ビフォーアフター
何も手を加えないことが相乗効果に これぞ居抜きの醍醐味!

外観
- Before
- After
扉や壁など基本はそのまま活かし、行灯と店のシンボルツリーである桃の花、黒板などの小物で変化をつけた。
店内
- Before
- After
店内も、カウンター、椅子、壁、床のすべてをそのまま活用。棚の小物や食器棚の食器などを入れかえ、店内奥に神棚を設置した以外は、何も手を加えていない。
厨房
- Before
- After
厨房機器もあるものはそのまま活用している。唯一買い足した大物は製氷機。もちろん調理器具類は揃えたが、基本的なものは買い替える必要がないほどきれいに保たれていたそう。
レビュー
明大前の路地裏にひっそりと佇む「身ノ程知ラズ」は、季節の創作料理と珍しい日本酒が楽しめるオトナの隠れ家。2017年4月にオープンしてから、地域のファンを着々と獲得している人気店だ。
オーナーである千場 誉さんは、この店の雰囲気に一目惚れし、内見当日に契約を決めたという。同様に和食屋だった前店舗は、この地で9年もの間営業してきた名店だったが、体調不良というやむを得ない理由から、惜しまれつつも閉店したそうだ。千場さんがここで新たに店を始めることを応援する気持ちから、前オーナーが常連さんたちに送った最後のメールには、「次に入る店舗も同じ和食なので、引き続きご愛顧よろしくお願いします」の一言が添えられていたという。そのおかげか、今でも前店舗の常連さんたちが、入れ代わり立ち代わり訪れては、変わらないこの空間を喜んで帰ってくれるそうだ。
よく居抜き物件では、前店舗の評判がその後の営業の明暗を大きく左右すると聞くが、この店は、それがプラスに働いた好例といえる。千場さんが一目惚れした、この居心地よい和空間は、前店舗の常連さんたちにとっても、失いたくない大切な場所だった。その共通の想いが、今の「身ノ程知ラズ」の強固な土台となっているのかもしれない。
居抜き物件を改装する際、低コストで、どこまで前店舗のカラーを消し、自店のカラーをだすことができるかということのみに神経を使ってしまいがちだが、何も手を加えないことがベストな選択になる場合もあることを、この一例から学ぶことができるのではないだろうか。
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