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【検証】Googleストリートビューで知らない場所の土地勘をどこまで掴めるか!?【後編】

- 目次
Googleストリートビューでの探索によって、行ったことのない土地の現地情報はどこまで正確につかむことができるかを調査。
ストリートビューで見た限りでは、鎌ヶ谷大仏駅の隣にバーミヤンはあるが、駅から徒歩5分圏内のいわゆる「駅前」エリアにはラーメン屋やファストフードがないという結論に至った。
そして大仏…ちっちゃくない!?
中編ではストリートビューの「アーカイブ機能」を駆使し、2010年~2017年の鎌ヶ谷大仏エリアを探索。ところどころ入れ替わっている店舗は散見されたものの、飲食店以外の工務店なども含めて全体的に長続きしている店舗が多いことが確認できた。
現地に行って答え合わせ!
Googleストリートビューでの探索によって、ある程度は鎌ヶ谷大仏駅周辺を把握することができたと自負している。
しかし、移動する距離感がなかなか掴みづらかったこともあり、はたして現地に行っての調査と同等に土地勘を掴むことができたのかは不確定だ。
後日、鎌ヶ谷大仏を実際に訪れ「答え合わせ」を行ってみた。
写真では分からなかった、駅の賑わい
ある土曜日の昼下がり。筆者は新京成線に揺られて鎌ヶ谷大仏駅へ向かった。
新京成線は首都圏でも比較的のどかな地域を走行しており、車内も都心部ほど混雑はしていない。
事前にストリートビューにて駅に沿った道路のビュー越しに鎌ヶ谷大仏駅をチェックしているが、島式ホーム1面で人もまばらなことは確認していた。
乗降人数についてもネットで調べていたが、新京成線のランキングでは下位となっていたことも事前に把握しており、鎌ヶ谷大仏駅ものどかで利用客も少なめな駅なのだろうと思っていた。
しかし、実際は違った!
到着は13時過ぎ。
鎌ヶ谷大仏駅で列車のドアが開くと、意外にも多くの人が降りる。
改札階に上がると、これから電車に乗ろうとする人々も含めて多くの人々が行き来しており、駅構内のカルチャーセンターを利用する方の姿も少なくなかった。
これに関しては予想外であった。
よくよく考えてみれば、地上駅の場合はストリートビューから付近の道路越しにホームを見ることはできるが、それが何曜日のどの時間帯なのかまでは不明だ。ストリートビューから見たホームの様子は、たまたま人が少なかった時に撮影されたものなのかもしれない。
また、ストリートビューでは原則として駅構内の様子までは覗くことができない。
鉄道会社が発表している乗降人数をネットで調べていても、列車発着時やピークタイムにどれほど賑わっているかについて理解することは難しい。
駅の賑わい具合については、ストリートビューやネットで得る情報だけでは正確に判別できなかった。
もちろん、人の数に関する「多い」「少ない」の基準は人それぞれだ。しかしながら、筆者にとっては「予想よりも多くの人が利用していた」と感じ、ストリートビューやネットで調べた情報から思い浮かべた鎌ヶ谷大仏のイメージとはギャップがあった。
駅から近いエリアでの開業を考えている場合など、駅の利用具合を調べる必要がある場合は実際に足を運んでみるほうが確実だと強く感じた。
ちなみに、ABC店舗が取り扱う鎌ヶ谷大仏の物件は、駅構内に存在する。
このような駅構内店舗物件の取得を考えている場合も、実際に足を運んで駅の利用者状況を見に行ったほうがよさそうだ。
鎌ヶ谷大仏駅構内には複数の店舗が存在する。
大きめのコンビニを始め、とんかつチェーンのテイクアウトや婦人服のお店なども入居。さらには地域のカルチャーセンターや歯科まで存在し、駅構内の充実ぶりに驚かされた。
構内の店舗や施設を利用するためだけに構内に入ってくる人も珍しくなく、これもストリートビューだけでは分からなかった。
初めて訪れたのに道を知っている。 ストリートビューを見てからの現地調査は効率的!
続いて、駅周辺を散策してみる。
まずは駅を出て左側、ストリートビューで見た際にバーミヤンがあった方面へ。
踏切を渡ってすぐにバーミヤンがあることは事前に把握済み。
基本的にはストリートビューで見た景色と変わらないため、初めて足を踏み入れた地ではあるものの道に迷うことはなかった。
駅を出て左側をまっすぐ歩いてみての感想は「やっぱり焼肉屋が多い」
「やっぱり」という言葉が如実に表すとおり、これは事前にチェックしていた際と変わらなかった。
4件目の焼肉屋が見えてきた先は閑静な住宅街が続いていることは事前に把握済みだ。
ここから先は飲食店がないため、ここでUターン。このように、歩く範囲を事前に決めておけることはストリービュー使用のメリットであり、効率も非常に良くなる。事前に周囲の状況をチェックしていなければ、閑静な住宅が延々と続く中をもう少し長く歩いていただろう。
事前にストリートビューで回りたいところの目星をつけてから現地調査に行くというやり方は、非常に効果的だ!
しかしその反面、Uターンすると決めていた“4件目の焼肉屋”までは駅から5分ぐらいだろうと推測していたが、実際に歩いてみると10分以上を要していた。事前に懸念していたことではあるが、ストリートビューではスイスイと先に進めてしまう。距離感が掴みづらいことで「実際に歩いてみたら想定以上に遠かった」ということが筆者の場合は生じてしまった。
ストリートビューの盲点!? 人や車の流れが微妙に違う!?
続いて、駅を出て右側のエリアへ向かう。
先の方に進んでいくと、ドライブイン形式のお店が多く立ち並ぶことは事前に把握済み。こちら側もおそらく事前に見た情報と同じだろうと思い、パッと見て回って早めに引き返そうと考えていた。
しかし、ここであることに気付いた。
「意外と車が多い」
よくよく見ると、東京方面へと続く側の車線が渋滞し始めている。
前述の通り、ストリートビューでは大体の撮影日が分かるが、具体的に何曜日の何時に撮影されたものかは不明だ。ストリートビューで見た際には、車の利用者が多そうな地域だとは感じていた。しかし、日曜の昼間に渋滞することもあるほど車が多いとは思ってもみなかった。道を歩く人に伺ってみると、駅前の十字路付近は車通りが多いため混雑することも珍しくないとの答えが返ってきた。渋滞中にストリートビューの撮影車が訪れていた場合などは例外だが、これは現地に行ってみないとわからない。
人通りに関しても、撮影した時間によっては若い人が学校や会社に行っていることで全く写っていない場合も考えられる。あくまでも推測であるが、鎌ヶ谷大仏のストリートビューも平日の日中帯あたりに撮影されたのだろう。若い人があまり写っていなことから比較的高齢な方が多そうな印象を抱いていたが、実際に足を運んだ日曜の昼間は部活帰りと思われる学生さんを始め、駅を出入りする若者の姿も多くみられた。高校生以下の人も多いことから、ファミリー層が多い地域であることは、現地に出向いた時点で初めて把握できた。
こんなところにラーメン屋!? 意外と多いストリートビューでの見落とし
引き続き駅を出て右側のエリアを進んでいくと、あの大仏とご対面!
本当に小さい…!
案内板によると、鎌ヶ谷大仏は高さ1.8メートルとのこと。奈良や鎌倉の大仏は10メートルを超えていることから、それらの大仏を見たことがある人からすると驚きの小ささだ。ストリートビューで見たときですら小さいことはよくわかっていたが、実際に見ても小ささに驚愕してしまった。しかしながら安永5年(1776年)に建造されており、奈良や鎌倉と同じく歴史ある大仏であった。
大仏に別れを告げて調査を続行。
大仏が佇む墓地の先にある交差点を渡ると、「大仏」の名を冠したラーメン屋さんが。
へぇ~、こんなラーメン屋さんもあるんだぁ。
・・・
・・・!?
あれ?
こんなラーメン屋さん、あったっけ?
事前にストリートビューで駅周辺を探索していたのに、このラーメン屋さんには気付いていなかった!
スマホでストリートビューを見返してみると、確かに大仏の名を冠したラーメン屋さんは存在する。…ということは見落としだ。ストリートビューはワンクリックで数メール先にスイスイと進めてしまう。あまりに素早く先に進み続けていると、このように見落としてしまう建物や店舗も出てきてしまう場合もあり得る。事前にストリートビューで調べていた際は「駅前にはラーメン屋が存在しない」と思っていたが、これは見落としによる間違いであった。危ない危ない。
食事時の需要は現地に行ってみないと分からない
事前調査では見落としていたラーメン屋さんの存在に気付いたのは14時過ぎ。昼食を取りそびれていた筆者は、腹ごしらえのために思わず入店。時間帯からして混んではいないだろうと思ったが、空席は1席のみ。意外にもカップルや女性の一人客も多く、ラーメンを食べ終えてお店を出たころには外で待っている人が2名。14時を過ぎた後でも盛況であった。
食事を終えて現地調査再開。
ストリートビューで見た通り、東京方面へと延びている道を歩いていくとドライブイン形式の飲食店が多くなってきた。
店舗自体はストリートビューに事前で見た通りであるが、ここで意外な気付きも。
ドライブインの多いエリアに入った時点で14時半頃であったが、どのお店も駐車場が埋まっている。
昼過ぎのティータイムやブランチ時に利用者が多いコーヒーチェーンの駐車場が埋まっていることは想定内であったが、意外にもラーメン屋やそば屋といった飲食店も駐車場が車で埋め尽くされている。店内を覗いてみると、どの店舗も子連れの利用客が一定数存在。ファミリー層の多い地域であることは間違いないようだ。
駅前十字路のラーメン店やドライブインの利用状況から、鎌ヶ谷市界隈は休日のランチ需要が高く、ピークタイムも長めの地域であることが伺えた。これはストリートビューだけでは分からなかった情報だ。ランチやディナーといった食事時の状況については、現地を訪れて調査するに越したことはない。今回は土曜日の昼過ぎに限定した現地調査であったが、夕食時や平日の各時間帯などにも訪れてみることで一層確実な状況を把握することができる。
【結論】ストリートビューの盲点は人や車の流れ。 しかし、現地調査と併用すれば「最強の効率化ツール」に!
ストリートビューのみで現地調査を実施し、その後現地を訪れて答え合わせをしてみた結果、一番大きなギャップは人と車の流れであった。
ストリートビューの撮影は不定期に行われており、撮影時刻に関しては地域によって異なるうえに非公表である。近隣の飲食店や競合店の客入り状況を調べる場合は実際に目で見ることが望ましい。当たり前のことではあるが、お店の味に関しても現地に行って調べるに越したことはなく、現地で互換を駆使して調査をしなければ確度の高い情報を得られないことは確かだ。
しかし、ストリートビューは悪いものではない。今回現地に訪れてみて、事前にストリートビューで周囲の情報を探っていただけあって無駄なくスムーズに動くことができた。初めて足を踏み入れた地にもかかわらず「ある程度は知っている」という状況は不思議であったが、その場に訪れて初めて地図や道案内アプリを開き、それを見ながら歩くよりは遥かに効率が良い。「この先は飲食店のない住宅街が続く」などの予備知識も備わっていることから、目当てのものがない場所を延々と歩き続けるということもない。
ストリートビューだけで現地調査をすることは望ましくないが、現地調査前の事前確認として使うGoogleストリートビューは「最強の効率化ツール」である!
こんな使い方が物件探しに有効的
・現地確認の前に、ストリートビューで道順確認&調査エリアの目星付け
・街の変遷や過去に存在した店舗の姿をストリートビューのアーカイブ機能で確認し、地域の店舗廃業率や継続具合をチェック
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