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【新規開業者必見】飲食店舗の物件探しにおいて知っておきたいお金事情

飲食店舗を開業・出店するにあたって大きく悩むのが物件選び。
中でも、『費用』については誰もが気にするポイントですよね。
ABC店舗で実施しているご契約者様アンケートにおいても、『物件探しで重要視していた要素』に “物件取得費”を上げる方が82%、 “賃料”を上げる方が91%と、ほとんどの方が費用面を重要視していることがわかっています。(*アンケートは複数項目回答可)

しかし、物件を探すにあたって、
「何にお金がかかるのか」「どのくらいの金額かかるのか」
みなさんはきちんと把握出来ていますか?賃料だけで判断していませんか?
飲食店を開業する際に契約する事業用物件と、住まいとしての居住用物件とでは大きく異なります。
したがって、物件探しにおいても確認しておくべきポイントはもちろん変わってきます。
その為、「予期せぬ費用がかかって困った」といった事態にならないよう、事前に把握しておくことが必要です。
居住用賃貸物件と事業用賃貸物件にかかる費用の違い

今回は、物件取得費用にかかる賃貸条件について、ABC店舗で掲載の図面をみながら解説していきます。
内訳を理解できるようになれば、ご自身での見積もりもスムーズにできるのでぜひ参考にしてみてください。

【1】保証金
契約期間中に滞納があった場合の家賃債務や、部屋を損傷させた場合の修理費等、借主が負うことになる金銭債務を担保するものとして、契約時に貸主へ支払うお金です。契約が終了して退去する際、保証金(敷金)の額から「家賃滞納分や借主に責任のある損傷の修理費等(賃貸借期間に生じた借主の金銭債務の額)」を差し引いた金額が返還されます。
「賃料の△カ月分」と記載がある場合、【賃料(税抜き)× △カ月】で金額を計算。また、保証金および敷金は、預け金である為非課税です。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 | |
---|---|---|---|
店舗 | 事務所 | ||
表記 | ”敷金” | ”保証金” | |
相場 | 賃料の0~1か月分 | 賃料の3~10か月分 | 賃料の1~6か月分 |
【2】償却
原状回復や清掃クリーニング等に伴うお金として、事業用賃貸物件では契約時に預けた保証金から一定の金額が差し引かれます。つまり、償却が設定されている場合、預けた保証金の金額そのままに返還される訳ではないということです。
一般的に、「解約時、償却〇か月分」と解約時のみ差し引かれるケースが多いですが、「更新時、償却△か月分」と更新の都度差し引かれる場合もあるので要注意です。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
相場 | 無し (別途クリーニング代等) |
賃料の1~3か月分 |
【3】礼金
賃貸部分を所有する大家さんに対して『貸してくれてありがとう』といったお礼の意味で、契約時に貸主へ支払うお金です。保証金(敷金)と違って、退去時に返還されません。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
相場 | 賃料の0~1か月分 | 賃料の1~2か月分 |
【4】賃料
賃貸借契約に伴い、場所代として借りる毎月貸主へと支払うお金です。金額については、エリアや立地、物件のスペックによって異なるので、まずは出店を希望しているエリアの相場を確認しておきましょう。
【5】管理費
賃貸物件において共用部分の維持・管理をするための費用(清掃費や電気代、メンテナンス費等)として支払うお金です。金額については、物件によって異なります。
【6】更新料
当初の賃貸借契約期間が満了後も契約を継続する為に、更新時に貸主へ支払うお金です。
また、更新料の有無や料金については、地域性があり全国共通ではありません。地方では更新料0の物件も多く存在しますが、関東圏では新賃料の約1カ月分か、それ以上の金額が一般的です。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
相場 | 新賃料の0~2か月分 | 新賃料の1~2か月分 |
【7】更新事務手数料
賃貸借契約を更新するにあたって、貸主または仲介の不動産会社へ支払う手数料のひとつです。更新をする上でも賃貸借契約書の作成や火災保険の加入手続き等のさまざまな事務が発生しますので、これらの事務手続きを円滑に進め、契約の安定化を図る為に必要な経費とされています。
【8】店舗資産譲渡料
居抜き物件(前テナントが営業していた状態で引継ぐ物件、または一部内装や設備、備品等の造作物が付帯している物件)には、賃貸箇所内部の造作物に対し譲渡を受ける費用として譲渡料がかかるケースがよくあります。契約時に賃貸借契約と並行して、店舗資産譲渡契約を借主と前テナントとの間で締結し、互いに了承した範囲の造作物に対して前テナントへ支払うお金です。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
相場 | 無し | 無償~200万円 |
【9-1】不動産手数料・企画料/仲介手数料
物件を契約するにあたって仲介を行なった不動産業者へ支払うお金です。
賃貸借契約の場合、「仲介手数料」は宅建業法上、「賃料の1カ月分」が上限として定められています。
その為、居抜き物件にかかる店舗資産譲渡契約を締結する場合は別途仲介手数料が発生しますので、賃貸借契約にかかる仲介手数料を「不動産手数料」または「企画料」として表記されるケースが多くあります。
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
表記 | ”仲介手数料” | ”企画料” ”不動産手数料” |
相場 | 新賃料の0~1か月分 | 新賃料の1か月分 |
【9-2】店舗資産譲渡契約にかかる仲介手数料
物件種別 | 居住用賃貸物件 | 事業用賃貸物件 |
---|---|---|
相場 | 無し | 賃料の1か月分 |
【注意】
その他にも、商店会費や看板掲載費、駐車場利用料金等通常かかる費用に加えて物件ごとにかかる費用が存在します。
募集条件の詳細や備考欄に記載されている場合ははじめから確認が取れますが、不動産業者によっては図面上に記載していない場合も多々ありますので注意しておきましょう。
また、ABC店舗のように電気・ガス等のインフラやゴミ処理、火災・損害保険が指定業者と契約をお願いしている場合もありますので事前に確認しておくことが重要です。
スケルトン物件と居抜き物件で開業費用を比較
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スケルトン状態(=内部の床・壁・天井・内装等が何もなく、コンクリート打ちっぱなしの状態)から店舗づくりを始めた場合、どんなに小さな店舗でも最低500万円は費用がかかるといわれています。
一方で、居抜きの状態から店舗づくりを始めた場合、居抜きの程度や出店者のこだわりによってもかわりますが、おおよそ内装工事費用を5~8割程度抑えることができるので、開業にかかる初期費用としてはかなりコスト削減を図ることができます。
物件種別 | スケルトン物件 | 飲食店舗居抜き物件 |
---|---|---|
相場 | 小規模:500~1000万円 中規模:1000~1500万円 |
小規模:300~600万円 中規模:800~1200万円 |
ただし、居抜き物件は前テナントが営業していたまま引継ぎとなるケースがほとんどなので、物件によっては厨房機器が故障して使えなかったり備品が古く処分することになったりと、予期せず落とし穴が見つかる場合があります。
契約後にトラブルにならない為にも、現地を何度か内見して細部まで確認しておきましょう。
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