かしこまった会食や接待

個室を導入するメリット

飲食店を開業するにあたり、個室を導入するかどうかの判断は、おおよそお店のコンセプト顧客の利用シーンをどこに定めるかによって決まってきます。

それを踏まえた上で、まずはどういったメリットがあるのかを確認していきましょう。

【1】幅広い客層を獲得できる

個室のある飲食店では、人目を気にすることなく寛ぐことができる為、年齢や客層問わずあらゆる人の来店を期待することができます。ビジネスマンが外部に漏れてはいけない情報交換をしたい時や、ママ友会で小さな子供を連れて食事をする時など、顧客が周囲への影響をもとに感じる来店のしずらさを取り払うことができます。

【2】高級感・特別感を演出できる

店内をすべて完全個室にすることでお店の格式を高めたり、店内の一角に個室を設けることで他と差別化し「高級感」「特別感」を演出したりすることができます。

また、利用シーンに合わせて顧客がお店を選択することで店舗側とのミスマッチを防ぐ効果ももたらしてくれます。

【3】一人当たりの客単価を高く見込める

個室空間において来店顧客はリラックスした状態で食事をする為、滞在時間が比較的長くなる傾向にあります。
そこで、コース料理に絞った提供にしたり、アラカルトでも追加注文をサジェストすることで通常よりも客単価アップを狙いやすいといえます。

個室を導入するデメリット

個室を導入するには、メリットだけでなくもちろんデメリットも存在します。

【1】広いスペースが必要になる

個室を導入するためには、ある程度広い物件を選ばなければなりません。個室は普通の客席よりもゆとりをもってスペースを確保する必要がある上に、客席と厨房とをしっかりと分ける必要が出てくるからです。

【2】コストが大幅にかかる

個室のお店にするためには、通常よりもコストが余分にかかります。

まず、広い物件を選ぶとなると店舗の賃料が高くなり、ランニングコストが上がることになります。店舗の内装工事費用については、壁や柱を余分に造らなければいけませんので、やはり高くなるでしょう。また、営業をまわすにあたっては、スペースが広い分、必要なスタッフも増え人件費がかさむことが想定されます。

【3】回転率が下がる

前述の通り、個室はくつろぎやすい空間であることから、どうしても顧客の滞在時間が長くなります。それは客単価アップが狙いやすいというメリットの裏で、回転率が下がるというデメリットを持ち合わせていることを意味します。

したがって、単価を低く設定し回転率を上げて稼ぎたいという飲食店には向いていないといえます。

個室需要がある飲食店

つづいて個室の導入を検討する前に、個室需要がある業態かどうかを見極めていきましょう。

居酒屋

居酒屋の中には、個室を設けているお店が多くあります。
個室のある居酒屋は、ビジネスマンの宴会や接待、友人との飲み会など周囲の目を気にせず会話を楽しみたいときによく利用されています。
また、最近では規制の強化で追いやられた喫煙者が気兼ねなく喫煙できる場として個室をウリにしている居酒屋も見られます。

そのほか、子育てママのランチや女子会でも利用されていることがあげられます。

カフェ

最近では個室のあるカフェが、人気上昇中。デートや女子会などの集まりで利用されるだけでなく、テレワークの普及から仕事をする場として利用する人も増えています。

中でも、テレワーク利用を推奨しているカフェでは、電源やWi-Fiが完備されているのはもちろん、会議室や通話スペース、プリンターまでも設置されている、まさにコワーキングスペースのようなつくりになっているお店が存在します。

くつろぎがある空間の中でも、さらにプライベート空間を得られるカフェは、今後も需要が伸びていくと予測されます。

高価格帯の飲食店

かしこまった会食や接待を目的として利用されるお店は、個室が備えられているケースが多くあります。
「懐石料理」「料亭」「高級焼肉店」などは、その代表的なものといえるでしょう。

複数人での利用を想定した個室を備える場合には、ある程度店舗の広さが必要となります。また、席数も少なくなります。
したがって、単価を高くすることが必要となります。

内装のほか、料理や接客でも高級感・非日常感を演出する……。
そのように打ち出すことで、「特別な日に利用するお店」として選んでもらうことが期待できます。

個室を導入する際の注意点

【個室需要がある飲食店】の一つとして挙げた「居酒屋」ですが、深夜に酒類を提供する場合には所轄の警察署へ「深夜酒類提供飲食店の届出」が必要となります。そして、その「深夜酒類提供飲食店の届出」をする際には決められた要件を満たす必要があり、「営業所(お店)の構造および設備」に関しても基準が定められています。ゆえに、個室を設計する際にも注意すべきルールがいくつかありますので、ここでその要点を押さえておきましょう。

【1】客室が2つ以上ある場合、客室の床面積がそれぞれ9.5㎡以上あること

客室を複数に分ける場合、それぞれ客室面積は9.5㎡以上なければいけません。(※客室の床面積は、内のり(壁面)で計測)
さらに、ここで厄介なものとして注意しておくべきなのが、店内が1室に見える場合であっても、客室の内部に「見通しを妨げる設備」がある場合には、2室としてみなされ、床面積の要件を満たしていないと判断されるケースがあるということです。

【2】客室の内部に「見通しを妨げる設備」を設けないこと

厄介なケースとして上記に挙げた「見通しを妨げる設備」ですが、警察の解釈運用基準では、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子などの、高さがおおむね1メートル以上のものをいうとされています。

つまり、1メートル以上の高さがあるものを設置する場合には、そこで客室が区切られてしまうということです。

なお、東京都では原則として「客室のどこか一箇所から全体が見渡せれば良い」とされていますが、必ずしもこの原則が適応されるとは限らないですし、自治体によっては異なる取り扱いをしているところもあります。したがって、インテリアの一部として客室に置いた1メートル以上の観葉植物やグラス棚、スタンドライトなど、一見、設備とは思えないものが、法律上見通しを妨げる設備として判断される場合もあるので注意が必要です。

【3】客室の出入口に施錠の設備を設けないこと

店内に個室を設けた場合、その個室に鍵を設置することはできません。ただし、お店の外に直接通ずる客室の出入口については鍵を設置することはできます。

まとめ

近年、人気となっている個室のある飲食店。
個室を備えることにより、幅広い客層の来店が見込める一方で、コストや回転率の面でが下がるデメリットもあります。

いずれにしても、「どういった目的で個室を導入するのか」「お店のコンセプトに合致しているのか」「費用対効果は見込めるのか」といった視点で検討することが大切です。

開業を果たした先輩オーナーの
【個室を導入した店舗】(実例)はこちら!
ぜひ参考にしてみてください。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
物件のご紹介はもちろん開業までをサポートいたします!


簡単30秒で会員登録完了!

飲食店、物販、テイクアウトなどの店舗物件をご紹介します!

Copyright © 居抜き店舗ABC, All Rights Reserved.