インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

喧噪から離れた落ち着きある恵比寿南エリア
丹波黒鶏が名物の人気焼鳥店

『喜鈴 別邸(きりん べってい)』は、恵比寿駅西口から徒歩5分、閑静な恵比寿南エリアのビル4階にある。恵比寿で圧倒的な人気を誇る焼鳥店『喜鈴』の2号店として、2016年12月22日にオープン。京都・丹波黒鶏をメインに希少部位含む約30種類の手打ち串を用意。備長炭で焼き上げた極上の味わいが楽しめる。お酒も、京都・丹波産を含む世界9ヶ国のワインを20種以上、厳選日本酒も30種以上と、豊富なリストから選ぶことができる。

店主の出田啓二さんは『喜鈴』で料理長を務め、現在はこちらの別邸をメインで担当。「日々の営業、日々のお客様との交流が何より楽しい」と語る出田さんに、お店が開業するまでのストーリーや繁盛店のおもてなし術についてお伺いした。

18歳で故郷を飛び出し、中華、焼鳥の道へ
繁盛店『喜鈴』の2号店は会食向け個室店で勝負

出田さんの料理人スタートは18歳のとき。地元・福岡での高校の卒業式の10日後、スーツケースとリュックサックだけ持って単身上京。知人に紹介された飯田橋のメトロポリタンホテルの中華料理店に就職した。「視野を広げたい、色々な人と出会ってみたいという思いで故郷を飛び出しました。友達にも成功するまで絶対帰ってこないと約束して、もう16年。以来、現場で、自分の身体で料理を覚えていきました」。

出田さんのターニングポイントとなったのは、その後に移った焼鳥店での『喜鈴』現社長・鈴木淳二氏との出会い。鈴木氏が総括料理長を務めた恵比寿ガーデンプレイス38階の『えびす坂 鳥幸(とりこ)』に入店し、焼鳥修行に専心。出田さんの鶏の持ち味を最大限に活かす捌きと串打ちの腕は、この頃に磨かれたものだ。2016年1月、鈴木氏が『喜鈴』を開業すると、同店の料理長に就任し、二人三脚で激戦区・恵比寿でも定評のある名店に育て上げた。

11ヶ月という短期間で増店に踏み切ったのは、テレビや雑誌の取材がきっかけで本店の予約キャパがオーバーするようになったため。馴染みの常連さんも来やすいように新店舗の営業地も同じ恵比寿エリアにこだわった。また、「会食・接待利用向けの物件」というのも条件のひとつだった。「本店はカウンターメインのどちらかというと“賑やか・ワッショイ系”ですが、『個室ありますか?』という問い合わせがとても多かった。じゃあ次は個室メインの落ち着いた感じで、と探していたらドンピシャの物件が見つかった。別邸は33席中、カウンターは8席のみ。内装もシックなデザインを選んでいます」。

本店との差異化で常連さん・リピーターさんも満足
メニューブックにも細やかな工夫

喜鈴グループの特徴は、“焼鳥と中華のコラボ”という珍しい取り合わせ。これは鈴木さん、出田さんに共通する中華料理のキャリアによる。中華の高級食材として有名なユリ科の花のつぼみ「金針菜」の串焼きや、丹波黒の鶏白湯に竹炭麺を合わせた「白湯ラーメン」などのユニークなメニューを創作している。「寒い時期になると小龍包や餃子などの点心も。まだまだこれからですが、いままでにない焼鳥店にしていきたいですね」。

常連客・リピーター客が6割を占め、本店と共通のお客様も多いため、料理やお酒のベースは同じだが別邸の独自性を出すよう心がけているという。季節の一品や隠れメニューなどもマメに用意。これが功を奏して、固定客の獲得に結びついている。「本店には100回以上来られているお客様がいますが、別邸も12月のオープンからすでに30回近く来店いただいている方も。やっぱり『ここの焼鳥、美味しい』って言われるのが一番嬉しいですね」。

細やかなところでは、メニューブックにも工夫を凝らす。「外国人のお客様もけっこう多いので、分かりやすさを追求。焼鳥だったら、どこの部位はどんな特徴があって、日本酒やワインだったら、どこの国・地域で、どんなテイストか。最初はただメニューをどんどん書いているだけだったけど、これじゃ決めづらいよね、ということで、説明を充実。お客様のかゆいところに手が届くような内容にしています」。

FacebookやLINEでお客様と直接つながる
人と人のつながりが飲食店ではいちばん大事

出田さんによると、いそがしい仕事ながらも日々喜びを感じていられるのは、お客様とのあたたかで親しみある関係がこの店にあるからだという。「お店に予約電話が入るのは当たり前ですが、この店では僕やスタッフのFacebookやLINEに、お客様から『明日は空いてる?』『○時に○人でお願い』と直接メッセージを頂くことも多い。電話だと他人行儀だけど、より信頼関係、距離が縮まっている感じがします。ここで働いて、そこで知り合って、つながっていける。それが何よりも嬉しいし、大事にしています。これからもそういうのをもっともっと広げていきたい」。

これから飲食店開業を目指す人にはこうメッセージを頂いた。「根性ですね。自分に負けたら終わり。まず磨くべきは自分。技術も、人としても。そうしないと人がついてこない。やっぱり、大事にしなくちゃいけないのは“人”なんだと思います。一緒に働くスタッフを盛り上げるのも大切。家よりも店にいる時間の方が多いので、ある意味、家族。時にはケンカもあるけど、やっぱりコミュニケーション。お互い言いたいことはあるけど、あんまり押しつけもよくない。丁寧に伝えるってことがすごく大事。僕にとって、人と人のつながりは本当に大切なもので、キーワード。そうあってこそ、お客様もスタッフも業者さんも、今まで知り合ってきた方々も応援してくれるんじゃないかと思うんです」。
(取材日:2017年6月14日)

出田 啓二さん
1982年、福岡県生まれ。高校卒業後、都内有名ホテルの中華料理店に就職。現場で一から調理・接客を学ぶ。その後、焼鳥業に移り、恵比寿ガーデンプレイス38階『えびす坂 鳥幸』などで修行を積む。2016年1月から恵比寿『喜鈴』料理長。2016年12月からは『喜鈴 別邸』店主を務める。料理人歴16年。

喜鈴 別邸
住所:渋谷区恵比寿南2-25-3 EBISU HANA BLDG4F
TEL:050-5592-9573
営業時間:17:00~24:00
定休日:日曜日
店舗情報:ぐるなび食べログ