インタビュー
街に少ないコンセプトで潜在的顧客を掴み常連化した、蒲田のスペイン料理店

- 目次
金曜夜は1日2回転を記録するヒット!
センベロ飲み屋を始め、激安の飲食店がひしめく東京・蒲田。
飲食激戦区でもあるこの街で、客単価4000円というミドルラインのダイニングで差別化を図るのが、スペイン料理店「ワイン&パエリア Blanco」だ。
オーナーはホルモン料理店やイタリアンを経て、スペイン料理店で計5年修業を積んだ宮崎龍太さん。
「蒲田にはスペイン料理店が1店くらいしかありません。パスタ店だと競合が多いですし、前職ではパエリアを担当していたので、それを看板にしようと業態を考えました。また、蒲田には航空関係の方々が多い他、可処分所得の高い方も住んでいる。そういった方々や、女性の方が一人でも来られるお店にしようと思いました」と宮崎さん。
立地はちょうどオフィス街と住宅地の狭間。大通りから1本入った路地は、夜になると人通りがなくなる。一方で、隣は昼に行列ができる人気店。隣店に行く途中、行列に並んでいるときに目に入るだろうと、現物件の価値を見出した。
お客からは「こういうお店、蒲田にはなかったよね」との声も挙がり、リピート客も徐々に拡大。
現在、金曜の夜は2回転するほどの人気店に成長しており、平日でも貸切宴会などを獲得、売上げは右肩上がりと好調だ。

開店2ヵ月での種まきが奏功し、3ヵ月目から好調
今でこそ波に乗っている同店だが、オープン後2ヵ月間は1日2テーブルしか回らなかったという。
初期投資額は1000万円。借入金をまるっと投資し、自己資金の500万円を運転資金として残しておいたことで、日々の営業は回すことができた。しかしスタッフを採用していたこともあり、不安な日々が続いたという。
「3ヵ月目から、安定してインターネット予約が入るようになりました。そこから貸切予約も入るようになり、売上げも安定しましたね。周辺は中小企業や個人経営企業も多く、約20人で貸し切れる中規模のこの物件にもニーズがあったようです」と宮崎さんは分析する。
同時に一度来店してくれたお客には、「また来たい」と思ってもらえるような“種まき”を十分に行なった。その結果、1回来店してくれたお客が、貸切予約をしてくれるケースが増加。
お客が来ないからこそ、来て頂いたお客に満足のいくサービスを行なう。これが奏功し、今の成果につながっているのだろう。

1人前パエリアなど、一人客に嬉しいメニューで構成
料理にもファンがついており、なかでも「魚介のパエリア」は宮崎さん自慢の一品。
締めの食事として以外に、ワインと合うつまみとしても楽しめるよう開発したパエリアは、グランドメニュー3品に、季節の食材を使ったパエリアも月替わりで差し込む。
「特徴は米にしっかりと魚介出汁をきかせることです。また、米と同じくらいの大きさになるよう、海老を細かくカットして炊くことで、米と海老の食感が楽しめる他、海老からもおいしい出汁が出ます」と宮崎さん。
スペイン料理店のパエリアは2~3人前が主流だが、同店では1人前パエリアも用意。また一人客限定で注文できる、お通しとアラカルト2品、ドリンク1杯で1200円の「ちょいのみセット」なども揃え、一人客に優しい店を目指している。
「常連のお客さまでカウンターが埋まるお店が理想です。お一人でもゆっくり楽しめるようカウンター席を造り変えたので、食事やバー使いなど、毎日でも顔を出してくれる方々を獲得できれば」と宮崎さんは話した。

蒲田にはなかった一軒。 お客や時代に合わせて進化を続ける
2017年夏に独立を思い立ち、半年の物件探しの末見つけた現物件。20軒ほど内見したなかで最も規模が広かった。一方で予算オーバーではあったが、オフィス街と住宅街の中央で、駅からも近いことも決めての一つとなった。
激安居酒屋の多い蒲田のなかで、しっかりとした食事とワインを提供し、客単価4000円をとることで近隣飲食店と差別化。
女性が来やすい空間や、一人客に嬉しい1人前パエリア、ちょいのみセット、グラスワイン500円などのメニュー構成が、潜在的な客層の掘り起こしにもつながっているようだ。
店名の「ブランコ」は、スペイン語で「白」の意味。
何の影響も受けない白を出発点に、時代の変化に合わせた“カラー”を、常連客とともに生み出していきたいとの想いを込めている。
【ワイン&パエリア Blanco】店舗情報
- 店名
- ワイン&パエリア Blanco
- 住所
- 東京都大田区蒲田5-43-7 ロイヤルハイツ蒲田1F
- 電話
- 03-6715-8388
- 営業時間
- [ランチ] 11:00~16:00(予約)
[ディナー] 16:00~24:00(L.O.23:00) - 業種
- スペインバル
- 注目のキーワード
- おすすめの記事