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【新規開業者必見】小さな飲食店で厨房をつくるコツは?

【新規開業者必見】小さな飲食店で厨房をつくるコツは?

個人で飲食店を始める場合、10〜15坪前後の小規模店舗からスタートした方が初期投資額を抑えられるほか、ローコストオペレーションができ、経営効率のよい運営が期待できます。今回は、こうした小規模な飲食店の厨房に焦点を当て、厨房機器の導入から内装設計・工事までを詳しくご紹介していきます。

厨房機器の導入

厨房機器の導入あたっては、新品・中古品を購入するか、リース契約をするかによって、それぞれメリット・デメリットが異なります。
初期投資費用とランニングコストにも大きく影響することなので、自店に合った導入方法を選択できるよう詳しく見ていきましょう。

新品を購入する場合

厨房機器を新品で購入する場合、おおよそ100~200万円程度の費用がかかり、予算を抑えたい開業者にとっては頭を悩ませるところです。しかし、先々の営業を考えると、長年安心して使えるという意味で新品での購入が好ましい。

厨房機器には、通常の効果を発揮できる予定期間(=耐用年数)が決まっており、国税庁が公表している飲食店の業務用厨房設備の耐用年数は8年と定められています。

業務用厨房機器の種類 一般的な飲食店での耐用年数
ガスレンジ・フライヤー 8年
冷蔵庫・冷凍庫(電気式) 6年
製氷機・冷蔵ショーケース 4年

しかし、ここで頭に入れておかなければならないのは「耐用年数=寿命」ではないということ。

もちろん耐用年数を過ぎてしまうとすべての厨房機器が故障するという訳ではないですし、逆に言えば、耐用年数まで必ずしも正常に機能するという訳でもなく、あくまで買い替えの目安を指しています。ただ、買い替えの為使用していた厨房機器を売ろうと思った際に、製造年月日が古く耐用年数を超えていると、買い取ってもらえないケースもあるので注意する必要はあります。

また、新品の購入にあたっては、厨房の区画に合わせて自社製品を組み合わせた3Dイメージを見せてくれたり、レイアウトを提案してくれたりするメーカーが多く、使い勝手のよい厨房を適えるのにメリットは大きく感じられます。また、一定の保証期間と保証サービスがついていることも安心です。なお、軽飲食や小規模なレストランなど調理が少ない業態の場合には、大型の業務用冷蔵庫ではなく家庭用冷蔵庫で代用したり、ガス台ではなくIHガスコンロを利用したりと、工夫次第でコスト削減を図ることは可能なので、購入前にリストアップして最低限必要な厨房機器は何かを検討しましょう。

中古品を購入する場合

一方、費用面でのメリットが大きいのが中古品の購入。中古品の中には新品の半額以下で購入できる厨房機器もあり、新品で購入するより安く導入できることは予算を抑えたい開業者にとって魅力的です。

しかし、中古品は使用年数によって営業後すぐに故障したり動作不良が起きたりと、何かとトラブルが発生しやすいことも頭に入れておかなければなりません。また、新品と違ってメーカーの保証期間が切れている機器が大半であり、製造年月日が古くて修理部品がないものや店舗の電気やガスの仕様に合わないものなど、実際に厨房へ搬入してから問題が判明することもあるので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

なお、中古市場では、新古品や展示品など比較的使用年数が浅い厨房機器を多数販売しており、メーカー保証がつくものも取り扱っているので一度見てみることをおすすめします。

リース契約をする場合

厨房機器のリース契約は、必要とする厨房設備や機器をリース会社が代わりに購入し、月々のリース料を支払うことで一定期間貸し出してくれる契約のことです。
似たような契約形態として「レンタル契約」もありますが、”契約期間”が大きく異なります。レンタル契約では、基本的に一時利用や短期間利用が可能で一定の期間が過ぎれば中途解約できるのに対し、リース契約では、4~6年の長期契約が一般的であり、原則中途解約することはできません。なお、やむを得ず中途解約する場合には残額を清算する必要があり、支払いを終えても所有権はリース会社にある為、別途買取をしない限り借り手側のものにならないのが基本です。

リース契約では、コストを抑えて最新の厨房機器を使用できる点が大きなメリット。設備導入にかかる初期投資費用を抑えられるだけでなく、移店や閉店に伴い購入した厨房機器を処分する場合にかかる大幅なコストと手間を省くことができます。
また、会計面でのメリットも大きいのがリース契約の特徴。厨房機器を購入した場合には、減価償却分のみが損金となる為全額を経費扱いにすることができませんが、リース契約の場合には毎月のリース料全額を経費扱いにすることが可能です

デメリットとしては、自身で購入するよりも総費用額が高くなること。リース料には、厨房機器の取得価額に加えて、金利や保険料、固定資産税等が含まれている為、総額としてはどうしても高くついてしまいます。また、リース契約には審査があり、個人では連帯保証人が必要になる場合も多いので要注意。居抜き物件を借りる場合には、譲渡された厨房機器の中にリース途中のものが残置されているケースが稀にあるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

厨房を設計する際のポイント

お店の営業をまわすにあたって重要となるのが、客席と厨房のレイアウト。店舗の規模や出店業態によって、最適なレイアウトは異なります。
ここからは、厨房を設計するにあたって必要な知識と注意点について、指標となる数値を用いながらお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

最低限必要な厨房機器

どんな業態、どんな飲食店にするかによってメニューや調理工程が異なる為、営業に必要な厨房機器の種類や数は店舗によって異なります。

しかし、飲食店開業になくてはならないものとしてすべての業態に共通して必要な厨房機器もあり、その分の配置スペースや導入間口などを加味して物件探しに着手する必要があります。物件契約後に、導入予定の厨房機器や設備が入りきらないといった事態が起きないよう、まずは最低限必要な厨房機器を抑えておきましょう。

作業や調理に最低限必要な機器

 ・冷凍冷蔵庫
 ・作業台(コールドテーブル)
 ・ガスコンロ(ガスレンジ)
 ・製氷機

保健所の検査対象となる機器

 ・手洗い器
 ・シンク(2層)
 ・戸が付いた食器棚

効率的な動線

小規模な飲食店の場合、十分な客席数を確保するために厨房はどうしてもコンパクトになってしまいますが、レイアウト次第で少人数でのオペレーションを効率化させることができます。逆に言えば、厨房機器の配置や動線の確保がうまくいかなければ、かえって作業効率を落とすことになるので注意したい。

無駄のない動線確保には、厨房の中央から2歩以内で注文、調理、提供、食器洗浄まで完結できることがポイントとなります。
スケルトンから厨房を設計する場合には、厨房機器メーカーや代理店がレイアウトを組んでくれることも多いですが、実際にお店に立って使用するのは自分自身。おすすめのレイアウトでお任せするのではなく、必ず立案の段階から入り込んでご自身の希望と擦り合わせながら決めていきましょう

客席とのバランス

売上げをあげるためには、店舗に適した客席をつくることが重要。一般的に、1坪あたりの席数は1.5〜2席といわれています。
ただし、客層が高めのお店であればゆったりと席間隔を広くし、大衆的な居酒屋であれば席数を多く確保する、といったように業態やコンセプトによって適正な客席の数と配置は異なりますので要注意。

また、お店に占める厨房の面積比は、居酒屋で18〜25%ラーメン屋で18〜30%うどん・蕎麦屋などの和食店で20〜30%焼肉店で15〜30%が一般的といわれています。

例として、10坪の広さで居酒屋を営業するのであれば、厨房は1.8〜2.5坪、残り約7.5〜8.2坪に11〜16席を収める設計が適正。
ただし、これらは一般的な数値を取っているため、オペレーション方法や厨房設備のミニマム化などの工夫次第で更なる最適化を図ることが可能といえます。顧客の利用目的や回転率を考慮した上で、厨房と客席のバランスを考えていきましょう。

収納スペースの確保

意外と見落としがちなのが、厨房の収納スペース。
食器や調理器具はもちろん、食材・調味料・消耗品などのストックは、営業する中でどんどん増えていきます。そのため、厨房を設計する段階でも収納スペースの確保は忘れずに頭に入れておきましょう。
そして、コンパクトな厨房に置き型の収納棚を置くことは非効率となるので、調理場の上部や壁掛けなど、スペースをフルに活用することがポイントです。

ただし、「戸が付いていないタイプの棚が食器棚として使われている」「冷蔵庫や冷凍ストッカーなど、営業時間内に食材を保管する機器が客席側に配置されている」「営業時間内に使用する厨房機器が、厨房区画からはみ出して設置されている」といった事例は、【保健所検査基準違反】に当たるので注意しておいて下さい。

清掃のしやすさ

飲食店にとっては、空間を清潔に保つことも重要。
店内の清掃が十分に行き届かず汚れや異臭が広がれば、害虫・害獣が発生したり、機材トラブルや近隣トラブルにつながったり…何よりも来店してくれたお客様の評価にも大きく影響してしまいます。

そこで、毎日の清掃が苦痛にならない厨房をつくることが適切です。具体策としては、厨房機器をできるだけ隙間のないよう配置すること、壁面や棚を拭き取りやすい素材にすること。床を防水加工しブラシで水洗いできるようにすることも清潔に保つ手段となります。

熱源機の選択

飲食店の熱源としては、ガスを利用することが一般的ですが、電気でまかなうことも可能です。特に、バーやカフェなどの軽飲食とされる業態ではIHコンロで調理する店舗が多く、もともとガスが引かれていない事務所や小売店であった場所を利用して開業するケースも少なくありません
その他、火力が必要な加熱とすぐに提供可能な保温とで工程別に熱源を使い分けることで、効率的な調理とスペース活用を実現することができます。

オープンキッチンの作り方

小さな飲食店でオープンキッチンをつくることは、少人数でのオペレーションを可能とし、オーダーから提供までのスピードを上げる効果が期待できます。また、目の前で調理するライブ感やコミュニケーションを図るなど、お客様にとってのメリットも大きくあります。

ここからは、そんなオープンキッチンの作り方と見せ方について詳しくご紹介していきます。

カウンターの作り方

カウンターは、店内を仕切り、厨房のレイアウトを考える上での肝となる部分。壁や天井、照明などのデザイン性に留意するほか、収納などを利用して雑多な感じが出ないよう見え方にも配慮する必要があります。

一般的に、飲食店カウンターの一人当たりの幅は500~600㎜奥行は450~500㎜が望ましいといわれています。人には、目には見えない感覚として他者に侵入されると不快に感じる「パーソナルスペース」というものがある為、一定の距離感を保つことが必要。また、お客様が注文する料理の数、その料理に使用する予定のお皿の大きさが収まるかどうかも重要ですので、可能であればカウンターの寸法を決める前に使用する予定のお皿を並べてみてどれくらいの幅・奥行が必要かを確認しておくとよいでしょう。

そして、もう一つ考えるべきポイントがお客様がカウンター席に座った際の目線位置
床下にインフラが通る厨房では、客席よりも床面が一段上がっていることが多く、業態やメニューの提供方法などによって客席の好ましい高さは変わってきます。基本的には、お客様とのコミュニケーションやメニューの提供を図りやすくする為には、お客さまとの目線が合うように調整するのが好ましいといえます。
カウンターのスタイルとしては、2種類。厨房とカウンターの境に段差を設けて食器や食材を並べるスタイルは、収納スペースを確保できるため利便性が高い。一方、厨房とカウンターの境をなくしたフラットなスタイルは、デザイン性が高くお客さまとの一体感が生まれます。特にカウンター席は、テーブル席よりも居心地の良さが変動しやすく、居心地の良い席をつくることができれば常連化しやすい傾向にあります。自店のコンセプトを表現しながらも、どんなカウンター席であれば居心地が良いのか、顧客目線に立って考えることで集客を狙っていきましょう。

収納の作り方

オープンキッチンの場合、収納場所を上手く工夫することで、単なる収納ではなくインテリアの一部として見せることができます。
よくある例としては、ワイングラスを吊るしたり旬の食材をカウンター上に置いたりすることが挙げられ、外から見ても豊富なワインや良質な食材を扱っているという宣伝につなげることができます。
ただし、雑多に置かれている様子やほこりを被って放置されているものが並んでいると、見栄えとしても衛生的にもお客様に悪い印象を与えかねません。前述の通り、清潔な空間づくりはお店の評判につながる大事な項目となりますので常に注意を払いましょう。

工事前に押さえておきたい注意点

導入する厨房機器と厨房のレイアウトなどが決まったら、いよいよ着工準備。
これまでたくさんのポイントをお伝えしてきましたが、費用や準備期間の大幅なロスを防ぐ為には工事前の確認も重要。最後まで気を抜かず、あらかじめ注意点を抑えておくことで希望通りの厨房をつくり上げましょう。

工事業者の選び方

一般的に、スケルトンから施工する場合、内外装工事に占める厨房工事の費用割合は20〜40%。居抜き物件の場合は、状態が良ければ大幅な工事を行わずに費用は安く済ませられるが、清掃業者を入れたり壁を塗り替えたり、厨房器具を入れ替えたりと、清潔感の保持と自身の使い勝手の為に最低限手直しを加えることは必要です。

厨房工事を依頼する際には、できるだけ飲食店の工事実績がある業者を選びましょう。住居工事をメインとしている場合、住居とは異なる飲食店の構造・インフラの設置などから、勝手がわからずコストや工事期間が大幅にかかったり、使いずらい厨房に仕上がったりすることも少なくない為あまりおすすめしません。

まずは、3社以上から見積もりを取って比較検討しましょう。新規開業者の場合、工事費用の相場観が分からず、見積もりを出してもらっても高いか安いかの判断がつかないかと思います。業者によっても工事内容や費用金額が違ってくるので、比較検討することでご自身に適した工事を選択できます。
そして、工事業者が決まったら、詳しい施工内容やスケジュール、予算を相談。実績のある優良な業者では、予算に収まらない場合にコスト減の代替案を提示してくれる場合もあるので、ご自身の希望を詳細にお伝えした上でプロのアドバイスを聞きながら一緒に厨房づくりを進めていきましょう

まとめ

個人経営店に限らず、大手外食チェーンがデリバリー主体店舗やテイクアウト専門店など店舗規模を縮小して展開を進める昨今。消費者ニーズとしても、飲食店の少人数利用や”おひとり様需要”は今後も堅調といえます。小さな店舗で出店するメリットは多く挙げられますが、その効果を最大化する為には店舗づくりの基本的な知識と綿密な計画がカギとなります。物件探しの際には、表面的にイメージする内装に近いかどうかではなく、自身が営業をまわすにあたって適切であるかどうかを優先して考えながら選別していきましょう。

15坪以下の居抜き物件


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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