開業ブログ

【第52話】新業態開発(鶏のから騒ぎ2号店)

山田 耕路さん

こんにちは、焼鳥酒場 鶏のから騒ぎ 中の人のこー爺(じぃ)です。

2月・3月と売上目標は達成したものの、特に3月は思うような売上が取れず。最後まで本当に苦しい営業でした。

鶏のから騒ぎの現在の1日の平均売上は7万円程度ですが、3月中旬時点では月間売上の目標値に対して20万円以上落としており、挽回がかなり苦しい状況でした。

しかし、日々の積み重ねでしょうか。予断を許さないぎりぎりの数字の攻防の中、お客様に助けられて、営業最終日、目標値まであと2600円というところ。ここで店内がノーゲストになってしまい、閉店作業へ移行するかと諦めかけていた、その時!2組3名様がご来店!なんとか月間目標を達成することが出来ました。

正直、開業してから1番苦しい月だったかもしれません。

お店を立ち上げてから重要なのは、お店を立ち上げるのがゴールではなく、お店をいかに維持していくかです。

まずは月間の売上目標を策定し、日ごとに割り振りして数字を追いかける癖をつけるのが良いですね。その数字をアルバイトまで落とし込めて常に意識出来れば、売上が必然的に伸びてくると思います。

飲食店は開業後3年間で7割が撤退していくと言われていますが、あながち間違いではありません。資金さえあれば参入障壁が容易な飲食業ではありますが、たいていの開業希望者は料理に自信はあるけど、料理だけ、という人が圧倒的に多いんですよね。

総務・経理・人事・マーケティングを経験した事はありますか?

おそらくほとんどの方が店内調理やホールオペレーションは経験済み。店長やマネージャーも経験したことあるよ、と言われるでしょうが、独立したらそれだけの知識じゃどうにもならないのが社長業です。

こー爺(じぃ)の場合は、会社員時代、何人かの社長の側近でいられたのが大きかったですね。社長が普段、問題をどのように捉え、どのように解決していくのか、判断と決断を繰り返す様子をそばで観察出来たことが非常に大きな財産のひとつになりました。

逆に、過去の成功体験を踏襲して挑戦を恐れ、失敗していく過程なんかは将来の自分への戒めになりました。また、内勤も10年以上経験したので、総務や経理の仕組みを身近で知れたことは大きかったなと。


 

さて、昨年は4月末より緊急事態宣言の為に酒類提供禁止となり、泣く泣くお店を休業せざるを得ない状況でした。

約半年間お店を営業できなかったわけですが、その間に何もやっていなかったわけではなく、実は同じ中板橋駅周辺でもう1店舗出店を検討していました!

1年以上中板橋で営業していると、当然のことながら立地状況や同業他社の分析が判ってきます。

今回十分にマーケティングした結果、企画したのが、

テーマ:「廻らない回転寿司」 です。

酒類提供禁止の中、世間で注目を浴びたのが焼肉業態
大手チェーンではいち早く目を付けたワタミグループが業態転換を積極的にされていたのも記憶にあるはず。現在も絶好調みたいですよね。

でもね。
焼肉は内装設備に莫大な投資が必要だし、肉は外国からの輸入に左右されやすいから価格変動が大きく、こー爺(じぃ)としては良い面ばかり鵜吞みにすることはできませんでした。長期的には回収がうまくいくのか疑問です。

そんな中、頭の良い飲食業経営者たちが目をつけていた業態が実はもう一つありました。

それが、寿司業態です。

寿司屋では、客単価3万円位の業態内容を8000円位に抑えて家賃の安い空中階に出店するのが密かなトレンドになっていたのです。

こー爺(じぃ)は上記の立地条件とは違って、ローカルな街である中板橋をマーケティングの側面から捉えて考察しました。

中板橋駅周辺に寿司屋は3件。お持ち帰り寿司1件、海鮮居酒屋2件、海鮮定食屋1件、魚屋0件をリサーチ済み。回転寿司は隣の駅に2件あるものの、中板橋には無い。

そして今回、中板橋駅前の大手スーパー本店のまん前に物件が空きました。注目した一つが、坪数。約21坪。

鶏のから騒ぎが約12坪の為、その倍の広さ。実現したら創業店から近いので人材の貸し借りも出来るし、何より目が届きやすい。いわゆる、ドミナント戦略です。

もう一つの注目点が、アルコールは無くても回転寿司は商売が成立しているところ。
もちろん生ビールが飲めた方が売上UPにはなりますが、回転寿司にご来店するお客様はアルコール目的ではなく、あくまでも寿司を食べに来ています。

この時点で酒類提供禁止がどのくらいの期間続くのか分かりませんでしたが、検討する価値があると判断して、プロジェクトスタートです!


 

まずは建築施工会社3社に物件を内見してもらい、おおよその希望レイアウトを伝え、ざっくりと見積りを出してもらいます。

当初の回転寿司構想は回転レーン設置でしたが、費用がかさむことと、コロナ禍で空気中に数分間お寿司が回りながらむき出しになるのは如何なものかと思い留まり、代わってコの字型のカウンターにレイアウトしてもらい、奥の席はファミリー客用にボックス席を設置。

少数でもファミリー客でも対応出来るように、店内のレイアウトを最大限活かす配置に詰めていきました。理想は、21坪で30席。

さらに、軒先は魚屋兼浜焼きスタイル。
中板橋には無い魚屋の機能を持ちつつ、サザエや牡蠣などを毎日食べ歩きできるような賑やかな店頭。もちろん寿司のテイクアウト販売も行います。総菜屋やおでん屋、漬物屋、八百屋など古い店舗が並ぶ通りだけに、違和感はないですし、たこ焼き屋も近くにあるので食べ歩き文化も構築しやすい。

魚も現状、スーパーしかないので品揃えや鮮度も選択の余地が無く多少悪い物でもしょうがなく買っていく殿様商売に、我々は真っ向から勝負します!

小さな店頭でばんばん魚や貝が売れていく妄想が止まりませんね。イメージする業態としては、「角上魚類」さんです。

高齢者層も多い中板橋地区ですが、パートの積極採用も行い、街の活性に一役買います。元気であれば90歳位まで迎え入れようかと。また、板橋区の就労支援施設とも提携します。

順調に準備が整いつつありました。

気になる店舗名ですが、

『寿司酒場 ネタの踊り喰い』

をを!?
から騒ぎグループ2号店として、またユニークな名前で企画してみました(笑)

ですが…

家賃が38万円!

中板橋ではかなり高いんですよ…
しかもテナントはプレハブ小屋みたいな感じで、夏は暑く、冬は寒い。水道管は生活用水で事業用には工事が必要。場合によっては店頭前の地中を掘らなければなりません…

そして極めつけには、まさかの定期借家契約5年。

はい。5年でこの規模の投資回収は不可能です。

ただ、管理している不動産屋さんが“中板橋をもっと活気ある商店街に生まれ変わらせたい”という漢気溢れる想いを持った方だったのがラッキーでした。

ラーメン屋など中板橋に多くある業態を断り続け、中板橋住民に喜ばれそうな会社からのエントリーを優先される担当者。こー爺(じぃ)の提案には大いに乗り気です。

大家さんに定期借家契約をせめて10年に変更してもらうところまではなんとかなりました。ですが、家賃減額には首を縦に振ってもらえません。

この時、串カツ田中や大阪王将などの大手も検討されていましたが、テナントの場所は良くてもテナント自体が上記の通りプレハブなので投資金額がどこまで抑えるかで各担当者が苦労しています。こちらも見積もりからレイアウト変更など、なるべく安く手掛けられるよう連日打ち合わせでした。

ですが、やっぱり大家さんが動かない。
半年過ぎても借り手がつかないのですが、家賃減額交渉はまったく駄目。生活用排水管のC工事(大家さん側に事業用排水管に工事・変更してもらう)は嫌がる。かといって運営方法に首を突っ込んでくる。

管理している不動産屋さんもお手上げ状態です。

大手も結局交渉の余地が無い為続々撤退。残ったのはうちだけ。
こうなったら大家さんと根競べです。

創業2年間は日本政策金融公庫の特別枠が適用出来るため、今年の3月いっぱいまでに申請出来れば特別融資が借りられやすい為2月までにこちらの条件について返事をくれればお借りしますと伝えました。

ちなみに各設計事務所の仮のイメージ図を載せてみますね。

 

ローカル地域にこんな立派なお店が出来たらワクワクしますよね!

…しかし、残念ながら2月末の期限を迎え、大家さんからの返答は無かった為、このプロジェクトは終了しました。

各業者さんには最後までご協力頂き、感謝の念に堪えません。

ちなみに、この21坪の寿司居酒屋。実現した場合の投資額だと、いくらくらいになるか分かりますか?

そうですね、だいたい総予算3200万円弱くらいでしょうか。
設備・内装費で2400万円位かかります。

なかなかですよね。

それでも収支計算では、中長期経営計画で売上不調だったとしても、10年で経常利益累計2億円以上を稼ぎ出す計算でした。業態が上手くはまれば、それこそ出店計画も加速しただけに残念です。

今回は約2年ぶりに業態開発をして楽しかったのですが、実現までには至りませんでした。

が、悲観することなく。実は…

次の新しいプロジェクトが3月より密かにスタートしました!!

こちらも次回以降のブログで徐々に情報を解禁していきたいと思います。是非お楽しみに!

本日も最後までお読みいただきまして有難うございました。飲食店運営の他に、飲食業コンサルタントも始めました。

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実際に飲食店舗を開業して継続運営しているこー爺(じぃ)の経験値を生の声でお伝え、支援しています。物件情報については、ABC店舗さんでもご相談頂けます!

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記事を書いた人
山田 耕路さん

高校卒業1週間後、地元の北海道より役者になる為に上京。 大手劇団に所属するも、自分の目指す芝居と方向性が違う為、1年後に自分で小劇団を立ち上げ、約9年運営。 劇団運営中、知り合った別の劇団の嫁と結婚を機に飲食業の世界に就職。 自分の接客・料理でお客様が喜ばれる事が肌で感じられ、舞台のスポットライトとはまた違うやりがいを感じ、天職と思い20年以上勤務。 外食・中食・給食と様々な経験をして、残りの人生を「社会に飲食業で貢献する」仕事をしたいと独立を決意。 夢は「毎日オープンしているこども食堂」を開く事! 中板橋駅前にて、2020年4月20日に『焼鳥酒場 鶏のから騒ぎ』をオープン! もっと読む

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