街レポート
世田谷区|松陰神社前はどんな街?居抜きの物件で飲食店開業するための街情報
- 目次
駅名にもなっている松陰神社や、国士舘大学のキャンパスがある松陰神社前駅周辺は、東京23区の中でも落ち着いた雰囲気の街です。
昔ながらの老舗と新しい店が元気に営業している商店街や、つい散策したくなる趣ある街並み、店主のこだわりが垣間見えるおもしろいお店たち。
今回は、新しさと懐かしさが共存する松陰神社前駅の魅力についてご紹介します。
松陰神社前駅に住んでみたいと考えている社会人や学生、また飲食店進出を計画しているオーナーは、ぜひ参考までにご一読ください。
ちょっとレトロな世田谷線が走る街
三軒茶屋と下高井戸をつなぐローカル線 東急世田谷線は、そのレトロな佇まいとこじんまりとした車内の雰囲気にファンも多い電車です。
わずか2両の列車が住宅街の中を走り抜けていく様は、はたからみていても和みますし、車窓からの眺めもどこかのんびりとしていて落ち着きます。
また交通アクセスも便利で、世田ヶ谷線で2駅の三軒茶屋駅へは5分ほどで到着しますし、そこから田園都市線に乗り換えれば渋谷まで20分ほどで行くことができます。
反対に下高井戸駅まで出て、京王線に乗り換えれば新宿までは30分弱 で辿り着くことができ、都内の主要駅にも意外と出やすいのが特徴です。
また、電車以外にバス交通も充実しており、駅から少し歩いた世田谷通りでバスに乗れば、渋谷駅や五反田駅、田園調布駅などにも出やすくなっています。
”学問の神様”「松陰神社」ってどんな神社?
松陰神社は、その名の通り、幕末の思想家であり教育者の吉田松陰を祀っている神社です。
松蔭は、幕末期に存在した私塾「松下塾」の指導者としても知られており、彼が指導した短い期間の塾生の中から、高杉晋作、伊藤博文といった明治期の日本を牽引した人材が数多く排出されました。
そのため、明治維新の精神的指導者としても歴史にその名を残しています。
松陰は30歳の若さで処刑されてしまいましたが、門下生によって世田谷区若林の地に改葬され他ことによって、この地が松陰神社となりました。
ちなみに、現在みることのできる神社の社殿は昭和2年〜3年にかけて造営されたものです。
近年では、学問の神様として名高く、受験シーズンなどには多くの参拝者が全国から訪れています。
また毎月第一日曜日には、商店街の軒先やポケットパークにさまざまな出店者が出店する「松陰神社のみの市」も開催されています。
神社の参道の、元気でやさしい商店街
松陰神社駅を降りて、神社へ向かう通り沿いは”松陰神社通り”商店街”という商店街になっています。
よく目にする駅前の風景とは異なり、チェーン店よりも個人店が多い印象で、その分街ならではのオリジナリティを感じさせてくれる商店街です。
地元の人たちとお店の人たちの距離が近く、道々で挨拶が交わされている様子は、古き良き商店街の趣を感じさせてくれます。
客層は若い人やお子さん連れも多く、どことなく文化的な雰囲気も感じられます。
顔馴染みが多いのか、交わされる会話にも温かみがあり、この商店街が、街の人たちが集い、交流する場所であることを感じさせてくれます。
商店街には、本屋さんや個人経営ののカフェや飲み屋、昔ながらの八百屋や魚屋などバリエーション豊かな店舗が軒を連ね、今と昔が程よく調和して独特の雰囲気を醸し出しています。
商店街では毎年10月に「幕末維新祭り」というお祭りも開催され、吉田松陰ゆかりの山口県萩市や福島県会津の特産品の販売や幕末の衣装をまとった人たちが練り歩くパレードが行われています。
永く愛される松陰神社前の老舗たち
松陰神社前には、古くからこの地に店を構えるお店も少なくありません。
創業80余年の老舗うなぎ屋「一二三本店」や、1912年創業の老舗パン屋「ニコラス精養堂」、ファンシーな店構えにどこか昭和の面影を残している街の駄菓子屋「ロンゴロンゴ」などは、地元の人から永く愛されているお店の代表格です。
ちなみにロンゴロンゴは、店内にぎっしりと並べられた駄菓子に子供も大人も魅了されてしまうこと間違いなし。
他にも、古くから営む八百屋や魚屋なども、松陰神社前にはたくさんあります。
また、1804年創業の老舗お煎餅屋さん「MATSUZAKI SHOTEN(松崎商店)」は、東銀座に本店を構える創業200年を超える老舗ですが、『地域密着・原点回帰』をテーマにしたコンセプトストアを松陰神社前にオープンさせました。
場所選びの際には「長く商売を続けられる街」という視点で物件探しを行い、オープン先を、ここ松陰神社前に決めたのだそうです。
わざわざ訪れたい、トレンドの店がいっぱい
一方で松陰神社前駅には、トレンド感溢れるおしゃれで素敵なお店もたくさんあります。例えば、韓国語で”わたあめ”という意味をもつ韓国雑貨店「Somesatang」。
ふわふわとした可愛いらしさをコンセプトにハンドメイドやインポートの商品を扱っている人気店です。
他にもドイツやチェコなどヨーロッパや日本の文房具や雑貨を扱う「1mm market」、グラフィックデザイナーのオーナーがセレクトした雑貨やアパレルを扱う「This___」など、松陰神社前駅に行ったなら、巡りたいお店がたくさんあります。
松陰神社前のグルメ
どこか懐かしいノスタルジックな雰囲気の店
名前からして昭和を感じさせてくれる「 旭屋パーラー」は、吹き抜けのある3階建ての建築が特徴的な喫茶店です。
たまごサンドやあんこトーストなど純喫茶風のメニューを美味しいコーヒーとともにいただけます。
また、築50年以上の木造アパートをリノベーションした建物「松蔭PLAT」内には、カフェアンドギャラリー「タピラコ」や、美味しいクラフトビールとパンがいただける「good sleep baker」などモダンな雰囲気の中にもどこか懐かしさが見え隠れするお店が入っています。
ステキなパン屋がある街
毎日の食卓に欠かせないパン。住みたい街の条件は、「おいしいパン屋さんがたくさんある街」という人も多いのではないでしょうか。
松陰神社前には、そんなパンの名店がたくさんあるんです。
まず、明治45年から続く老舗パン屋の「ニコラス精養堂」。パンの種類は100種以上で、幅広い世代に愛されているパン屋さんです。
そして、親しみやすい店内にかわいいパンがたくさん並んだ「ふぁんぱん」や、パティシエ出身のご夫婦が営む「ブーランジェリースドウ」、そして山梨県産小麦を使ったパンが特徴の「フォルトゥーナ」など、地元の人々に愛されるこだわりのパン屋が営業しています。
ちなみに、ブーランジェリースドウの食パンは一ヶ月の予約待ちというほどの人気なのだとか。
また、パン屋ではありませんが、街のケーキ屋さん「Merci BAKE(メルシーベイク)」も有名です。
こちらでは、瓶の中に入ったレアチーズケーキやおしゃれな焼き菓子を多数取りそろえています。
「おいしいパンやケーキを毎日食べたいからこの街に住む」という、ちょっと不純な動機にもふさわしい魅力あふれるお店の数々が、ここ松陰神社前にはあるんです。
散策がてらのカフェ巡りも楽しい
松陰神社前には、意外とカフェがたくさんあります。散策の休憩に、リモートワークの息抜きに、友達とのおしゃべりに、こだわりの空間でいただくコーヒーや趣向を凝らしたメニューが日常をリフレッシュしてくれます。
肉・魚・野菜をバランスよくとれる定食や惣菜が人気のカフェ「STUDY」は、地域密着方の大衆食堂であると同時に、惣菜をテイクアウトすることもできるお店です。
松陰神社前に個性的なお店が増えたのも、このお店がきっかけだったと言われています。
また、ついつい長居してしまいたくなる落ち着く空間が魅力の「えんとつ」では、ランチの「お野菜のおばんざいプレート」などホッとする味を楽しめます。
そして、自家焙煎のスペシャリティコーヒーをいただける「珈琲家あのころ」や、おいしいコーヒーと月替わりの限定ドリンクや焼き菓子もいただける「カンノンコーヒー」など、松陰神社前には、ついつい立ち寄りたくなるお店がたくさん揃っています。
松陰神社前駅周辺の再開発
ユニバーサルデザイン化整備
松陰神社前駅周辺は、1998年から松陰神社通り周辺地区のユニバーサルデザイン化を進めてきました。
「やさしい商店街づくり推進連絡会議」を発足させ、商店街、地域住民、地元大学、障害者NPOなどと連携しながら、バリアフリー化を推進してきました。
2005年には、松陰神社通りのユニバーサルデザイン化工事に着手し、翌年完成しています。
街のプラトホーム、松蔭PLAT
2015年に開業した「松蔭PLAT」は、築50年以上の木造アパートをリノベーションしてできた複合施設です。
カフェから雑貨店、花屋など、1階と2階合わせて9つのショップや事務所が入っています。
のんびりとした雰囲気の松陰神社前にぴったりのスポットで、街のプラットホームとして、散歩の途中や、区役所の手続きの待ち時間などに、ホッと一息つける場所として多くの人に利用されています。
「共悦マーケット」惜しまれつつも取り壊し
松陰神社通り商店街には、1959年年築の小さな木造建築アーケード街”共悦マーケット”がありました。
わずか30mのアーケードに、古本屋兼シェアオフィス、定食屋、レコード屋、蜂蜜屋、居酒屋、フランス料理屋などが軒を連ね、松陰神社前ならではの独特の雰囲気を作り出していました。
しかし、老朽化と耐震性の問題、そして大家さんの高齢化などの理由から2019年に取り壊しが決定し、2021年に実行されました。
取り壊しが決まってからは、地元の小学生や写真家など共悦マーケットを愛する人たちの手によって、写真展や演劇の催しが作られ、最後の最後まで地域の人々に愛されて62年もの長い歴史の幕を閉じました。
どんな飲食店が出店チャンス!?
松陰神社前は東京都内の中でも地域密着型のお店が多く、地域ぐるみでのみの市が開催されたり、商店街の繋がりも強く、街全体で緩やかなコミュニティを形成しているイメージがあります。
また、チェーン店が少なく、個人店が多いのも街のオリジナリティにつながっています。
住民とお店の人がフラットな関係を築きやすい街だからこそ、こだわりを追求したお店や、人々が集い横の繋がりが生まれていくような地域のプラットフォームのような場所が求められていたり、地域住民や散策に訪れた人がホッと一息つけるようなカフェの需要が高いのもうなづけます。
松陰神社前でお店を開くなら、カフェやビストロのようにコーヒーやお酒を片手に店主やお客さんと横のつながりを広げていけるようなお店が成功しやすいかもしれません。
ジャンルにはとらわれず、今ある地域コミュニティの輪をさらに広げていけるようなお店なら、自然と人が集まって来るのではないでしょうか。
周辺の主なスポット
国士舘大学 世田谷キャンパス
世田谷区役所
東京都世田谷都税事務所
世田谷税務署
東京法務局世田谷出張所
世田谷区立世田谷図書館
日本聖公会東京聖十字教会
似た地域
西荻窪
杉並区の西荻窪は、松陰神社前同様にローカルな街として知られています。オーナーの個性が光るお店が多く、街が持つ雰囲気がどことなく松陰神社前に似ています。
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戸越銀座は日本一長い商店街がある街として知られています。商店街が元気で、地元民から愛されている老舗も多い点が松陰神社前と共通しています。
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三軒茶屋
三限茶屋は同じく世田谷線沿線の街です。松陰神社前駅より街の規模は大きいものの、若者が集まるおしゃれなお店が多い点は、松陰神社前にも似ているところがあります。
どんな客層
【平日/昼】
松陰神社前駅には国士舘大学のキャンパスがあり、学生街としての顔も持っています。そのため平日の昼間は、地域住民に加え学生の需要が多く見込めます。
のんびりとした雰囲気の街なので、散歩や散策を楽しむ人も少なくありません。ランチの平均価格は1,000円以下です。
【平日/夜】【土日】
松陰神社前駅がある世田谷区の夜間人口比は、東京都の中でも最も多いと言われています。そのため、平日夜や週末は、近隣在住のファミリー層の需要が増加することが予想されます。
魅力的な店が多いので、週末などにはわざわざ訪れてお目当ての店で買い物を楽しむ人も少なくありません。
また、普段は落ち着いた駅ですが、国士舘大学や中高の受験の時期には、臨時駅員が導入されるほど多くの人で賑わいます。ディナーの平均価格は、3,000円〜4,000円です。
人口特性
松陰神社前駅のある世田谷区の人口は、2022年2月1日のデータで、915,640人となっています。
世田谷区には488,894世帯が住んでおり、男女比は、男性が433,470人、女性が 482,170人で女性の人口が多めです。
松陰神社前駅周辺の若林1〜5丁目と世田谷1〜4丁目 を合計した人口は、20,827人となっています。
乗降人数
松陰神社前駅には、東急世田谷線が乗り入れています。2018年の松陰神社前駅の乗降者数は、11,462人となっています。
2012年から大きく変動することなくほぼ横ばいで推移していますが、2018年と2014年にやや大きく増えています。
東急線全体でみると松陰神社前駅の乗降者数は80位ですが、世田谷線内のみでは終点の三軒茶屋駅と下高井戸駅に次いで3位となっています。
賃貸相場
松陰神社前の賃貸相場は、ワンルームで約7.2万円、1Kが約8.7万円、1DKで9.2万円 となっています。
また、2DKや1LDKになると12.3万〜13.7万円、2LDKになると22.8万円となっており、世田谷線の近隣駅と比べてみると、上町や世田谷よりは高めですが、若林や西太子堂に比べると少し安い相場ということがわかります。
住みやすさに定評がある街で、カップルやファミリーにも人気があります。
店舗賃料相場
松陰神社前駅周辺の店舗賃料は、全体の80%が20万〜40万円、残りの20%は20万円以下となっており、比較的賃料相場はリーズナブルにテナントを借りることができます。
松陰神社前駅の平均坪単価は20,804円で、最高坪単価が29,700円、最低坪単価が14,129円となっています。
ここ数年の平均坪単価の動きをみてみると、2020年に大きく上がったものの2022年には元の数字を下回る額まで落ちており、相場には波があるようです。
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